ブリュノ・リュパンの驚くべきアルテス。絶対に飲むべきサヴォワの白ワイン
生産者:ドメーヌ・リュパン
生産国:フランス/サヴォワ地方
ワイン名:ルーセット・ド・サヴォワ フランジー
ブドウ品種:アルテス100%
タイプ:白・辛口
偶然日本で一緒になったボルドー(フランスの高級ワイン産地)の著名醸造家が、私が持っていたこのワインを見て、「な、なんでこんなワインが日本にあるんだ?!フランスのワイン通でもまず知らないし、そもそも手に入らないよ。これは素晴らしい・・・」と感心しきりでラベルを眺めながら味見をしている。
それもそのはず。こんな辺境のワインを日本に例えるなら、“北アルプス辺りの山奥で聞きなれないブドウ品種からひっそりと造られている地ワインが妙に洗練されていて、それを思いがけず旅先の海外で飲んだ”、くらいの衝撃に近いだろう。
ワイナリーがあるのはフランス東部の山岳地帯サヴォワ地方、ローザンヌに近いスイスとの国境の村フランジー。ジャケール種の平凡なヴァン・ド・サヴォワ(サボワのワイン・だからチーズフォンデュによく組み合わされる)と違い、この村では南向きの斜面というベストポジションにコクや香りの高さに定評があるアルテス種(ルーセットともいう)を栽培し、ルーセット・ド・サヴォワという固有のアペラシオン(原産地呼称)がフランジーを含むたった4つの村に許されているという特権がある。
このフランジー村に生まれたブリュノが15年の修行を経た1994年、たった1ヘクタールの畑から始めたのがドメーヌ・リュパンだ(一人で5ヘクタールにするまでに15年以上もかかっている!)。爽やかな酸味と上質のミネラル感に溢れた野原に咲く一輪の白い花のような白ワインには、バゲットとボーフォールやコンテのようなアルプスのチーズがあればそれだけで十分だ。
フランス3大山のチーズ、ボーフォールのおはなし
サヴォワ地方で作られる牛乳が原料のフランス3大山のチーズ、ボーフォール(ほかアボンダンス、コンテ)。牛の群れを谷底から標高2,500メートルまでの広範囲に放牧させるというから雄大だ。もっちりとした質感、柔らかい甘みやナッツの風味とコクが特徴ですが、夏の草を食んだ牛のミルクから作るボーフォール・エテ(夏)も素晴らしく、通常より色が濃くフルーティな味わいがまた素敵です。このチーズは戦後のリゾート開発などで存続の危機があったものの、ボーフォールを守りたい人々の結束で、今、遠い日本でも楽しむことができる。
ボーフォールのお話もブリュノの信念にも心が熱くなりますね!ちなみにボーフォールは生産量が限られていて入手困難な時期もあるので代わりにコンテをお勧めします。Enjoy!