オリーブオイル探しの旅、これで終わる

Pago de Valdecuevas

生産者:パゴ・デ・バルデクエバス
生産国・産地 : スペイン・カスティーリャ・イ・レオン

オリーブにも品種があり、産地でも味わいはずいぶん違う。パゴ・ デ ・ バルデクエバスはアルベキーナ種100%、圧倒的な凝縮感、ボディがあるのに、全体的にフェミニンなエクストラ ヴァージンオリーブオイル。これがあれば料理の質はぐっと上がるし、使っているだけでそもそも気分が上がりっぱなし。


造るのは何世代も地域の産業に貢献してきた地元の名士、マルティン家。「最高級のオリーブオイルを造る」と、調査から実に8年の歳月をかけて設立した140ヘクタールの自家オリーブ農園は、そのど真ん中に圧搾所があり、収穫してからたったの30分以内に圧搾できる。それだけでも本気度が伝わってくるが、それがカスティーリャ・イ・レオンと聞けばなおさらだ。


スペインのオリーブオイルといえばメッカは南部アンダルシア地方。ところが、なんとこの農園は北西部カスティーリャ・イ・レオン地方の標高約800メートルの高地にある。 冬に厳しく冷え込む気候から 一見オリーブ栽培には向かないように思われるが、 実はこれが味わいのバランスを決める鍵。 あくまでも最高級品にこだわり、 土壌や気候条件、 オリーブの樹の遺伝的特徴までも研究し、 遂にスペインを代表するアルベキーナ種がこの地に適合することを見出した。

Albequina


“わたしたちがお届けするオリーブオイルは、 プレミアムエクストラヴァージンオリーブオイルのみ。 常に完璧なオイルを造るために、 自家農園、 最新設備、収穫後 30 分以内の圧搾、 限定生産、受注ごとの瓶詰めにこだわっています。”

#わくわくするようなストーリー

“新しき良き”イングランド。その泡、パーフェクト!

Hattingley Valley

生産者:ハッティングレイ・ヴァレー
生産国・産地:イギリス・セントラルサウス(ハンプシャー)

シャンパーニュを10年も買い付けてきたから心底思う。イギリスの泡には可能性しか感じない。こんな風に言うとイギリス人は嫌がるに違いないけれど、本当にシャンパーニュの”弟分(younger brother)”だと思っている。泡のキレと美しさ、それでいてシャンパーニュのブリォッシュ香とは趣きの異なる繊細さがイギリスらしい。もっとも地図を見れば一目瞭然で、太古の昔は大陸と繋がっていたから、南部にはシャンパーニュと同じ白亜質ベルトが広がっている。だから、というほどワイン造りは単純ではないけど、これってロマンのある繋がりだ。


一昔前のさほど取り柄のないスティルワインの国から(失礼!)、一部の造り手が本気で設備投資をしてスパークリングワインに向き合ったことが功を奏したのは言うまでもなく、冷涼すぎたこの産地では地球温暖化も味方している。今後十年もすればレゼルヴワインのストックも十分に達し、よりふくよかな味わいも期待できるだろう。品質の向上が著しいイングリッシュスパークリングも、土地柄、酸のシャープさはときに過剰なものもある。ところが、ハッティングレイでは一部にマロラクティック醗酵を施していて、ほんのり、でも取れすぎない絶妙なバランスで角が取れているところが秀逸だ。


イギリスではアフタヌーンティーの最後にシャンパーニュを飲む習慣があるのをご存じだろうか?こんな風に優れたスパークリングワインが自国でできるようになったのを、一番喜んでいるのは紅茶党のイギリス人かも知れない。何といっても、アフタヌーンティーを最初から最後までイギリス産で楽しめるようになったのだから!

WE CAN’T GUARANTEE THE WEATHER, BUT WE CAN GUARANTEE THE WINE.
「天気は保証できないけど、ワインは任せてくれ」。元イギリス在住者としては、このブラックユーモアがツボ。現地では有料でワイナリーツアーも楽しめる。念願叶って2015年に買い付けた初めてのイギリスワインの一つ。

Butterfly is the symbol of the vineyards

#わくわくするようなストーリー

凄いからつい天才と言ってしまう

Weingut Tesch

Martin Tesch, a genius kind of winemaker

生産者:ヴァイングート・テッシュ
生産国・産地:ドイツ・ナーエ地方

テッシュの辛口リースリングはどれもこれもズバ抜けた品質で異常に安い!それが全て特級畑に相当する単一畑ものだと知ったらなおさら目を疑ってしまう。ドイツリースリング最大の魅力である骨太の酸と透明感。ジューシーな果実味。これが区画ごとにみごとに表現されている。品種、醸造方法は同じで見せるのは純粋に土壌の違いだけという点で、産地は違えどサンセールのフアシェと同じ着想。シンプルなのが良い。


二つの村に分かれる6つの区画。ナーエ川に面して日当たりや斜面、風向き、そして土壌を見極めて区分けされた畑のひとつひとつが持つ特徴が自然の摂理に叶っていて、改めてワインが農作物だと実感させられる。

5 Gran Crus are packed in the two tiny villegaes


現当主マルティンといえばこんな感じだろう。三百年の歴史を持つ老舗ワイナリーにある日突然十代目の“バカ息子”が帰って来た。伝統を捨て、40種類以上もあった商品をリースリング、それも辛口だけにしてしまう。ワインには英語名をつけ、ラベルはカラフルに、なんてしだしたら?当然、長年の顧客の四割以上を失ってしまった。スクリューキャップに誰もが懐疑的だったときに、グラン・クリュワインをスクリューにしたのもマルティンだ。


凡人には見えていないものが見えるのが天才。凡人が天才の考えていることを理解するには十年かかる。そんな苦境の時、真っ先に新しいテッシュを理解したのがロックンローラーやファンの若者たちだった。偏見のない所にクオリティは発見される。そぎ落とされた美を放つテッシュのリースリングは、従来の“愛好家”ではなく研ぎ澄まされた音に敏感な次世代の心をつかんだ。

未来ある若者のために敢えて価格を安くしてくれていることを補足しておこう。

Weingut Tesch 僭越ながらこちらのオフィシャルサイトでわたくしのマスタークラスが視聴できます。

Single vinyeards’

#わくわくするようなストーリー

Gazpacho ダニーのガスパチョ

お料理上手の醸造家、アスル・イ・ガランサのダニーのレシピ

ガスパチョは暑い夏を乗り越えるわたしのよき相棒!スペイン、アンダルシア地方発祥のスープです。食欲をそそるトマトの赤い色、身体を冷やしてくれる野菜たち。郷土料理は本当に上手くできていると思います。

日本でもいろんなレシピがありますが、やっぱり本場が一番。
お料理上手の醸造家、アスル・イ・ガランサのダニーのレシピをご紹介します。

Stock image

材料(4人分):
 熟したトマト ・・・・2個
 ピーマン(緑)・・・・1個
 パプリカ(赤)・・・・1個
 にんにく ・・・・・・1片
 きゅうり ・・・・・・1本
 玉ねぎ ・・・・・・・1/2個
 オリーブオイル ・・・300ml(スペイン産のエクストラ・バージン オリーブオイル)
 バゲット ・・・・・・スライス1枚
 お酢 ・・・・・・・・0.25L (できればシェリービネガー)
 水 ・・・・・・・・・100ml
 塩少々

作り方:
材料を適当な大きさに切り、ブレンダーかミキサーにかけます。裏ごしにかけるとさらに口当たりが洗練されます。ポイントはオイルやビネガー。良いものを選ぶと、より風味が増します。私の秘訣はトマトの芯をくり抜いて、あらかじめ冷凍しておくこと。そうすれば、飲みたいときにいつでも冷たいガスパチョに癒されます。

WINE

Vitis de Azul y Garanza, Garnacha Blanca 60%, Viura 40%

有機栽培で丁寧に育てた健康なブドウのミネラル感と果実味。少しボディがあるので冷やしてガスパチョと合わせると、最高のアペが始まります。Easy peazy!

ケルトの村の手作りの暮らし

La Setera Quseeria Artisanal y Bodega

Everything is artisan

生産者:ラ・セテラ
生産国・産地:スペイン、カスティーリャ・イ・レオンで アリベスD.O.

ラ・セタラにはもう憧れしかない。手づくりの暮らしが見えるのだ。カスティーリャ・イ・レオン州の西の端、フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村に入ると、「Queso y Vino Artesano Degustacion y Venta -手づくりチーズとワイン 試食・試飲販売」と記された手書きの道案内のすぐ先に、機械化とは無縁のどこかくたびれた小さなボデガが家族の住まいと一体になっている。表の目立たない看板が唯一、ここがワイナリーであることを伝える目印だ。この村は独特のケルトの石積みでできていて、ボデガの外壁も石の壁が印象的。スペインというよりイギリスの田園風景を思い起こさせる。ここでは何もかもがひっそりと慎ましい。

Here we are! ーボデガに着いた

小さくても仕事は丁寧。ワイン造りやヤギのミルクを使ったチーズ作りの工程では、細部に目を配らせ、地域のビオダイバーシティを豊かに育みながら日々の暮らしを営んでいる。ラ・セテラという名前は、ワイナリーがある渓谷から頂いた。この小さな谷は、圧倒的な景観を織りなすあの全能なるドゥエロ川に続いている。ボデガのストーリーは1994年、サラとフランシスコの若いカップルがこの地に一目惚れしたことに始まる。生物学者だった二人は、いつか人生の早い段階でサステイナブルな生き方がしたいと思っていた。だからまず、セテラの谷でヤギのチーズを作り始め、2003年には自分たちでワインも造るようになった。二人がはじめたこの小さな活動によってコミュニティがうまれ、知らず知らずのうちに地域の自然文化遺産を守り、人口の流出を防ぐという重要な役割を担っていた。

Children must have grown up by now
Bodega and stonewall

ワイナリーはアリベス・デル・ドゥエロ自然公園のなかにあり、豊かな生態系の恵みを受けている。秘境ゆえに手つかずの土地は状態がよく、生産性を求める農業生産で土が疲弊しているということもない。サラとフランシスコは一方的に搾取するのが嫌いなので、ワインも無理のない範囲で造るから、どうがんばっても年産わずか一万本程度。その分クオリティが高く、もちろんワインに化学的な処置や人工的な対策を施すことは一切ない。畑の古木もみごとだ。

Beautiful old vines
Tasting, tasting and tasting to select the ones

WINE

La Setera Tinto Joven, Juan Garcia 100%
La Setera Tinto Roble Seleccion Especial, Turiga National 100%

La Setera Tinto Crianza, 100% Juan Garcia
La Setera Tinto Crianza Seleccion Especial, 100% Touriga Nacional

パワーのなかにフィネスを感じる赤ワインは、良い意味で野趣溢れ濃厚でいて、きめが細かい。
どちらも忘れられないハイクオリティ。ラベルの図柄にお気づきたろうか?そう、石積みがモチーフになっている。

CHEESE

ラ・セテラのチーズも、ワインと同じように製造工程はいたってナチュラルだ。ヤギのミルクは近隣の農家から毎日新鮮なものを調達している。つまりヤギたちは100%アリベスの土地のなかで草を食んでいて、こんな環境で育ったヤギだから、チーズが美味しくないわけがない。

Cualquier alimento es más sano, cuanto menos procesos haya tenido para su obtención. Sara y Francisco ー食べものは加工しないほどより健康的。

Cheese shop
Sara’s queseria

<行き方>
フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村へはフェルモセリェから車で20分。

<アリベスに泊まる>
La Casa de los Arribes lascasadelosarribes@hotmail.com (Tel. 34 629 74 95 52)
アリベス・デル・ドゥエロ自然公園の案内も充実しているし、アニマルセラピーなども体験できる。

Azabache 災いから身を守るスペインのパワーストーン

黒光りする美しい黒玉(こくぎょく)、アサバチェは災いから身を守ると信じられてきたパワーストーン。サンティアゴ・デ・コンポステーラ旧市街を、大聖堂のあるオブラドイロ広場に向かって歩いていくと、おおくの宝飾店が軒を連ねていることに気がつきます。通りの名はルア・デ・アシベチェリア/Rua de Acibecheria、アサバチェ職人通りです。かつてここは、アサバチェを扱う店だけを集めた専門通りでした。

Medallón de Azabache de Oles, Asturias, motivos celtas, Azabache y plata -wikipedia

この石は、ジュラシックツリー(2億年 – 1億5千万年前から現存する世界最古といわれる種子植物)が長い年月を経て化石化したもので、英語では黒琥珀(black amber)ともいわれますが、琥珀のように樹脂ではなく樹木そのものの化石です。主な産地はスペイン北部、アストゥリアス地方。海岸沿い一帯に分布し、独特のやわらかい光沢でジュエリーとして愛され、その人気は16世紀ころに頂点に達しました。

巡礼にちなんでホタテ貝や十字架をモチーフにしたものもありますが、ガリシアの魔除けアイテム、フィーガを型どったものや、デニムなど現代の装いにも身につけやすいブレスレットやネックレスなどもあって、ちょっとしたおみやげにぴったりです。地元では今でも子どもが生まれたときに、健やかなる成長と厄除けを願って贈られるパワーストーン。昨今では、アサバチェ職人通りでなくても売られていますが、せっかくなら通りの古いお店で買い求めるのも、また思い出になるでしょう。もしかしたら偶然入ったお店が、通りで最も古いお店かも知れません。Good luck!

Arribes DO アリベス、大自然に抱かれる小さな産地

アリベス。なんてクールな名前。イベリア半島北部を流れる重要な川、ドゥエロ川をはさんだ先にみえるのはポルトガル。カスティーリャ・イ・レオン州最西端にあるこの小さなワイン産地には、およそ150kmに渡ってドゥエロの大河が流れ、花崗岩の土壌が削られてできた渓谷や峠道など独特の景色を描いています。おなじ渓谷地帯でも、ガリシア州のリベイラ・サクラが女性的なら、こちらは男性的なニュアンスがあり、大地のエネルギーが下から突き上げてくるような迫力です。

from Mirador looking down the river Duero

<気象データ>
夏の最高気温:40度
冬の最低気温:-9.5度
平均年間降雨量:561.41mm
平均年間日照時間:2,899時間

<ブドウ畑>
総面積:337ha
標高:700m.
土壌:花崗岩、スレート
白品種:マルバシア・カステリャナ、ベルデホ、アルビーリョ
黒品種:フアン・ガルシア、ブルニャル、フフェテ、メンシア、テンプラニーリョ、ガルナッチャ

アリベスワインの歴史は長く、ローマ人か、恐らくそれ以前にフェニキア人がドゥエロ川をポルトガルのオポルト港からさかのぼっていったと考えられています。ブトウ畑は切り立った渓谷とそのなかにわずかに広がる平原にあり、原産地呼称員会に登録されている17軒のワイナリーが固有品種でワインを造っています。アリベスのワインは、ポルトガルのミーニョ地方とスペインのガリシア地方、両方のキャラクターを持ち合わせた印象があって、とてもエキゾチック。ポルトガルとスペインの国境にあることから二つの国の歴史が融合し、また同時に外部から隔離された環境であるがゆえに、多様なブドウ品種の宝庫になっています。

生産の90%が赤ワインという赤の産地。かつては単一品種、フアン・ガルシアのワインが主流だったのですが、今ではブレンドもされるようになり、その際、地元品種を60%以上使うことが義務づけられています。フアン・ガルシアのワインはプラムやカシスなど黒果実のニュアンスがあり、樽熟成によってバニラ、ユーカリ、リコリス、ミネラルやナッツなどをともなって、滑らかさのなかに力強さが備わります。

Vineyards over there

アリベス・デル・ドゥエロ自然公園/Parque Arribes del Duero

アリベス・デル・ドゥエロ自然公園はスペインのサラマンカ県とサモラ県の間、ポルトガルとの国境に位置し、ポルトガル側ではドウロ自然公園として保護地区に指定されています。ユネスコ・メセタ・イベリア保護区にも指定される、イベリア半島最大の自然保護地区(1,132,607haだから長野県くらい)の主役は、川と渓谷。最大500メートルの高低差のなかにスペインで最も多くの渓谷群がみられ、トルメス川とドゥエロ川が出合うアンバサグアス渓谷、閃長岩の巨大岩、ペーニャ・ゴルダス、高低差200メートルの大滝、ポゾ・デ・ウモスといった壮大な景色がつぎからつぎへと現れます。

アリベス(Arribes)という地名は、もともと海岸を意味するラテン語のadripa-aeに由来しているらしい。確かに前述のドゥエロ川やトルメス川のほかにも、アゲダ川、フエブラ川、ウセス川、エスラ川など、いくつもの川のコースがあって、文字通り「ドゥエロの川岸」たる堂々とした地形を形成しています。

植生も豊か。ジュニパー、虫こぶのオークの木、セイヨウヒイラギガシ、コルクの森が広がっています。また、この高地にはめずらしい地中海性気候の植生もみられ、ブドウ、オリーブ、アーモンドの木々、動物群ではボネリークマタカ、イヌワシ、コンドル、エジプトハゲワシ、ハヤブサ、ワシミミズクなどの猛禽類が大空をゆったりと旋回している姿がのびやか。哺乳類ではカワウソ、テン、キツネやイノシシなども生息しています。

Stock image By Sam Bark

自然公園についたら徒歩や自転車で辿れるたくさんのルートが整備されているし、ミラドール(展望台)も要所要所にあるからどこからでも絶景が楽しめる。アリベス・デル・ドゥエロの川下りクルーズも最高。

Stock image By Daniel Llorente
Stock image By Raimond Klavins
An English countryside like cozy little village

自然保護地区には、ローマ時代にさかのぼる中世の村、フェルモセリェがある。周辺の小さな村々にはケルト文化の痕跡がいたるところにあり、緑豊かで穏やかな風景はスペインというよりイギリスの田園と見まがう風景。

羊のチーズ(もちろん手づくり)やサラマンカの希少種サヤゲサ牛の子牛肉、ラム、イベリコ豚が名産品。オルナソ/Hornazoというミートパイのような伝統的なパンや、ガリシアでお馴染みのタコとじゃがいも、ハム類も見逃せません。アリベスのワインで乾杯!

Soup of “Bacalao” -バカラオとひよこ豆のスープ
Sayaguesa Veal -サヤゲサ牛。味付けは塩だけ

<行き方・楽しみ方>
おすすめはフェルモセリェに宿泊してアリベス自然公園を楽しみ、ワイナリー見学をするコース。軒先で小さなお店を開いているワイナリーもあり、手づくりのチーズやはちみつ、パンなどを売っていてそのどれもが絶品。

RUTA del Vino 現在の登録ワイナリーはこちら:
 Arribes del Duero Sociedad Cooperativa
 Bodega Frontio
 Bodega el Hato y el Garabato
 Bodegas Pastrana
 Bodega Ribera de Pelazas
 Bodega Romanorum
 Bodega Viña Romana
 Hacienda Zorita Natural Reserve

<フェルモセリェ/Fermoselleに泊まる>
5つ星ホテルから、長期滞在に向いたアパートメントまで、スタイルに合わせた宿が充実しています。

Hacienda Zorita Wine Hotel & Organic Farming
14世紀の修道院をリノベーションしたリゾートスパホテル。トルメス川を見下ろす絶景ポイントにあり、グルメのレストラン、ワインスパ、セラーでのワインテイスティングが楽しめます。ウェブサイトで紹介されているツアープランも最高。ウェブサイトには見たら絶対に行きたくなってしまう動画があるので必見。

“1366樽のワインが眠るマルケス・デ・ラ・コンコルディアでのワインテイスティングをして、
ユネスコ世界遺産にも登録されているサラマンカの歴史地区へショートトリップ。
ファミリー向けには徒歩10分にあるホテルの農場ツアーをして、チーズの試食や田舎料理を楽しむのもおすすめ。夕食はホテルのレストラン、ソリタズキッチンで最高の料理と地元産の最高のワインを堪能したら、のワインバーで食後の寛ぎのひとときを”(筆者訳) 出展:SLHウェブサイトより引用

La Casa del Regidor
分厚い花崗岩の壁と太い木の梁のある18世紀の住宅、ラ・カサ・デル・レヒドールは、大人2名で7000円弱とリーズナブル。国立公園のなかにあり、美しい渓谷を眺めながらテラスで朝食がいただける。隣は12世紀に建てられたヌエストラ・セニョーラ・アスンシオン教会。近くのプラサ・マヨールには、季節の良い時期なら外で寛げる心地の良いバルもある。

Pallozas in Cebreiro セブレイロのかわいいおうち

温かみのある自然素材の家

オ・セブレイロ村で巡礼路より気になるのが、パロザスと呼ばれる茅葺屋根のおうちです。温かみのあるかわいいフォルム。これが古代ケルト人のおうちで、ほんのつい最近、20世紀の終わりまで実際にひとが住んでいたと聞くと、ますます興味がわいてきます。

紀元前3世紀に古代ローマ帝国がイベリア半島にやってくるまでは、現在のスペインの大部分にケルト人が暮らしていました。鉄器時代のイギリスの円形集落や、ケルト人が築いたカストロ文化(青銅器時代からローマ文化に取り入れられるまでのイベリア半島北部の文化)そのままに、円形の石の土台を、ガリシア語でパラザ/pallazaという茅葺の屋根でおおって家畜とともに暮らしていたそうです。

Castro in A Guarda By Henrique Pereira

20世紀も後半になってようやくこの地方にも新しい建築資材を運び込むことができるようになり、使われなくなったパロザスのいくつかはガリシアの村や、レオンのアンカレスの谷、アストゥリアス西部に移築保存されているそうです。

オ・セブレイロ村のパロザスはというと、博物館になっているものがあります。低い壁と茅葺屋根は過酷な山暮らしに合わせて工夫されています。重たい雪と風雨に耐えるための高く厚みのある屋根、凍えるような寒さをしのぐために窓はほとんどなく、熱を逃がさないようにしています。山の傾斜や土地のくぼみを利用して排水も考えられています。花崗岩やスレート、オーク材、藁など土地の材料を使ったかわいいおうちは、標高1300メートルの自然のなかにやさしく溶け込んでいます。

Palloza, Pedrafita do Cebreiro By amaianos
Pedrafita do Cebreiro By Bjørn Christian Tørrissen

キリスト教の時代になり、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の要所となっても、ケルトのパロザスが取り壊されずにずっと共存していた奇跡に、村人の愛を感じます。Me gusta!

<STAY -セブレイロに泊まる>

Hotel O Cebreiro (informacion@hotelcebreiro.com, Tel 34 982367125)

もと町役場兼刑務所!らしいです。

Hostal Meson Anton (Tel 34 638 35 07 53)

Queso Cebreiro DOP コック帽のようなかわいいチーズ

ケソ・デ・オ・セブレイロ

ケソ・デ・オ・セブレイロはガリシア州北東部のルーゴ県で作られている牛乳が原料のフレッシュチーズ。コック帽やホワイトマッシュルームのような独特の形と少し酸味のある味わいが特徴です。2008年にはEUの原産地認証/DOPも受けています。

布の上で丸一日乾かすことで酸が上がり、水分が抜けてかわいらしい形に仕上がります。水分のないしっかりとしたフレッシュチーズなので、一般的なフレッシュチーズよりもリコッタチーズや密度の高いカッテージチーズに似た食感になり、洋梨や桃のコンフィチュール、トーストや蜂蜜と一緒に食べるのがおすすめです。切り分けたフレッシュチーズに、とろりとしたコンフィチュールや蜂蜜は見た目にも美味しさをそそります。

Stock image写真はイメージです

スペインで最も高価だったマイナーチーズ

起源は9世紀の終わり頃、サンティアゴ巡礼を行く巡礼者のために建てられたホスピス(病院や休憩所)で奉仕活動をしていた修道僧が、オ・セブレイロ村に定住したことにはじまります。オ・セブレイロといえばケルト文化が残る標高1300メートルの集落。巡礼者は前の宿泊地ベガ・デ・バルカルセからでも、高低差700メートルの急な登り坂をひたすら歩くことになります。盗賊などもいたかつて、ここは「フランス人の道」最後の難所と言われていました。

千年以上の長いチーズの歴史も20世紀の終わりには消滅の危機を迎え、地元の婦人会が家庭用に細々と作るのみとなりますが、信仰が今より盛んだった時代は、オ・セブレイロ村で骨休めをした巡礼者が味わい、その美味しさを各地に伝えていました。そのなかにはカトリック両王、カルロス3世やポルトガルのイサベルの名もあり、スペインからポルトガルに大量に輸出された記録があります。18世紀の年代記にはスペインで最も高価なチーズと記載され、同じく千年の歴史を持つブリー、マロワル、ヌーシャテルに次いでヨーロッパでは4番目に高価だったという記録も残されています。

Brie, Maroilles, Neufchâtel and Cebreiro, all made with cow milk

なんでも手に入る昨今でも、賞味期限の短さゆえに輸入のハードルは高く、現地に行かないと食べられない食材です。職人が作る高品質のチーズを扱うマドリードの専門店、フォルマヘ/Formajeでは、カルロスさんというチーズ職人さんのケソ・デ・オ・セブレイロを愛情いっぱいに紹介しています。

“わたしたちがカルロスを好きなのは、チーズ職人になる前は牧場主をしていたので、牛乳のことを知り尽くしているからです。職人になると決めてすべて家畜を売り払い、チーズ作りに専念しながら、ガリシアの牛乳、つまり隣人たちの牛乳を素晴らしいチーズに変えて価値をもたらしています” 

出展:Formajeウェブサイトより引用

悩み多きは現代人も同じ。宗教心からだけでなく、自分への挑戦やスポーツ感覚での参加も含めて、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼者の数は年々増えています。1991年にガリシアの特産品に認定されたことや、続く1993年に「フランス人の道」が世界遺産に登録されたことも人気を後押しし、ケソ・デ・オ・セブレイロは消滅の危機は免れました。現地に行ったら味わってみたい産品です。

ケソ・セブレイロのレシピ 

原産地呼称委員会、Queixo de Cebreiro のウェブサイトに、ケソ・セブレイロのベストレシピ50が紹介されています。残念ながら写真がなく、国内向けのため言語はスペイン語とガリシア語のみですが、前菜のサラダから、パスタ、魚料理、お肉、デザートまですべて網羅されていて圧巻。地元ならではの多彩なアイデアはとても参考になります。

全部は無理なので、そのなかから簡単で面白そうなものを一つご紹介します。リコッタで代用してみてはいかがでしょうか。また、クリームスープとしてだけでなく、少し濃厚に仕上げてソテーした白身魚のソースにしてもよさそうです。

ケソ・セブレイロとレタスのクリームスープ

<材料(4人分)>
レタス ・・・・・・2個
オ・セブレイロ ・・80g
牛乳 ・・・・・・・500ml
じゃがいも ・・・・2個
バター ・・・・・・40g
塩、パン、パセリ

<作り方>
じゃがいもは小口に切り塩水でゆで、レタスは蒸しておく。じゃがいもとレタスに牛乳、チーズ、バターを入れてブレンダーで攪拌し、塩で味を調える。パセリのみじん切りをのせて、トーストしたパンを添えていただく。温かいままでも冷やしても美味しくいただけます。

Que aproceche!