生産者:ヴァイングート・シュロス・ゾンマーハウゼン
生産国・産地:ドイツ・フランケン地方
今の所1435年設立の15代目当主ということになっているマルティン・シュタイマンだが、古文書からどんどん古い資料が見つかるのでこの先は分からない。
至宝リースリングを擁するドイツワイン界にあって、リースリング以外のワインで異彩を放つフランケン地方は実は見逃せない産地。独特の形をしたボトルに入った男性的なワインで知られるが、ここゾンマーハウゼンは淑女のワインと呼びたくなる清楚な味わいが特徴だ。
今どき珍しいシンプルなラベルを侮るなかれ。控えるのは一級畑、シュタインバッハの名品たち。まともに立っていられないほどの傾斜角を持つこの畑は、眼下を流れるマイン川の反射熱を蓄熱し、冷涼地にもかかわらず毎年みごとなブドウを育てている。
対岸に見える集落はヴィンターハウゼン。冬の家という意味だ。そう、ゾンマーハウゼンは夏の家。寒冷なフランケンの地にあって、ひとびとは夏の温かさを持つこの小さな村を選んで畑を作り、ドイツ最高峰のワイン造りを行ってきた。
歴史を感じる鉄製の大きな鍵でお城の重い木の扉を開けると、すり減った石造りの階段が地下のセラーへと続いている。無数のボトルが眠る先、一番奥にあるのはトラディショナル方式のゼクトの名品の数々。この泡は一転、繊細さのなかに男性的な骨格があり、はっきりとしたミネラルに痺れる!
蝋燭を灯して暗闇のセラーを歩くと、反響する靴の音に乗せてなんだか歴史が向こうから語りかけてくるような錯覚を抱く。