生産者:ボデガス・アスル・イ・ガランサ
ワイン名:デシエルト
味のタイプ:赤・フルボディ
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン
生産国・産地:スペイン・ナバーラD.O.
普通、ワイナリーの最上級ワインといえば玄人受けはすれど、初心者を喜ばせることは滅多にない。味わうには飲み手にもそれなりのレベルが求められるからだ。ところがこの「デシエルト」という赤ワインは不思議とどんな人もギュっと包み込み、虜にしてしまう大らかさがある。その一端は、しっかりと完熟して円やかになったタンニンにあるだろう。赤ワインの渋味が苦手という難関は、すでに解決されているのだ。あとはこの類まれなる凝縮感を味わうのみ。
このワインの造り手「アスル・イ・ガランサ」は、自然への敬意で結ばれた3人の若者が20代の頃に理想のワイン造りを求めて立ち上げたワイナリーだ。そこは量産には向かない常識外れの不毛地帯、スペイン北東部ナバーラにあるヨーロッパ最大の砂漠、ラス・バルデナレス・レアレス近郊。
砂漠から1キロしか離れていないわずか2ヘクタールの単一畑「デシエルト(砂漠)」は、カベルネ・ソーヴィニョンが栽培されている。何を栽培しても凝縮感が圧倒的だったというこの区画に、最も適合したブドウがカベルネだったのだ。厳しい気候の下で、ブドウの房は指でつまむほど小くなり、年間生産量は3000本足らずととても限定的。
ガトーショコラとも至福のペアリング
イカ墨のリゾットやガトーショコラなど、ワインが難しい食べものにもマッチする。いや、ここはシンプルに、大ぶりのグラスに入れて1時間後、3時間後、5時間後と開いていく味わいの変化を楽しむのもよし。
★かもめの本棚『ワインと旅するスペイン』:連載第1回目ナバーラの砂漠がわたしにくれたもの