世界初!オーストリア5,000のリードが学べるデジタルアトラス誕生

ワインが育まれた土地について学ぶと、ワインの味わいの秘密がわかります。ワインラバーが熱心に勉強し、“蘊蓄”と揶揄されるものを語り合うのはそのため。

ワインの味わいに影響を及ぼす要素には、例えば日照量、降水量、標高がありますが、それは単に地域ごとに違うだけではなく、畑ごとに異なるもの。こんな風にワインを見ることができるようになると、知りたいことがたくさん増えて、ワインが一生の趣味になります。一杯のワインからわたしたちが生きる環境に視野を広げ、そこにワインを育んだ人がいることを想像できるようになるのは素敵なこと。居ながらにして“世界を旅する”こともできるのです。

そんなワインの世界旅行を後押ししてくれるのが、オーストリアのリード(単一畑)に関するデジタルアトラス。実に5,000に及ぶすべてのリード(単一畑)についての詳細な情報を網羅するプロ垂涎のデータベースが、この度オーストリアワイン協会とウィーン大学の共同プロジェクトとして世界で初めてまとめられました。オーストリアの先進性が感じられますが、地理的情報なども加えてより深堀りした情報も掲載すべくすでに取り組みが進行中というから、もう期待しかありません。

austrianvinyards.com

  • Ried:単一畑、またはクリュのオーストリアでの呼び方
  • Austria’s smallest Ried/最小のリード:Ried Satzen(0.01ha、ニーダーエスタライヒ州)
  • Austria’s highest Ried/最も標高が高いリード:Ried Schmierenberg(708m, シュタイヤーマーク州)
  • Austria’s steepest Ried/最も傾斜角が厳しいリード:Ried Kalkreigl (35度、シュタイヤーマーク州)
  • 14 Ried:ヒンメルライヒ(天国)と名の付くリード
  • 96%:ブルゲンラント州ホリチョンの黒ブドウ栽培比率
Schloss Gobersburg Ried Gaisberg

チャレンジの結果が偉大

Weingut Malat

生産者:ヴァイングート・マラート
生産国:オーストリア/クレムスタール

無数の小部屋で区切られた古いセラーを歩く時、突き当りまで行くと入口に戻って来たことに気付く。最も古い記録で18世紀に遡るヴァイングート・マラートは、数百年という時間をかけて少しづつ、だが着実に進化を遂げて来た。「これまでの世代の人々が経験を蓄積してきたのです」と9代目の現当主ミヒャエル・マラートは言う。「ここをご覧いただけば、新しく造作された空間が時間をかけてこの場に馴染んできたことが分かるでしょう」。見渡す限りがファミリーヒストリー。セラーにはこれまでの軌跡とこれから進む道が示されている。

「ヴァッハウのシリアスさとカンプタールの親しみやすさを併せ持つ」と評されるクレムスタール。ワイナリーの多くがドナウ川北岸にあるのとは対照的に、マラート家はドナウ川南岸にあるシュティフト・グートヴァイグ修道院の丘陵地帯というベストポジションに拠点を置き、隣接する銘醸ヴァッハウ地域にも畑を所有し、多様な土壌の畑と数々の銘醸畑からユニークなワインを生み出している。

東からパノニア平原の熱風を受け、西のアルプスから吹き降ろす冷風によって絶妙な寒暖差が生まれるから、溌溂とした酸やフレッシュさを保ちながら芳醇なアロマを開くことができる。だからだろうか。グリューナー・ヴェルトリーナーやリースリングのずば抜けたクオリティに加えて、ブルゴーニュの風格を湛えるピノ・ノワールやカベルネ・ソーヴィニョンによる赤ワインも注目だ。1970年代という早い段階で発表されたこれらの赤ワインは、即座に世界的な評価を獲得したというから驚き。

Sekt Rose Brut Methode Traditional
生産者:ヴァイングート・マラート
ワイン名:ゼクト ロゼ ブリュット メトド・トラティシオナル
ブドウ品種:ピノ・ノワール
生産国・産地:オーストリア・クレムスタール

オーストリアきってのピノ・ノワールの名手マラートが得意とするピノ・ノワール100%のゼクト(シャンパーニュと同じ伝統製法で造る高級スパークリングワイン)。
ロゼにしては淡い色合いに驚かれるかも知れません。ですがまるで花が咲き誇る庭園を歩いているかのように、花の蜜、イチゴ、バラの花びらの香りが広がり、ピノ・ノワールらしいしっかりとした骨格を果実味が包み込むこの上質感。泡立ちが繊細でクリーミーなことは言うまでもなく、生き生きと弾けて爽快。これこそ良いスパークリングワインとしみじみ感動が広がります。

Pinot Noir Classic
生産者:ヴァイングート・マラート
ワイン名:ピノ・ノワール クラシック
ブドウ品種:ピノ・ノワール
生産国・産地:オーストリア・クレムスタール

滑らかで香り高いピノ・ノワール。柔らかく深みのあるラズベリーの風味がほのかに感じるスパイスに縁取られ、エレガントかつジューシー。仔牛のローストや熟成チーズ、トマトソースのパスタ・・・。考えただけでも幸せになる本当に良いワイン。

Pinot Noir Ried Satzen
生産者:ヴァイングート・マラート
ワイン名:ピノ・ノワール リート・サッツセン
ブドウ品種:ピノ・ノワール
生産国・産地:オーストリア・クレムスタール 

15世紀の古文書にも「この区画は特に素晴らしくブドウ栽培に適している」と記録される単一畑もの、リート・サッツセンが漂わせるブルゴーニュさながらの風格。表土を覆う腐葉土がブドウの樹に栄養を与え、長い年月をかけてドナウ川に堆積した石英と石灰層が繊細なミネラル感を与えています。ちなみにこの単一畑ではオーストリアのピノ・ノワールといわれる地ブドウ、サンクト・ラウレントも栽培しており、これがまた絶品。

★Malat Weingut unt Hotelでは、ブドウ畑に囲まれてワインツーリズムが楽しめます。