山間の小さなワイナリーを訪れ修道院のスパホテルに泊まる – Spain Ribeilo
ワイナリーを訪問して醸造家と話をし、ワインをテイスティングするのは最高の時間です。ワイナリーはたいてい自然豊かな場所にあり、ワイン関係者はみな美味しく食べて幸せに暮らすことが大好きです。食べることはきっと旅の最大の楽しみであり、ワイン産地ならなおさらです。いっそこのまま何日か滞在してみたいとは誰もが思うことでしょう。
リベイロまで足を延ばしたのならモヌメント・モナステリオ・デ・サン・クロディオ ホテル&スパ/ Monumento de Mnasterio de San Clodio Holtel & Spaがおすすめです。
リベイロの陰に修道士の名残あり
モナステリオ・デ・サン・クロディオは、ただのスパホテルではありません。もとは12世紀にさかのぼるシトー派修道院で、近年になって、ガリシア州政府により宿泊施設として生まれ変わりました。はっきりとした来歴は定かではなく6世紀頃とも928年といも言われていますが、1225年にシトー派の拠点となり世俗化するまで(その後19世紀末に今度はベネディクト派となりつい近年まで存続)、ずっと修道院として運営されてきました。1931年にはアヴィア川にかかるサン・クロディオ橋とともに「国の歴史的および芸術的記念碑」にも指定されています。この辺りは小規模ながら佇まいのある小さなワイナリーが多く、-例えばボデガ・ビルマレ/Bodegas Vilmareはとっても気になる-、少し上流には銘醸ワイナリー、コト・デ・ゴマリスもあって、ワインツーリズムをするには最高のロケーション。静かな山奥の元修道院でいつもとは違う時の流れに身をゆだね、最高のワインをテイスティングする。考えただけでも充実したひと時が過ごせそうです。
お腹が空いたら
お腹が空いたら敷地内にあるレストラン、レストランテ・サン・クロディオ・ドス・モンセス/Restaurante San Clodio Dos Monxes(サン・クロディオの二人の修道士という意味)や、すぐ近くのオ・モステイロ/O Mosteiroで美味しいワインと絶景を眺めながらガリシアの絶品料理がいただけます。サン・クロディオは洗練された料理を、オ・モステイロでは居心地のよい空間で、優しい味付けの心温まる家庭料理が楽しめます。それも信じられないほどリーズナブルに。シーズンには美しい花が咲くテラスが素敵です(O Mosteiro: Tel. 34 655 71 15 55)。
リベイロが近年最も栄えていた千年前に時計を戻して想像してみましょう。いまとは違い、修道院は社会の中心的な存在として中世のひとびとの精神世界を支配しただけでなく、一大商業センターとして銘醸ワインを産出し富を蓄えてきました。識字率の低かったこの時代にあってはエリートが集う学府であり、学識ある修道士たちは、当時の主要産業だった農業についても熱心に研究を行っていました。
リベイロにブドウ畑を開墾したシトー派は、1098年にブルゴーニュ地方のニュイ・サン・ジョルジュに誕生したカトリックの宗派で、特に厳格なことで知られています。祈りと労働によって神に仕え称えることを使命とし、神に捧げるワインを最高たらしめるために、ときには土を食べて土壌分析を行ったといいます。得意のクロ(Clos/囲み)の技術を使い、日当たりのよい斜面に緻密な石垣の段々畑を築いていきました。写真の石垣は色の濃いものがシトー派修道僧が築いたもの、下が近年修理されたものです。こんなところにも歴史の影がみえます。
そんなシトー派がリベイロに見出した最高の畑は、さらにその千年前、ワインが大好きな古代ローマ人が開墾し、すでに多彩な品種を栽培してワイン造りをしていたという記録が残されています。人生を楽しむことが好きな古代ローマの人々は、ここできっと最高のワインを飲んでいたことでしょう。千年という悠久の単位で継承される、リベイロ最高のブドウ畑の歴史が面白いです。Have a lovely stay!