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熟成グラッパ、6世代の心が磨くエレガンス
華やかな香りとまろやかな口当たり、ブドウ品種の個性が感じられる上品な味わい。蒸留酒と聞いて身構える刺激が少なく、真骨頂の熟成タイプは甘美なまでの甘みと樽香がいかにも上品だ。
イタリア北部、トレンティーノ州を代表する名門蒸留所、ヴィッラ・デ・ヴァルダは、ドルツァン家により6世代にわたってその技と情熱が受け継がれてきた。他にない独自性と高い品質を生むのは、長い時間をかけて大成された“de Vardaメソッド”。この蒸留技術を通して、トレンティーノのテロワールを最も美しく表現している。「グラッパはブドウの搾りかすから造る蒸留酒」という説明は間違いではない。しかし、”搾りかす”の概念を超える仕事がここにはある。
生産者:ヴィッラ・デ・ヴァルダ
生産国:イタリア|トレンティーノ・アルト・アディジェ州メッツォロンバルド

グラッパの起源は中世イタリア北部。ワイン造りで生まれるブドウの搾りかすを蒸留して活用するために発展し、ピエモンテ、ヴェネト、トレンティーノなどの地域で伝統が育まれました。現在はEU法でも「イタリア産のみがグラッパと名乗れる」と定義されています。
グラッパの「格付け」はワインのようなDOC/DOCGの等級ではなく、イタリア法で定められた “熟成期間によるカテゴリー(=熟成語)” が実質的な格付けとして使われています。
この熟成語は 12か月 と 18か月 が基準で、これが公式の区分です。
| 区分 | 熟成期間 | |
| Giovane / Bianca | 無熟成(透明) | ベーシック・原料の輪郭が明快 |
| Invecchiata / Vecchia | 12か月以上 | 樽熟成の入門 |
| Riserva / Stravecchia | 18か月以上 | 熟成グラッパの中心・高品質 |
| Barrique / Barricata ※補助的表記 | 225L前後の小樽(バリック)で熟成したことを示す用語 | 小樽由来の香りを強調 |
1 – 選別(SELECTION)
すべてはブドウの栽培から始まる。健やかで上質な実りを得るために畑を丹念に手入れする。収穫では最良の房だけを選び抜く。醸造家と蒸留責任者の監督のもとでワイン造り(圧搾・醸造)が行われ、ワインを含んだ新鮮な搾りかすだけを柔らかく圧搾し、すぐに蒸留へと進む。
2 – 蒸留(DISTILLATION)
独自の銅製蒸留器を用い、ゆっくりとした単式蒸留で香味成分を適切な温度で蒸発・凝縮させることで、ブドウ品種の個性を損なわずに抽出する。蒸留は熟練のマスター・ディスティラーが全工程を細心に監督する。
3 – 静置(REST)
蒸留後のグラッパは通常ステンレスタンクで約6か月休ませる。無熟成タイプはその後、ドロミテの湧水で度数を整え(加水)、冷却・濾過を経て瓶詰めされる。リゼルヴァとなるグラッパはここから木樽でのゆるやかな熟成に入る。
4 – 熟成(AGEING)
ドルツァン家には長年培ってきた樽熟成の経験がある。だからこそ、樽材(スプルース、オーク、アカシア、チェリー)の目利きから始まり、用いる樽はすべて自社仕様の特注品。温度と湿度の管理が行き届いたセラー(熟成庫)で、グラッパは時間をかけてゆっくりと気品ある風味を育む。最終的に、家族による官能評価と分析を経て、高い品質基準を満たしたものだけが完成品となる。

EYES グラスに注いだグラッパを見ると、その明るさと澄んだ輝きがよくわかります。これは上質なスピリッツに欠かせない重要な特徴です。熟成グラッパには、木樽での長い熟成がもたらす色調が加わり、麦わら色からマホガニーまで、魅力的な陰影が生まれます。
NOSE 香りを引き出すためにグラスをゆっくりと回し、”決して深く吸い込みすぎないように”、短く穏やかに香りを確かめます。若いグラッパは、新鮮な搾りかすの香りや、(アロマティック品種であれば)花や果実の明快な香りを示します。熟成グラッパは、バニラ、シナモン、リコリス、カカオ、時にはタバコを思わせる、豊かなスパイスの香りを湛えています。
MOUTH いよいよ味を確かめましょう。グラッパはごく少量を口に含み、ゆっくりと口内でなじませながら、舌を上顎に軽く押し当てることで香りが開いていきます。まず舌先にアルコールの刺激が訪れ、続いて甘味、苦味、そして温かさや渋みがもたらす触感が広がります。理想的なグラッパは、澄んだ輪郭と明確な風味を持ち、均整の取れた調和が感じられ、それらは余韻でも確かに続いていきます。
熟成グラッパのハイボール
①グラスに氷をたっぷり入れ、グラスと中身をよく冷やします。
②熟成グラッパを適量(30ml程度)注ぎます。
③冷えた炭酸水を、炭酸が逃げないように氷に直接当てないよう静かに注ぎ、軽く1回混ぜて完成です
カフェ・コレット
温かいエスプレッソに少量のグラッパを垂らす、イタリアの伝統的な大人の楽しみ方です。

グラッパ・リゼルヴァ・シェリーカスク(グラン・クリュ シリーズ)
イタリア北部トレンティーノのヴィッラ・デ・ヴァルダ蒸留所と、スペイン南部ヘレスの名門アルバロ・ドメック( Álvaro Domecq) の出会いから生まれたピノ・ネロ100%の特別なグラッパ。まず新樽バリックで熟成され、その後 Álvaro Domecq のシェリー熟成に使われていた樽へと移され、追加熟成が行われることで、唯一無二の風格を湛えます。名門同士の卓越した組み合わせにより、トースト香、果実味、フローラルなニュアンスが重なる、芳醇で複雑なアロマを備えたグラッパ・リゼルヴァが誕生しました。
白の世界的名手、強靭なミネラルと凛とした佇まい

軽薄ではない、「骨格がしっかりしたブレない辛口白ワイン」が好きな方、シャブリのような「大地のミネラルを感じる清らかなワイン」が好きな方、鮨、天ぷら、カルパッチョなど、素材を活かした和食やシーフードに合わせたい方にお勧めしたい、この凛とした佇まい。それでいてお肉料理にも合わせられる骨格にはただひれ伏すばかり。
ヴァイングート・ニグルのグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングはオーストリアを代表する最高品質のワインとして評価され、クレムスタールならではのエレガンスとフィネスに富んでいる。ワイナリーはクレムス渓谷のセンフテンベルク村にある単一畑「キルヒェンベルク(Kirchberg)*」の麓に位置している。現在の建物は12世紀に遡る歴史を持ち、かつてはシュターヘンベルク侯爵家の荘園として使用されていたものを、1994年にニグル家が取得したことでワイナリーの歴史がはじまった。
(*教会の丘という意味の単一畑。まさに文字通り村の古い教会のすぐ下に広がる南東向きの斜面にある。この畑がある岩山全体をブルクベルク(廃墟の山)といい、その頂きに聳えるセフテンベルク城跡からの絶景は見事)
クレムス渓谷に広がるブドウ畑では、主にグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングを栽培し、ソーヴィニヨン・ブランとムスカテラーが白のラインナップに幅を持たせている。この地域の石灰質を含むレス土壌ではツヴァイゲルトとメルローを栽培する一方で、ピノ・ノワールは銘醸畑「プフェニングベルク(Ried Pfaffenberg)」で栽培しているというから面白い。急斜面の雲母片岩土壌で構成されるこの単一畑。西から冷涼な風が吹き込み、過酷ともいえる昼夜の寒暖差に見舞われる環境で、圧倒的にリースリングで有名なのだ。白の名手ニグルの超変化球といえるだろう。
「大切なのは、完璧なバランスを持つワインを造ること。畑がもたらすあらゆる要素――果実味、フィネス、エレガンス、凝縮感、そしてミネラル感――を損なうことなくボトルの中へ届けることです。」
— マルティン・ニグル
生産者:ヴァイングート・ニグル
生産国:オーストリア|ニーダーエスタライヒ州クレムスタール
『Falstaff(ファルスタッフ)』:最高格付けの「5ツ星」 — オーストリア国内で最も影響力と権威のあるワイン専門誌『Falstaff』において、ニグルは最高ランクである「5ツ星」を獲得。「常に極めて突出した品質のワインを造り、世界的な認知と需要を持つ、世界最高峰のワイナリー」にのみ与えられる栄誉である。二グルがある「クレムスタール」地区の中で、唯一5ツ星に輝くワイナリーとして君臨。
ワイン評論家スチュアート・ビゴット —「最もシンプルなワインから最高峰のワインに至るまで、ニグルの白ワインは驚くほど澄み切っており、香りと味わいの両面で非常に精密。少々反則と思えるほどの魅力と、偉大なエレガンスを兼ね備えている。まさに見事!」
ジェームス・サックリング伝説の100点満点 — 代表的な1級畑(エアステラーゲ)のリースリング、『リースリング プリヴァート リート・ホフエッガ 2021年』に対して「100点満点」を献上。「息をのむほどクールで繊細。ミネラルの強さは桁違い!」と大絶賛。
『Wine Enthusiast(ワイン・エンスージアスト)』などアメリカの有名ワイン誌でも高得点の常連で、「美しく澄んだレモンのような酸、スパイスや旨味(セロリソルトや味噌のようなコク)を感じる引き締まったフィニッシュ」などと称され、料理を引き立てる万能ワインとして常に安定した高い評価を獲得している。
ウィーンから北西に約70km、オーストリア屈指の有名産地「ヴァッハウ」と「カンプタール」に挟まれたドナウ川流域にある世界最高峰の辛口白ワインの銘醸地。知名度こそヴァッハウに一歩譲るものの、ワイン通の間では「ヴァッハウに比肩する最高品質でありながら、手頃な価格で見つかる穴場スポット」として極めて高く評価されている。異なる2つの気候が交わる独特な場所にあり、大きく分けて、川のどちら側か、または標高によって土壌がガラリと変わり、これがワインのキャラクターを明確に分けている。その結果、この地域では、みずみずしさとフィネスに富んだ白ワイン、とりわけグリューナー・フェルトリーナーとリースリングが高く評価されている。また生産量は少ないものの、凝縮感と表現力に優れた赤ワインも生み出されている。そして何より、この地域の生産者たちはそれぞれの畑の個性を深く理解し、尊重している。小さな地域の中に存在する多様性を最大限に表現することこそが、クレムスタールのワイン造りの本質なのである。
二グルがあるセンフテンベルク村周辺の石段丘は、彼らのワインの繊細さと優雅さを生み出すのに理想的な条件を備えている。以下、主な3つの強みをご紹介しよう。
| 気候 極上のアロマと酸を生む「二つの風」 | ●東からの暖かい風: 「パノニア気候」と呼ばれる暖かく乾燥した空気が流れ込み、ブドウをしっかりと完熟させ、リッチで華やかな香りを育てる。 ●北からの冷たい風: 夜には背後の山から冷涼な空気が吹き下ろす。この激しい寒暖差のおかげで、ワインに「明確で美しい酸」と「清涼感」がしっかりと残る。 |
| 土壌 ブドウ品種の個性を引き出す2大土壌 | ●結晶岩(プライマリー・ロック)土壌:花崗岩や片麻岩などの硬い岩石の土壌。主に急斜面の畑に多く、ニグルが得意とする「極めてシャープで引き締まったミネラル感を持つリースリング」が育つ。 ●レス(黄土)土壌:風で運ばれて堆積した、砂のように細かい土壌。主にドナウ川の東側のなだらかな段々畑に広がり、オーストリアの固有品種である「ふくよかでコクがあり、白コショウのようなスパイス感を持つグリューナー・ヴェルトリーナー」に最適。 |
| 格付け クレムスタールDAC | 「クレムスタール DAC」を名乗れるのはグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングの2品種のみに限定されている。 |
グリューナー・ヴェルトリーナー リート・ キルヒェンベルク DAC ーワイナリーのすぐ隣にある教会の丘という意味の単一畑。まさに文字通り村の古い教会のすぐ下に広がる南東向きの斜面にある。豊かな香りの中にトロピカルフルーツや青りんごの生き生きとしたニュアンスがあり、口に含めばみごとな凝縮感と酸、緻密なミネラル、長い余韻に満たされます。偉大なワインに必要なものをすべて備えている。大きめのグラスで時間をかけてゆっくりと楽しみたい。
リースリング リート・ゴールドベルクDAC ーDAC法で第一級畑に指定される火山性角閃石(かくせんせき)土壌の単一畑、「ゴールドベルク」は、その引き締まった酸と火打石のようなミネラル感の見事なバランスで名を馳せるクレムスタール最高峰の白ワイン。若いヴィンテージは控えめで閉じているが、わずかに漂うパッションフルーツのニュアンス、柑橘系のなかにあるフレッシュな輝きと、相反する熟した柑橘の果皮が持つ凝縮感がこれから先の果てしないポテンシャルを予感させる。十分な時間を与えることで、この先に素晴らしい感動が待っている。
ツヴァイゲルト ロゼ ーツヴァイゲルトのロゼは、二グルが手掛ける世界最高峰の白ワインと同様に、生き生きとした酸味と爽快な明るさを備えている。樽でのシュール・リーによって、ツヴァイゲルトらしいチェリーや苺を想わせる赤果実の魅力が詰まった傑作となり、手頃ながら深みのあるテクスチャーと飲みごたえが備わっている。

フランスの香り文化とノンアルペアリング -2026.Jul

東京、九段南の高級フレンチレストラン「シェ オリヴィエ(Chez Olivier)」。フランスを思わせるクラシックな赤いドアを開け、ほの暗いエントランスを抜けると、白を基調とした明るく洗練された空間が広がり、思わず息をのむ。同時に、どこかフランスの友人宅に招かれたような懐かしく温かな心地よさが訪れ、これから始まるディナーに期待は高まります。
その名の通り、ここはフランス人シェフ、オリヴィエの家(シェ オリヴィエ)。季節の食材を使ったコース料理は、ソースの美しさや火入れの精度など、フレンチの伝統的な技法を踏まえつつ現代的な軽やかさがありますが、なかでも特筆すべきはその凝縮した香り。個性の強い素材でも躊躇なく、緻密に香りをに重ねることで生まれる奥深い香り。この独特の香りが色鮮やかな料理を彩り、コースを通して”香りを食べている”ような感覚に満たされます。
そんなフランスのエスプリ溢れる空間に、脱アルコールワインの世界的ブランド「ピエール・ゼロ」のオーナー、マチルダ・ブラシャンさんをお迎えし、メーカーズディナーを開催しました。ワインペアリングの楽しさはそのままに、身体は軽いという新体験。参加者のみなさんからは、「本物のワインみたい」「酔わないのでお食事の最後まで一皿一皿の風味をしっかりと楽しめました!」と支持をいただきました。そんな夢のようなペアリングの様子をご紹介します。


フランス人ならではの”重ねる感性”が光るオリヴィエさん。全国の小さな生産者から届く野菜、本物の味を大切に、「自家製」にこだわります。ご自身がペアリングが大好きというだけあって、ドリンクに気を配りながら考え抜かれたメニューはどれも素晴らしい。

同じ女性としても大好きなマチルダさん。何もない所、まさに”ゼロ”からスタートして、「ピエール・ゼロ」を今や世界60カ国以上に輸出するブランドに育て上げたスーパーウーマンです。ところが、肩ひじ張ったところが一つもなく、とてもチャーミング。こんな女性になりたいなと思わせる素敵な方です。誰もノンアルワインについて真剣に考えていなかった20年前を想えば、今の成功が彼女が本物の起業家であることを証明しています。

フィンガーフード
ポレンタ・ミント・ピスタチオ×パルメザン・茄子・アボガド×ビーツ・タマラ
Pierre Zero Signature

アミューズブーシュ
牛コンソメ、ワサビクリーム、さくら酢でマリネした大根、アキテーヌ産キャビア

バニラ風味カンパチ
マンゴーと蕪、ワサビオイル、パッションフルーツ
Pierre Zero Blanc de Blanc

金目鯛
ズッキーニ、無花果、ブラータマルション
Pierre Zero Chardonnay


ブルーオマール海老
ルバーブ
Pierre Zero Rose Sparkling

ノーベル賞の晩餐会でも使用された実績のあるメルロー。

鹿肉
ビーツ、カシス、ハイビスカス、豪州産冬トリュフ、ポワブラードソース
Pierre Zero Merlot


白桃のポシェ、出汁風味
ピエール・ゼロ マスカットのゼリー、紫蘇と柚子の軽いクリーム
Pierre Zero Muscat Sparkling

カヌレとギモーヴ
紅茶

Thank you very much Mathilde and Olivier!
Chez Olivier
最寄り駅:市ヶ谷駅より徒歩5分

選ばれし温泉地に花開く赤の名手
ヨハネスホフ・ライニッシュ-JOHANNESHOF REINISCH

ヨハネスホフ・ライニッシュは、オーストリアのワイン産地テルメンレギオンに1760年から続く家族経営のワイナリー。現在はライニッシュ3兄弟が運営し、ピノ・ノワールとオーストリアの地ブドウで世界的評価を集めている。ワイナリーはウィーン郊外に広がる美しい谷にあり、谷底と丘陵地の間で気候と土壌が大きく異なるのが特徴だ。
ブドウ畑は二つの村に分かれ、ワイナリーがある谷底のタッテンドルフ村はより温暖で地ブドウ(ザンクト・ラウレント、ツィアファンドラー、ロートギプフラー)の栽培に向いており、標高が高く冷涼で強い風が吹く丘陵地のグンポルツキルヘン村では、(ブルゴーニュ品種の)ピノ・ノワールとシャルドネを栽培している。
生産者:ヨハネスホフ・ライニッシュ
生産国:オーストリア|テルメンレギオン
| 項目 | Tattendorf タッテンドルフ | Gumpoldskirchen グンポルツキルヒェン |
| 土壌 | 沖積土に石灰が混ざり、深い腐植土と粘土層が重なる | 化石を含む石灰岩、表土が薄く軽い土壌構造 |
| 気候 | 温暖 | 標高が高く、より涼しく風が強い |
| 栽培品種 | ザンクト・ラウレント ツィアファンドラー ロートギプフラー (土着品種) | ピノ・ノワール シャルドネ (ブルゴーニュ品種) |

Ried Kästenbaum(ケステンバウム-単一畑) — ヨハネスホフ・ライニッシュを代表する単一畑(Ried/リート)にして、最上位のピノ・ノワールを育む畑。丘陵地にあるグンポルツキルヘン(Gumpoldskirchen) 側の高標高・石灰岩主体の区画で、化石を含む石灰岩・薄い表土・冷涼な風 が特徴。そのため、Holzspur(タッテンドルフにあるもうひとつの単一畑) よりも冷涼でミネラルが強く、果実は黒系で凝縮しやすい。パワフル・凝縮・黒系果実・長期熟成向き。
ウィーン南部のワイン産地テルメンレギオンは、その緯度と冷涼な気候、石灰質土壌から、しばしば「オーストリアのコート・ドール*」に喩えられるが、事実、中世にはシトー派修道士の指導のもとでブドウ栽培が最盛期を迎えたという。「神に捧げるワインは最高のものでなくてはならない」と信じ、綿密な観察と膨大な記録のうえにヨーロッパ各地に赴いて畑を峻別してきた(クリマの概念)中世の修道士たちの気配が残る村々で、「ブルゴーニュの精神とテルメンレギオンの個性」を哲学に畑と向き合うライニッシュ家。オーストリアを旅し、レストランを訪れて、ワインリストにテルメンレギオン産のワインがあれば、それはほぼ確実に彼らのものである。
*フランス・ブルゴーニュ地方の中心に位置する“黄金の丘”と呼ばれる世界最高峰のワイン産地で、赤はピノ・ノワール、白はシャルドネの聖地)
ところで、テルメンレギオン(Thermenregion)とは、何とも不思議な響きを持つ名だと思わないだろうか。テルメンレギオンのTherme(テルメ)はギリシャ語のthermos(熱)に由来し、温泉・スパを意味している。Region(レギオン)は英語のregion(リジョン)と同じ。つまり、文字通り「温泉地域」であり、古代ローマ時代に栄えた温泉文化は、かのハプスブルク家の支援を受けて18世紀に再発見され、その中心の街バーデンは王侯貴族の社交場として人気を集めた。演劇、オペレッタなども楽しめることから、ウィーンから週末旅行で行ける保養地として、今も多くの人々に愛されている。
歴史に興味があれば、ハイリゲンクロイツ修道院を訪れてもよいだろう。設立は1133年と世界で最も古く、現在も活動を続けているシトー派修道院のひとつであり、中世からワイン造りと農業を牽引してきた修道院である。「歌う修道士」のグレゴリオ聖歌でも世界的に有名だ。
ここまで来たら、1141年から続く修道院直営のワイナリー、フライグーと・タレルンも必見だ。オーストリア・バーベンベルク家のマルクグラフ(辺境伯)レオポルト4世が、1141年にこのタレルンの地をハイリゲンクロイツ修道院に「永久に」寄進したことが始まりで、以来900年以上、一度も途切れることなくブドウ栽培とワイン造りが続けられている。郷土料理を提供するクロスターガストハウス(修道院に併設された宿泊施設・レストラン)やブドウ畑に囲まれたシュラフファスドルフ(樽型ホテル)に滞在すれば、豊かな自然に囲まれてオーストリアワインの長い歴史を肌で感じることができるだろう。
ヨハネスホフ・ライニッシュはテルメンレギオンで最高のワイナリーのひとつというだけではない。トーマス・ライニッシュがレストランを継いで以来、訪れる価値はさらに高まった。
メニューは、ボリュームのある伝統的なオーストリア料理から、季節感を重視した6品の「シェフズ・チョイス」まで幅広く、ブラッドソーセージ、アークティックチャー(鮭とイワナの中間のような淡水魚)、西洋わさびを組み合わせた一皿は見事だ。特筆すべきは、グラメルクネーデル(オーストリア伝統の団子料理)とベーコンで煮込んだキャベツ。シンプルながら、香ばしくカリカリに揚げた豚皮がたっぷり入っており、他に類を見ない美味しさを持つ。
そしてワイナリーが誇るブルゴーニュスタイルの優れたワインが、これらの料理に完璧なマリアージュを見せるだろう。

Thomas im Johanneshof (レストラン)
opening hours: 土曜-土曜 11.30 a.m. – 10.30 p.m.
Tel. +43 2253 814 23-16
essen@thomasimjohanneshof.at
ワイナリーに宿泊することだってできる。窓の外はブドウ畑、静かな自然、温かいライニッシュ家と上質なワインが待っている。

Schlafgut am Johanneshof Familie Reinisch
Im Weingarten 1, A-2523 Tattendor
Email schlafgut@j-r.at
農夫が育む世界的ブラン・ド・ブラン
パスカル・アグラパール -PASCAL AGRAPART
1894年、シャンパーニュ地方コート・デ・ブラン地区(シャルドネのメッカ)のアヴィーズ村に設立されて以来、アグラパール家は何世代にわたり、ブラン・ド・ブラン(シャルドネ100%のシャンパーニュ)で名声を築いてきた。1983年、父親からワイナリーを受け継いだパスカルは、所有畑の8割がグラン・クリュという好条件を活かし、テロワールを表現することに情熱を注ぐ。
世界中の人々がそのわずかな割り当てを求めて列をなすようになっても、パスカルは依然として控えめで、寡黙で、地に足のついたまさに本物の農夫であり、大地の男。ル・モンド誌はそんな彼を敬意を込めて、“ムッシュ・テロワール(大地の男)”と呼んでいる。
ここにはウェブサイトもなければ、もちろんSNSもない。大げさな比喩も、複雑な暗示も、言葉遊びもない。彼を導くのは論理と経験—―彼自身のもの、そして先祖のもの。ワイン造りを任されてからずっと、パスカルは静かに歩みを進め、今やその職の真の匠となっている。
生産者:パスカル・アグラパール
生産地:フランス|シャンパーニュ
“最良の手入れは、日光と空気、それに畑を耕すことだ。ワインの品質の75%はブドウの根で決まる。うちは5世代にわたってここを耕してきていて、ブドウの樹はとても深く大地に根を張っている”
7 Crus Brut Extra Brut – セット クリュ エクストラ・ブリュット
4つのグラン・クリュと3つのプルミエ・クリュという「7つのクリュ(畑)」のブドウで構成されるフラグシップ。2年以上の熟成、ドザージュは5g/lと見事に調整されており、生き生きとした果実味と際立つミネラリティ、白い花束を抱えたような美しさ。優れたNVシャンパーニュが、個性と真実味を保ちながら、純粋においしく飲めるバランスをどう実現するか、その完璧な手本だ。
| 品種 | シャルドネ 90%、ピノ・ノワール 10% |
| 畑 | アヴィズ、オジェ、クラマン、オワリィ、アヴネイ・ヴァル・ドール、コリニー、ヴォシエンヌ |
| 残糖 | 5g/L |
Blanc de Blancs Terroirs Extra Brut Grand Cru
4つのグラン・クリュの村からなる、2~3ヴィンテージのブレンド。アヴィズ(50%)、クラマン、オジェ、オワリーといったグラン・クリュ村の一等地に植わる25〜40年の樹齢のブドウだけで造られている。レ・セット・クリュよりも色合いに深みがあり、36か月の熟成を経て、より繊細で奥行きがあり、構造のしっかりしたシャンパーニュ。ブリオッシュの香りとフレッシュなアーモンド、味わいにはわずかにメントールやリコリス感じられる。
| 品種 | シャルドネ 100% |
| 畑 | アヴィズ、オジェ、クラマン、オワリィ |
| 残糖 | 5g/L |

※写真はイメージです(アグラパールではありません)
しぇりークラブさんとヒメネス・スピノラを楽しむ会 -2026.Apr
2026年4月某日、銀座しぇりーくらぶ様にて、スペイン最高峰のペドロ・ヒメネスの造り手、ボデガス・ヒメネス・スピノラのめくるめくラインナップを、ペアリングで楽しむ贅沢な会を催しました。
会場に一歩足を踏み入れた瞬間、目に飛び込む鮮やかな赤いクロス。壁にかかったオーナメントの数々は、まさにヘレスの情熱と、しぇりーくらぶ特有のシェリー愛溢れる温かさを感じます。シェリー好きしか集まらないコアなイベントだからこそ、「最近飲んだボデガは?」「前回のスペイン旅行は?」と、知らない者同士でも自然と会話が弾みます。
ご存知でしたでか?D.O.ヘレスのペドロ・ヒメネスの畑のほとんどすべてがヒメネス・スピノラのものであることを・・・!300年にわたり、この高貴な品種一筋に情熱を注ぎ、本物を貫いてきた彼らの素晴らしいラインナップと、しぇりーくらぶ、星シェフ渾身のお料理のペアリングをご紹介します。気になるメインディッシュ(肉料理)のペアリングは、昨年に続き、今年もペドロ・ヒメネス。ギリギリを攻めて成功させる星シェフの技が輝く一幕でした。
今年のハイライトがフェルメンタシオン・レンタの水平試飲。2021年と2023年という真逆のキャラクターを持つワインを比較することで、ヴェインテージの違いとそれを克服する生産者の努力が垣間見えました。2021年と2023年については、詳細を後半にまとめております。


ホワイトアスパラ パプリカのソース
Esprragos blancos consalsa de pimenton
EXCEPTIONA HARVEST 2021
ふくよかな果実味が、春の訪れを告げるように優しく広がりました。ホワイトアスパラの柔らかな甘みとパプリカソースのまろやかさが寄り添い、軽やかでありながら印象深い幕開け。会場の空気が一気に華やぎ、これから始まる物語への期待が高まります。



カリフラワーと新玉ねぎのスープ
Potaje de coliflor y cebola
菜の花とスナップエンドウのサラダ
Ensalada de brotes de colza y guisante
FERMENTACION LENTA 2021/2023
【2021 VT】フェルメンタシオン・レンタ王道の、きれいな酸が際立つスタイル。雨が非常に多く成熟が難しい年で9月中旬までかかったものの、それゆえに成熟がゆっくり進んだことが結果的に功を奏したヴィンテージ。味わいにミネラル感と共にほのかに春野菜を思わせる苦味があり、「菜の花とスナップエンドウのサラダ」を引き立てるバランス感を演出。
【2023 VT】過去80年で最大の旱魃という異例の年だったこともあり、いつものような酸をもたせるのに工夫が必要なヴィンテージだった。王道のフェルメンタシオン・レンタよりふくよかで、熟成が進んだような錯覚を感じるスタイル。アプリコットやダージリンティーのようなアロマティックさとマイルドなテイストは「カリフラワーと新玉ねぎのスープ」とコクとベストマッチ。


モンゴウイカのエスカベチェ
Calamares de escabeche
OLD HARVEST MEDIU DRY SOLERA 1964
次はオールド・ハーヴェストなのに、温かいエスカベチェが登場した瞬間、会場に走る驚き。料理にボリュームがあり、酸味はどう感じるんだろう?という戸惑いの声も。ところが、オールド・ハーベストの熟成による深みと甘み、そしてペドロ・ヒメネス由来の酸が、モンゴイカの穏やかな酸味と見事に調和し、口に運ぶたびに新しい発見が生まれます。参加者同士で「これは意外!」と目を合わせ、思わず笑みがこぼれる一皿。


ハンガリー産鴨ムネ肉と金柑のロースト
Magret de pato de Hungria asado con kumquant
PEDRO XIMENEZ MUY VIEJO SOLERA 1918
濃厚な甘みを持つワインと鴨肉の脂のコクに金柑のほろ苦さが加わることで、複雑で奥行きのある味わいに仕上がっていて、金柑があることでペドロ・ヒメネスを合わせると口中で濃厚さと爽やかさが絶妙なバランスに。まさに記憶に残るペアリングの一つとなりました。(昨年は、ペドロ・ヒメネス ソレラ1918 × 短角牛のオーブン焼き ブルーチーズソース)

トシーノ・デ・シエロ
Tocino de cielo
BRANDY DIEZ MIL BOTELLAS SOLERA 1948
締めくくりは、芳醇な香りをまとったブランデー クリアデラス。トシーノ・デ・シエロの濃厚な甘みとほろ苦さが寄り添い、最後の一口まで春の余韻をゆったりと楽しませてくれました。グラスを置いた瞬間、心地よい満足感が静かに広がります。

しぇりークラブ銀座
〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目3−17 悠玄ビル 2F・3F
Tel. 03-3572-2527
