オリーブオイル探しの旅、これで終わる

Pago de Valdecuevas

生産者:パゴ・デ・バルデクエバス
生産国・産地 : スペイン・カスティーリャ・イ・レオン

オリーブにも品種があり、産地でも味わいはずいぶん違う。パゴ・ デ ・ バルデクエバスはアルベキーナ種100%、圧倒的な凝縮感、ボディがあるのに、全体的にフェミニンなエクストラ ヴァージンオリーブオイル。これがあれば料理の質はぐっと上がるし、使っているだけでそもそも気分が上がりっぱなし。


造るのは何世代も地域の産業に貢献してきた地元の名士、マルティン家。「最高級のオリーブオイルを造る」と、調査から実に8年の歳月をかけて設立した140ヘクタールの自家オリーブ農園は、そのど真ん中に圧搾所があり、収穫してからたったの30分以内に圧搾できる。それだけでも本気度が伝わってくるが、それがカスティーリャ・イ・レオンと聞けばなおさらだ。


スペインのオリーブオイルといえばメッカは南部アンダルシア地方。ところが、なんとこの農園は北西部カスティーリャ・イ・レオン地方の標高約800メートルの高地にある。 冬に厳しく冷え込む気候から 一見オリーブ栽培には向かないように思われるが、 実はこれが味わいのバランスを決める鍵。 あくまでも最高級品にこだわり、 土壌や気候条件、 オリーブの樹の遺伝的特徴までも研究し、 遂にスペインを代表するアルベキーナ種がこの地に適合することを見出した。

Albequina


“わたしたちがお届けするオリーブオイルは、 プレミアムエクストラヴァージンオリーブオイルのみ。 常に完璧なオイルを造るために、 自家農園、 最新設備、収穫後 30 分以内の圧搾、 限定生産、受注ごとの瓶詰めにこだわっています。”

#わくわくするようなストーリー

ケルトの村の手作りの暮らし

La Setera Quseeria Artisanal y Bodega

Everything is artisan

生産者:ラ・セテラ
生産国・産地:スペイン、カスティーリャ・イ・レオンで アリベスD.O.

ラ・セタラにはもう憧れしかない。手づくりの暮らしが見えるのだ。カスティーリャ・イ・レオン州の西の端、フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村に入ると、「Queso y Vino Artesano Degustacion y Venta -手づくりチーズとワイン 試食・試飲販売」と記された手書きの道案内のすぐ先に、機械化とは無縁のどこかくたびれた小さなボデガが家族の住まいと一体になっている。表の目立たない看板が唯一、ここがワイナリーであることを伝える目印だ。この村は独特のケルトの石積みでできていて、ボデガの外壁も石の壁が印象的。スペインというよりイギリスの田園風景を思い起こさせる。ここでは何もかもがひっそりと慎ましい。

Here we are! ーボデガに着いた

小さくても仕事は丁寧。ワイン造りやヤギのミルクを使ったチーズ作りの工程では、細部に目を配らせ、地域のビオダイバーシティを豊かに育みながら日々の暮らしを営んでいる。ラ・セテラという名前は、ワイナリーがある渓谷から頂いた。この小さな谷は、圧倒的な景観を織りなすあの全能なるドゥエロ川に続いている。ボデガのストーリーは1994年、サラとフランシスコの若いカップルがこの地に一目惚れしたことに始まる。生物学者だった二人は、いつか人生の早い段階でサステイナブルな生き方がしたいと思っていた。だからまず、セテラの谷でヤギのチーズを作り始め、2003年には自分たちでワインも造るようになった。二人がはじめたこの小さな活動によってコミュニティがうまれ、知らず知らずのうちに地域の自然文化遺産を守り、人口の流出を防ぐという重要な役割を担っていた。

Children must have grown up by now
Bodega and stonewall

ワイナリーはアリベス・デル・ドゥエロ自然公園のなかにあり、豊かな生態系の恵みを受けている。秘境ゆえに手つかずの土地は状態がよく、生産性を求める農業生産で土が疲弊しているということもない。サラとフランシスコは一方的に搾取するのが嫌いなので、ワインも無理のない範囲で造るから、どうがんばっても年産わずか一万本程度。その分クオリティが高く、もちろんワインに化学的な処置や人工的な対策を施すことは一切ない。畑の古木もみごとだ。

Beautiful old vines
Tasting, tasting and tasting to select the ones

WINE

La Setera Tinto Joven, Juan Garcia 100%
La Setera Tinto Roble Seleccion Especial, Turiga National 100%

La Setera Tinto Crianza, 100% Juan Garcia
La Setera Tinto Crianza Seleccion Especial, 100% Touriga Nacional

パワーのなかにフィネスを感じる赤ワインは、良い意味で野趣溢れ濃厚でいて、きめが細かい。
どちらも忘れられないハイクオリティ。ラベルの図柄にお気づきたろうか?そう、石積みがモチーフになっている。

CHEESE

ラ・セテラのチーズも、ワインと同じように製造工程はいたってナチュラルだ。ヤギのミルクは近隣の農家から毎日新鮮なものを調達している。つまりヤギたちは100%アリベスの土地のなかで草を食んでいて、こんな環境で育ったヤギだから、チーズが美味しくないわけがない。

Cualquier alimento es más sano, cuanto menos procesos haya tenido para su obtención. Sara y Francisco ー食べものは加工しないほどより健康的。

Cheese shop
Sara’s queseria

<行き方>
フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村へはフェルモセリェから車で20分。

<アリベスに泊まる>
La Casa de los Arribes lascasadelosarribes@hotmail.com (Tel. 34 629 74 95 52)
アリベス・デル・ドゥエロ自然公園の案内も充実しているし、アニマルセラピーなども体験できる。

Arribes DO アリベス、大自然に抱かれる小さな産地

アリベス。なんてクールな名前。イベリア半島北部を流れる重要な川、ドゥエロ川をはさんだ先にみえるのはポルトガル。カスティーリャ・イ・レオン州最西端にあるこの小さなワイン産地には、およそ150kmに渡ってドゥエロの大河が流れ、花崗岩の土壌が削られてできた渓谷や峠道など独特の景色を描いています。おなじ渓谷地帯でも、ガリシア州のリベイラ・サクラが女性的なら、こちらは男性的なニュアンスがあり、大地のエネルギーが下から突き上げてくるような迫力です。

from Mirador looking down the river Duero

<気象データ>
夏の最高気温:40度
冬の最低気温:-9.5度
平均年間降雨量:561.41mm
平均年間日照時間:2,899時間

<ブドウ畑>
総面積:337ha
標高:700m.
土壌:花崗岩、スレート
白品種:マルバシア・カステリャナ、ベルデホ、アルビーリョ
黒品種:フアン・ガルシア、ブルニャル、フフェテ、メンシア、テンプラニーリョ、ガルナッチャ

アリベスワインの歴史は長く、ローマ人か、恐らくそれ以前にフェニキア人がドゥエロ川をポルトガルのオポルト港からさかのぼっていったと考えられています。ブトウ畑は切り立った渓谷とそのなかにわずかに広がる平原にあり、原産地呼称員会に登録されている17軒のワイナリーが固有品種でワインを造っています。アリベスのワインは、ポルトガルのミーニョ地方とスペインのガリシア地方、両方のキャラクターを持ち合わせた印象があって、とてもエキゾチック。ポルトガルとスペインの国境にあることから二つの国の歴史が融合し、また同時に外部から隔離された環境であるがゆえに、多様なブドウ品種の宝庫になっています。

生産の90%が赤ワインという赤の産地。かつては単一品種、フアン・ガルシアのワインが主流だったのですが、今ではブレンドもされるようになり、その際、地元品種を60%以上使うことが義務づけられています。フアン・ガルシアのワインはプラムやカシスなど黒果実のニュアンスがあり、樽熟成によってバニラ、ユーカリ、リコリス、ミネラルやナッツなどをともなって、滑らかさのなかに力強さが備わります。

Vineyards over there

アリベス・デル・ドゥエロ自然公園/Parque Arribes del Duero

アリベス・デル・ドゥエロ自然公園はスペインのサラマンカ県とサモラ県の間、ポルトガルとの国境に位置し、ポルトガル側ではドウロ自然公園として保護地区に指定されています。ユネスコ・メセタ・イベリア保護区にも指定される、イベリア半島最大の自然保護地区(1,132,607haだから長野県くらい)の主役は、川と渓谷。最大500メートルの高低差のなかにスペインで最も多くの渓谷群がみられ、トルメス川とドゥエロ川が出合うアンバサグアス渓谷、閃長岩の巨大岩、ペーニャ・ゴルダス、高低差200メートルの大滝、ポゾ・デ・ウモスといった壮大な景色がつぎからつぎへと現れます。

アリベス(Arribes)という地名は、もともと海岸を意味するラテン語のadripa-aeに由来しているらしい。確かに前述のドゥエロ川やトルメス川のほかにも、アゲダ川、フエブラ川、ウセス川、エスラ川など、いくつもの川のコースがあって、文字通り「ドゥエロの川岸」たる堂々とした地形を形成しています。

植生も豊か。ジュニパー、虫こぶのオークの木、セイヨウヒイラギガシ、コルクの森が広がっています。また、この高地にはめずらしい地中海性気候の植生もみられ、ブドウ、オリーブ、アーモンドの木々、動物群ではボネリークマタカ、イヌワシ、コンドル、エジプトハゲワシ、ハヤブサ、ワシミミズクなどの猛禽類が大空をゆったりと旋回している姿がのびやか。哺乳類ではカワウソ、テン、キツネやイノシシなども生息しています。

Stock image By Sam Bark

自然公園についたら徒歩や自転車で辿れるたくさんのルートが整備されているし、ミラドール(展望台)も要所要所にあるからどこからでも絶景が楽しめる。アリベス・デル・ドゥエロの川下りクルーズも最高。

Stock image By Daniel Llorente
Stock image By Raimond Klavins
An English countryside like cozy little village

自然保護地区には、ローマ時代にさかのぼる中世の村、フェルモセリェがある。周辺の小さな村々にはケルト文化の痕跡がいたるところにあり、緑豊かで穏やかな風景はスペインというよりイギリスの田園と見まがう風景。

羊のチーズ(もちろん手づくり)やサラマンカの希少種サヤゲサ牛の子牛肉、ラム、イベリコ豚が名産品。オルナソ/Hornazoというミートパイのような伝統的なパンや、ガリシアでお馴染みのタコとじゃがいも、ハム類も見逃せません。アリベスのワインで乾杯!

Soup of “Bacalao” -バカラオとひよこ豆のスープ
Sayaguesa Veal -サヤゲサ牛。味付けは塩だけ

<行き方・楽しみ方>
おすすめはフェルモセリェに宿泊してアリベス自然公園を楽しみ、ワイナリー見学をするコース。軒先で小さなお店を開いているワイナリーもあり、手づくりのチーズやはちみつ、パンなどを売っていてそのどれもが絶品。

RUTA del Vino 現在の登録ワイナリーはこちら:
 Arribes del Duero Sociedad Cooperativa
 Bodega Frontio
 Bodega el Hato y el Garabato
 Bodegas Pastrana
 Bodega Ribera de Pelazas
 Bodega Romanorum
 Bodega Viña Romana
 Hacienda Zorita Natural Reserve

<フェルモセリェ/Fermoselleに泊まる>
5つ星ホテルから、長期滞在に向いたアパートメントまで、スタイルに合わせた宿が充実しています。

Hacienda Zorita Wine Hotel & Organic Farming
14世紀の修道院をリノベーションしたリゾートスパホテル。トルメス川を見下ろす絶景ポイントにあり、グルメのレストラン、ワインスパ、セラーでのワインテイスティングが楽しめます。ウェブサイトで紹介されているツアープランも最高。ウェブサイトには見たら絶対に行きたくなってしまう動画があるので必見。

“1366樽のワインが眠るマルケス・デ・ラ・コンコルディアでのワインテイスティングをして、
ユネスコ世界遺産にも登録されているサラマンカの歴史地区へショートトリップ。
ファミリー向けには徒歩10分にあるホテルの農場ツアーをして、チーズの試食や田舎料理を楽しむのもおすすめ。夕食はホテルのレストラン、ソリタズキッチンで最高の料理と地元産の最高のワインを堪能したら、のワインバーで食後の寛ぎのひとときを”(筆者訳) 出展:SLHウェブサイトより引用

La Casa del Regidor
分厚い花崗岩の壁と太い木の梁のある18世紀の住宅、ラ・カサ・デル・レヒドールは、大人2名で7000円弱とリーズナブル。国立公園のなかにあり、美しい渓谷を眺めながらテラスで朝食がいただける。隣は12世紀に建てられたヌエストラ・セニョーラ・アスンシオン教会。近くのプラサ・マヨールには、季節の良い時期なら外で寛げる心地の良いバルもある。

La Pueta del Perdon 許しの扉でひと休み

フランス人の道のテロワール

カスティーリャ・イ・レオン州とガリシア州をワインを求めて何度も往復しているうちに、数あるサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路のなかでも最もポピュラーな「フランス人の道」をせっせと通過していたことがあります。地続きながら、まったく異なる気候風土を持つこの二つの州。荒涼としたメセタの高地、カスティーリャ・イ・レオン州にはスペイン屈指の銘醸地リベラ・デル・ドゥエロがあり、パワフルな果実味と凝縮感のある最高級の赤ワインをうみ出しています。ベガ・シシリア、ピングス、ペスケラ、アアルト、アタウタ・・・、憧れのオールスターたちが一堂に会するエリア。ここからさらに西へ、ガリシア州に近づくにつれて景色は少しづつ緑の様相を呈し、ワインも繊細で洗練されたスタイルへと変化していきます。ガリシアの美食も待っています。

スペインのワイン産地ほど、テロワールの違いをはっきりと体感できるところはありません。車窓の風景が変わりゆく様はまるで異世界へのプレリュード。そこにはきまって玄関口となる田舎町があり、巡礼の北ルートにあたるスペイン北部にも、何気ない小道に歴史遺産が溢れています。先を急ぐ旅でなければ、このような中継地で一息入れるのもおすすめです。

Harvest in BierzoVinos de Algansa

ビエルソの横顔

カスティーリャ・イ・レオン州の西端にあるコマルカ、エル・ビエルソと聞けば、ワインラバーにとっては真っ先にリカルド・パラシオスの名とともに思い起こされるワイン産地、ビエルソです。シル川の上流域一帯を含む四方を山に囲まれた地形から、歴史的に隔離された生活が営まれてきました。二千年を超えるワイン造りの歴史がありながらも、ブドウ畑の総面積はわずか2,900ヘクタール弱。70軒あるワイナリーのほとんどが地産地消ですが、山岳のブドウ畑には樹齢100年を超える古木も多く残されており、苦労を顧みなければ醸造家にとって憧れの産地であるのは疑いようがありません。

Mojon -巡礼路を示す標識モホン

エル・ビエルソのもうひとつの顔、サンティアゴ巡礼の「フランス人の道」を振り返ってみましょう。人口3500人の小さな歴史町、ビジャフランカ・デル・ビエルソには、千年にわたり巡礼者を慰めてきた重要な遺構があります。

イエス・キリストの十二使徒のひとり、聖ヤコブの墓が、イスラム勢力からのレコンキスタ(領土回復運動)の只中にサンティアゴ・デ・コンポステーラで見つかったのは9世紀のこと。この発見はキリスト教徒の精神的な支えとなり、中世を通して多くの巡礼者を集めることになりました。「フランス人の道」はカリクストゥス写本(12世紀に編纂されたサンティアゴ巡礼のガイドブックのようなもの)にも詳細に記録され、9世紀から現存するルートとしてユネスコ世界遺産にも登録されています。

許しの門、プエルタ・デル・ペルドン

旅に危険はつきもので、道中の安全もままならなかった中世の時代、フランスからピレネー山脈を越え、スペインの古都レオンを経ていくつもの峠を踏破するフランス人の道は、夏でも寒く、病気や怪我で命を落とす巡礼者も多かったと言います。何とかビジャフランカ・デル・ビエルソまでたどり着いても、その先に待ち受けるのはフランス人の道最後の難所、セブレイロ峠。ビジャフランカで力尽き、巡礼を断念せざるを得ないこともありました。そんな中世の巡礼者の救いになったのが、サンティアゴ教会にある「許しの門」です。たとえサンティアゴ・デ・コンポステーラにたどり着けなくてもこの門の前で祈ると巡礼を終えたと認められ、罪が許されると信じられていました。聖年またはシャコベオ年にはこの門が開きます。2021年がその年で、その次は2027年です。

Puerta del Perdon, Igresia de Santiago
Castillo-Palacio de los Marqueses de Villafranca in sunset

美味しい食事とワイン。ラ・プエルタ・デル・ペルドンに泊まる

巡礼者が一休みするように、ワインの旅もここで一息入れないと力尽きてしまいそうに過酷なカスティーリャとガリシアの山岳往復ルート。ビジャフランカ・デル・ビエルソの小さなホテル、ラ・プエルタ・デル・ペルドン/La Puerta del Perdonには、心地よい7つの部屋と美味しい料理、そしてワインが待っています。許しの門の名を冠しているだけあって、門のあるサンティアゴ教会はすぐ近くというロケーション。

フランス人の道:930km、約32日間(一日の工程25km±5km)

ラ・プエルタ・デル・ペルドン:2名/EUR65

To feel calm by flowers -花は野の花のように

巡礼の中継地ビジャフランカでは、他にもアルベルゲからホテルまで、予算や好みに応じて様々な宿泊施設が選べます。たとえば17世紀にイエズス会の学校として建設されたバロック様式の修道院はいかがでしょうか。簡素な共同部屋からバスルーム付きの部屋まであり、レストランも備えています。

サン・ニコラス・レアル/St. Nicolas el Real Inn : EUR30〜