タラのサルサヴェルデ

白ワインに良く合うスペインでも人気のバスク料理。とっても簡単です!

タラのサルサベルデ/Bacalao en salsa verde con almejas

材料(2人分):

 タラの切り身:2枚(一切れ150g程度)
 アサリ:10個
 ニンニク:1片
 小麦粉:小さじ1
 白ワイン:小さめのグラス1/2杯
 水:グラス1杯
 オリーヴオイル
 塩、パセリ

作り方

1)刻んだニンニクをオリーブオイルで炒め、きつね色になったらアサリと小麦粉を入れる。

2)タラに塩を振り、別のフライパンで身から先に焼く。

3)白ワインを注ぎ、刻んだパセリと水を注ぎ約5分間煮る。最後にあさりのソースを合わせて、刻んだパセリを入れ勢いよくソースと絡ませる。

この爽やかさ、まるで大西洋の風!

グラスから溢れるハーブや柑橘の香り、カランカランとグラスに触れる涼やかな氷の音。今や世界的に人気が過熱するアルバリーニョだが、そのアルバリーニョ(それも極上の)をベースワインにしたベルムットが“食事に合うテロワール系ベルムット”、エントロイドだ。

「世の中に品質を追求したベルムットがほとんどない。それなら自分たちで作ってしまおう!」。ベルムットが大好きなアデガス・バルミニョールが、そう考えて4年の歳月をかけて地元ガリシア産のハーブを厳選し、ベースワインにこだわって本気も本気で取り組んだ。だから美味しい。週末にのんびりと一杯。ランチやディナーの前に仲間とわいわい話しながらまた一杯。リフレッシュのマストアイテムとして傍においてはどうだろう?

【ベルモット/ベルムット】白ワインに香草やスパイスを漬け込み酒精強化したフレーバードワイン、ベルモット。スペインではベルムットやベルムーという名前で親しまれてします。ニガヨモギを使うことが必須で、この名称はドイツ語のwermut(ニガヨモギ)に由来していると言われています。ハーブ系のお酒は食欲をたまらなく刺激する独特の心地よい苦みがあり、そのため本来は食前酒として楽しまれてきました。一時は下火になりましたが、スペインでは2015年頃から若者の間でベルムット人気が再燃しています。

エントロイド ブランコ/Entroido Blanco: Albarino 100% plus fresh herbs from Galicia

エントロイド ブランコ(白):厳選した22種類のハーブが漬け込まれたブランコには、アカキナなどガリシア地方に生育しないもの以外はすべて地元産を使用。意外に控えめなトップノーズにはシトラスやフェンネル、月桂樹の香りが隠れ、のど越しにぎゅっと凝縮した美味しさが流れ込む。これがベルムット?と思うだろう。そう、それが造り手のコンセプトだ。

★良く合う食材:ドライフルーツ、ムール貝、ツナ、サーモン、ナチュラルチーズなど。

凝縮感のあるブランコなら高品質の白ワインさながらに、前菜からメインディッシュまで食事を通して楽しめます。メインは魚、鶏など白身のお肉、またはお肉や野菜のパイなど。野菜の素揚げや天婦羅などもよく合います。

★22種類のハーブたち:赤キナ樹皮抽出物、ホップ、ローズマリー、ニガヨモギ、ジュニパー、ショウガ、ペパーミント、ノコギリソウ、セイヨウトウキの根、バニラ、カルダモン、レモン、フェンネル、月桂樹、バラ、シナモン、ユーカリ、ルバーブ、コリアンダー、オレンジ、カモミール

エントロイド ロホ/Entroido Rojo: Albarino 100% plus fresh herbs from Galicia

エントロイド ロホ(赤):ブランコと同じ製法で造られてるロホ。違いは色合いとハーブの種類。ベースの白ワイン(アルバリーニョ)に色素で着色しているのだが心配ご無用。すべて本物にこだわるから自社畑の黒ブドウの果皮から色素を抽出するという手間暇をかけている。ハーブは12種類*とブランコより少ないが、香りは圧倒的。トップノーズに開く柑橘系の香りは苦味を伴いまるでグレープフルーツのような爽やかさを感じながら、バニラを想わせるふくよかなニュアンスがじわじわと広がっていく。ああ、もう虜!

★良く合う食材:アンチョビ、イカの墨、タコ、甘いデザートなど。

ロホは少しカジュアルダウンして気さくなおつまみもお勧め。生ハム、チーズ、トルティージャ(卵とジャガイモのスペインのオムレツ)、コロッケ、ボケロネス(小魚の酢漬け)などのタパスや、日本の居酒屋メニューみたいなものが簡単でお勧め。焼き鳥とエントロイドなんて想像しただけで至福です。

12種類のハーブたち:赤キナ樹皮抽出物、ホップ、ローズマリー、ニガヨモギ、ジュニパー、ショウガ、ペパーミント、ノコギリソウ、セイヨウトウキの根、バニラ、カルダモン、レモン

★動画:生産者さんの解説が視聴できます→エントロイド ブランコエントロイド ロホ

美味しさの源は大西洋のはじける笑顔

Adegas Valmiñor

生産者:アデガス・バルミニョール
生産国・産地:スペイン、リアス・バイシャスD.O.

スペイン人は誠実でありガリシア人はそれ以上。D.O.リアス・バイシャスに今や数軒残るのみとなった生粋のガリシア人によるワイナリー、アデガス・バルミニョールは、1997年に創設者のカルロスが一代で築いたワイナリー。カルロスを中心にスタッフがまるで家族のように仲が良く、訪問者を友人のように迎えてくれる。

バルミニョールというワイナリー名は、カルロスが住む渓谷から取ったもの。実はこの渓谷、コロンブスがアメリカ大陸から帰国した際に3隻の船が着いたという歴史スポットでもある。産地の最南端(リアス・バイシャスに5つのサブゾーンがある)、ミーニョ―川を挟んでポルトガルと国境を接するオ・ロサルにあり、この辺りは河口から広がる大西洋とほとんど水平のようなスペインでは珍しい標高の低さが特徴だ(リアス・バイシャスという産地名は低いリアス式海岸という意味)。

大西洋の冷涼な風を受けて、4つの区画に分かれた34ヘクタールの畑からアルバリーニョ種を中心に国際的には幻のソウソン、ブランセリャオ、カイニョ・ティント、カスタニャルといった地元の“文化財”の栽培にも熱心なのだが、とにかくどれ飲んでも美味しい。それに樽発酵・樽熟成のアルバリーニョやベルムット(極上のアルバリーニョがベースワイン!)のような変わり種を造ったって、彼らが造るならちゃんと理由があり、それは絶対に美味しいということは飲む前から分かっている。知識、献身、情熱、そして愛情がワインを生み出す原動力となっていることは、ここで働く人々の笑顔にちゃんと書いてある。

Vineyard site: Catuxa
Vineyard site:  Figueiró 

★動画: Short Tour

★かもめの本棚『ワインと旅するスペイン』:連載第6回スペインの異世界ガリシア(下)

龍伝説の村の至宝のリースリング

Forster Ungeheuer Riesling GG, Pfaltz, Grosses Gewachs, Germany

生産者:ヴァイングート・フォン・ウィンイング
ワイン名:フォルスター ウンゲホイヤー リースリング GG
味のタイプ:白・辛口
ブドウ品種:リースリング
生産国・産地:ドイツ・ファルツ

かくも美しいドイツの至宝リースリング。その極みの一端がフォルスト村にあるわずか3ヘクタールのグローセス・ゲヴェックス(グラン・クリュ)、ウンゲホイヤーだ。18世紀から20世紀初頭にかけて世界に君臨したこのワインも第二次世界大戦とその後の動乱を経て忘れ去られ、ドイツワインといえば安物という苦難の時代を迎える。しかし、ジャンシス・ロビンソンが著書『ジャンシス・ロビンソンの世界一ブリリアントなワイン講座』でそう述べるように、そこには品質を磨き続けた人々がいた。

“その間も高品質を志向する少数派の頑固なワイナリーは、ドイツの畑でなし得る偉業の証しともいうべきワインを造り続けた” -本文より抜粋-

フォルスター ウンゲホイヤー(フォルスト村のウンゲホイヤー)。ドイツの精神そのものである驚異のクオリティワインは、21世紀の今、再び表舞台に登場した。とてつもなく複雑、計り知れないほどの香り、常識を軽やかに超える長期熟成が約束されている。言うまでもないが、およそリースリングに用いられる月並みな表現はこのワインには当てはまらない。

Tremendously complex, immensely aromatic, enormously age-worthy. No words you would probably use to describe Riesling would not match this wine. That is… Von Winning Forster Ungeheuer Riesling GG!

柔らかくも濃厚。砂漠の花の超絶バランス

生産者:ボデガス・アスル・イ・ガランサ
ワイン名:デシエルト
味のタイプ:赤・フルボディ
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン
生産国・産地:スペイン・ナバーラD.O.

デシエルト/Desierto: Canernet Sauvignon 100%

普通、ワイナリーの最上級ワインといえば玄人受けはすれど、初心者を喜ばせることは滅多にない。味わうには飲み手にもそれなりのレベルが求められるからだ。ところがこの「デシエルト」という赤ワインは不思議とどんな人もギュっと包み込み、虜にしてしまう大らかさがある。その一端は、しっかりと完熟して円やかになったタンニンにあるだろう。赤ワインの渋味が苦手という難関は、すでに解決されているのだ。あとはこの類まれなる凝縮感を味わうのみ。

このワインの造り手「アスル・イ・ガランサ」は、自然への敬意で結ばれた3人の若者が20代の頃に理想のワイン造りを求めて立ち上げたワイナリーだ。そこは量産には向かない常識外れの不毛地帯、スペイン北東部ナバーラにあるヨーロッパ最大の砂漠、ラス・バルデナレス・レアレス近郊。

砂漠から1キロしか離れていないわずか2ヘクタールの単一畑「デシエルト(砂漠)」は、カベルネ・ソーヴィニョンが栽培されている。何を栽培しても凝縮感が圧倒的だったというこの区画に、最も適合したブドウがカベルネだったのだ。厳しい気候の下で、ブドウの房は指でつまむほど小くなり、年間生産量は3000本足らずととても限定的。

ガトーショコラとも至福のペアリング

イカ墨のリゾットやガトーショコラなど、ワインが難しい食べものにもマッチする。いや、ここはシンプルに、大ぶりのグラスに入れて1時間後、3時間後、5時間後と開いていく味わいの変化を楽しむのもよし。

★かもめの本棚『ワインと旅するスペイン』:連載第1回目ナバーラの砂漠がわたしにくれたもの

自然派の造り手、フアシェを飲んで泣く

Domaine Fouassier

Benoit (right) and Fouassier family

生産者:ドメーヌ・フアシェ
生産国・産地:フランス・ロワール地方サンセール

初めて飲んだ時、一口で「これだ・・・!」と衝撃を受けた透明感。フアシェに出会えてサンセールの旅が終わったと思うくらい、心底魅了されている。


3種類あるサンセールはそれぞれにはっきりとした個性があるが、醸造方法は全く同じ、違うのは土壌だけ、という代物。テロワールワインは数多あれど、こういう取り組みをしてくれるとワインラバーとしては本当に痛快。テロワールがなにか知りたかったら難しい説明はいらない。フアシェを飲めばいいのだから。だから3種類、全部、できれば並べて飲む価値がある。わずか100~300メートルしか離れていない区画の違いを映し出せる造り手は飲む価値がある。


サンセールがソーヴィニヨン・ブランの産地になったのは19世紀のフィロキセラ禍以降。畑を馬で耕作していた当時、斜面の仕事は重労働で、被害を機に耕作転換が進んだ。そんなとき、進んで近隣の栽培家から畑の買い取りに応じていたのがフアシェ家だ。だから、今ではサンセール村のほとんどすべての優良区画を持っている。


きっちりと完熟したサンセールのソーヴィニヨン・ブランにはグリーンでハービシャスなアロマがない。サンセールの土壌はソーヴィニヨン・ブランに宿るミネラル感の現れ方で世界の産地と一線を画すと言われ、だからこそフアシェは区画ごとに土壌を分けてテロワールワインへと邁進した。
SO2をほとんど使わないと聞くとちょっと身構えてしまうが、こんなに果実味がきれいで安定感があるのには驚いてしまう。
現在の当主、ブノワ・フアシェはフランス人なのにバカンスを取ることがほとんどない。畑の手入れがしたいし、畑にいることが本当に幸せなんだと言う。

#わくわくするようなストーリー

地中海の宝石マジョルカ島の自然派がこんなにきれい

4 kilos Vinicola

Francesc Grimalt and Sergio Caballero(right)

生産者:クワトロキロス ビニコラ
生産国・産地:スペイン・マジョルカ島


一人は最優秀醸造家賞受賞の醸造家(左)、もう一人はその道では名を馳せるミュージシャンで、コンビの出会いは行きつけのワインバー。ブドウ栽培者のガレージを借りて、牛乳の冷却装置を活用しながら最初のワインを仕込んだのが2006年。島でしっかりとブドウ栽培に取り組む栽培家たちと手を組んで、(この栽培家たち一人一人がまたとても個性的だ)、今も飲んでちゃんと美味しいアートなワインを造り続けている。

クワトロキロスを初めて飲んだのは2008年のバルセロナ。ドツ・ボルツというワインで、カイエット、フォゴノウというマジョルカ島の地ブドウが主体になっている。赤ワインはフルボディでも力で押してこないタイプが好き。これはド・ス・ト・ラ・イ・ク!濃くてもスルスル飲めるって本当に良いワインだと思う。そんな体験を飲み手に期待して、フランセスクとセルヒオはドツ・ボルツ、12ボルトの衝撃を浴びてくれ、とネーミングした。地ブドウ主体のワインなのにどこか帰国子女の香りがするのは、フランス品種が少しづつブレンドされているからだろう。ナチュラルワインもギリギリのものから、ちゃんとしたものまで幅広いけど、このセンスには感心してしまう。


小さなワイナリーなのにコンパクトにまとまったラインナップの広さが面白い。亜硫酸無添加のモトール、マジョルカ島の伝説の協同組合へのオマージュである島スタイルのアイランド・シンジケイト(これが絶妙に薄旨系)、一転、モダンな醸造法で地ブドウを醸したクワトロキロス、圧巻はカイエット種の女性らしさを余すところなく引き出した樽醗酵樽熟成のトップキュヴェ、年間生産量たったの700本のグリマルト・カバジェーロだ。

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衝撃の急斜面から滴るエレガンス

Weingut Schloss Sommerhausen

Martine Steinmann

生産者:ヴァイングート・シュロス・ゾンマーハウゼン
生産国・産地:ドイツ・フランケン地方

今の所1435年設立の15代目当主ということになっているマルティン・シュタイマンだが、古文書からどんどん古い資料が見つかるのでこの先は分からない。


至宝リースリングを擁するドイツワイン界にあって、リースリング以外のワインで異彩を放つフランケン地方は実は見逃せない産地。独特の形をしたボトルに入った男性的なワインで知られるが、ここゾンマーハウゼンは淑女のワインと呼びたくなる清楚な味わいが特徴だ。


今どき珍しいシンプルなラベルを侮るなかれ。控えるのは一級畑、シュタインバッハの名品たち。まともに立っていられないほどの傾斜角を持つこの畑は、眼下を流れるマイン川の反射熱を蓄熱し、冷涼地にもかかわらず毎年みごとなブドウを育てている。
対岸に見える集落はヴィンターハウゼン。冬の家という意味だ。そう、ゾンマーハウゼンは夏の家。寒冷なフランケンの地にあって、ひとびとは夏の温かさを持つこの小さな村を選んで畑を作り、ドイツ最高峰のワイン造りを行ってきた。


歴史を感じる鉄製の大きな鍵でお城の重い木の扉を開けると、すり減った石造りの階段が地下のセラーへと続いている。無数のボトルが眠る先、一番奥にあるのはトラディショナル方式のゼクトの名品の数々。この泡は一転、繊細さのなかに男性的な骨格があり、はっきりとしたミネラルに痺れる!
蝋燭を灯して暗闇のセラーを歩くと、反響する靴の音に乗せてなんだか歴史が向こうから語りかけてくるような錯覚を抱く。

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三流品種をガレージで造っても美味

Bodegas y Vinedos Ponce

Juan-Antonio Ponce

生産者:ボデガス・イ・ビニェードス・ポンセ
生産国・産地:スペイン・マンチュエラD.O.

「ボバルという品種はスペインのど真ん中、ラマンチャ地方のマンチュエラやウティエル・レケナを故郷とする三流品種らしい」。なんて言われ方をされて気の毒だけど、品種の個性が顧みられることなく、量産ワインのかさましや色付けに使われていたと聞くとなるほど言い得て妙。

2006年、フアン・アントニオ・ポンセのワインを試飲したときの衝撃は忘れられない。聞けばボバルというこの品種、フランス舌のわたしには新鮮で、荒削りだけどまとまりがあって確かなフィネスを感じる。
一年に一度しかできない農作物のワイン界にもトレンドはあり、ミレニアムの激変がスペインの新潮流と言われた若い醸造家たちの原点回帰のワイン造りだ。その筆頭がポンセ。ヨーロッパのテイスターの間では噂になっていた。

代々続く栽培家の出だから地ブドウの良さは知り尽くしている。若い人が嫌う野良仕事を厭わず、醸造では品種に向き合うタイプの造り手だ。丹念に手入れされたポンセのボバルは古木が多く、だからこそ若木にはない品を湛えている。名うてのテースターをして「これがボバルなのか・・・!」と驚かせたポンセのワインは、品種のポテンシャルを見抜く目と手を抜かない仕事の賜物だ。なのに驚くほど安い。
ポンセにはボバルのほかに、幻の品種で造るワインもある。良いワインになるブドウは手間のわりに量産できないから忘れ去られていく。こんな畑をドライブ中に見つけては一軒一軒周っていくんだから、もう地ブドウの守護神と呼びたい!どんな品種でもポンセが造るというだけで信じるに値する。そんなフアン・アントニオは26歳の宣言通り、独立10年目で立派なワイナリーを建設した。

#わくわくするようなストーリー

地中海のブドウ栽培家たちが話したら

4 kilos番外編

最優秀醸造家と世界的アーティストという異色のコンビが織りなすマジョルカ島の自然派ワイナリー「クワトロキロス」が、ブドウ畑の主役である栽培家たちの声を映像にまとめました。日本から遠く離れたスペインの美しい島で、どんなことを考えてどんな風にブドウを栽培しているのでしょう?

動画のタイトルは『Vinas, Ovejas y Ovnis ~ブドウ畑、羊と未確認飛行物体』。島の栽培家たちが話す言葉はマジョルキン(マジョルカ語)、かつすごい訛り。

それではどうぞ!★動画:Vinas, Ovejas y Ovnis(制作:4 kilos)

LUNA (月) シモ・アブリル/ブドウ栽培家 (0:00)

ブドウ樹、剪定、植樹、その他すべての畑仕事に月が影響しているのは明らかだ。なぜだって?月の運行に従って剪定をしたら樹液が良く出て、よく成長し、よく根付いたことを実際に確認したからそう断言できる。例えば畑で月の動きや兆候を見ながら植樹した 9000 本のうち、駄目になったのはたった一本だけだった。果実、根、そのほか全てにおいて適切な日を見極めると 9000 本のうち失敗はわずか一本だったんだ。それが何だって? ただのミスだったのか、もともと植樹した時から状態が悪かったのか?9000 本だぞ?少なくないだろう。普通なら失敗率は 2%だ(※約 180 本)。


満月にかけてブドウの樹はより多くの房をつけ、月が欠けていくときはブドウの樹が成長するときだ。だから弱い樹に手はかけない。まずしっかりとした幹を作り、新月に剪定することを心掛けている。別の言い方をすれば、ブドウの樹は新月の時に最も生命力 が弱まる。満月にかけてはよく涙を流す(※樹液がよく滲み出ることの比喩)。だから剪定はできれば月齢が 高くなるとき(※つまり新月に向かうとき)にしたいんだ。新月に向かうときに樹液が下がってくるからだ。月の 影響は、満月に向かうとき樹液は上がりよく涙を流し、新月にかけては樹液が下がりあまり涙を流さない。

天気に変われとお願いはできないが、月の運行に従うことは天気にお願いごとを聞いてもらことと同じだ。そうでなければ天気と闘うことになる。そう、単純なことなのさ。

TERRENO(土壌) トニ・ベルトゥラ/ブドウ栽培家 (2:55)

「Son Roig/ソン・ロイグ」は 25ha の畑で主な土壌はカルベルメル。そこに石と砂利が混ざっている。カルベルメル土壌はより多く石を含んだものとより粘土を多く含んだもの(粘土質土壌の色は黄色から灰色)の2種類に分けられる。ここから下の方はカルベルメルだけの土壌で、石は全く無い。だから畑の性質は全く異なる。石は畑に太陽の熱を通さないからブドウの樹は常にフレッシュで、それがカルベルメル土壌と合わさることで土の中は常に冷んやりしている。「石とこの土壌は日光を通さない」というのがこの畑の特徴だ。


畑では昔のように働くことを心掛けている。今では以前より畑の状態が良くなってきたと実感しているよ。われわれで4代目で、祖父と父親と一緒にこの方法に戻したのさ。前は石灰と硫酸銅を混ぜなければならなかったが(※ボルドー液のこと)、今では畑仕事が楽になり、ワイン造りも楽になった。


もう一度強調させて欲しい。私にとって一番大切なのは土だ。70%は土で決まる。ここ「Son Roig」はブドウ栽培とワイン造りに特権を持つ区画なんだ。

OVEJAS(羊) シャウメ・ソン・ロセジョ/羊飼い(5:07)

わたしたち家族はずっと羊と一緒に暮らしてきた。私は今年で47歳になるが、その間ずっと羊と共にいる。羊たちはカルベルメル土壌(ティエラ・ロハ/赤土)にいるとよく草をはむ。ティエラ・ロハの草はティエラ・ブランカ(白土)より美味しいからだ。それにティエラ・ブランカで草を食べるより、カルベルメルの石を舐めるのが好きだ。カルベルメルの石の方が草より美味しいからだし、もっと広い野原に放っても気が付けばカルベルメル土壌がある場所に集まってくる。

むかし、老人に言われたことがあるよ。「カルベルメルで羊を放牧したらミルクはあまりとれない。とれたとしてもその場でチーズになってしまうぞ」と。ティエラ・ブランカだとミルクはよく採れるがチーズはできない。凄い違いだろう?うちは3ヘクタールの放牧地のうち半分がカルベルメル、残り半分がティエラ・ブランカだ。この辺りでは本当に大きな違いを生むんだ!例えばあっちがティエラ・ブランカ、その小道一つ向こうがティエラ・ロハ(カルベルメル)だ。こんな狭い所でも違いがあるだろう?さあ、一緒に見に行こう。

COBERTURA VEGETAL(植物の覆い) ビエル・ナダル/ブドウ栽培家 (6:40)

冬場のハーブは畑を温めながらもくもくと耕作を続けるものだ。人間が畑を耕す必要はなく、土中の虫たちもまた仕事をしてくれる。春に向かって畑が成長期に入ると雑草は枯れ、天然の肥料になる。夏の畑では競争がない。なぜかというと虫たちが夏眠につくから競争が起きない。夏、ハーブは畑から何も吸収せずに枯れてしまう。こうして畑では何も問題が起こらず健やかでいるんだ。

ある日、藁を敷いた他の人の畑を歩くことがあった。藁で畑の中を涼しくしているんだなと思ったが、ハーブがあればそもそも藁を敷く必要がない。こうした畑仕事をしなくなってもう3年になるが、何も変わったことは起きていない。これが一農民である私が畑で見つけたとても“不可思議”なことだ。私にはこの汚い畑よりもっと整っていて美しい畑を持っている知り合いがたくさんいるが、彼らが私の畑を見ても普通のことが何も見つからないようだ。92歳になる父はこう言う。「この何もしていない畑。まるで昔の畑のようだ」と。

今、私はとても幸せだ。畑に散歩に行き、「ああ!なんて素晴らしいブドウだ!」と思うことができるからだ。素晴らしいブドウがそこにある、これこそが答えだ。以前は「ああ、ベド病だ。畝にベド病が出た」と騒ぎ、「うろたえるな。耐え凌ぐんだ」と自分に言い聞かせていたものだ。こうなるとブドウの葉は検査され、有機栽培で禁止されている物質を使っていないかも検査された。使ってなんかいないのに。

もはや私たちに検査は必要ない。今年に入って、他にも何人か畑仕事をしないことにした栽培家がいる。私の畑がとても健全なのを見て、辞めたのだ。ある日彼らが私にこう言った。「もうシラーはやめたよ。枝が長くなり過ぎるし、成長し過ぎるからね」と。これから少しずつでも、皆がそうするようになるよ。

OVNI(未確認飛行物体) ジョアン・デ・ソン・スアウ/農家(9:12) 

俺は畑で宇宙人を見た~。本当に本当だぜ~って延々と語っています!笑