Kinmon Akita Sake Brewery 米の旨みを磨き抜く

Producer: Kinmon Akita Shuzo|金紋秋田酒造
Country/Region: Japan/Akita|日本/秋田県

A NEW CONCEPT: CHALLENGING THE NORMS
Brewed by a modest, local sake brewery whose maxim is “good sake ages well”, X3 AMAIRO was conceived from the principle of “sake food pairing”.
In addition to the adoption of several approaches from the wine industry, such as blending or modern brewing methods, this procedure allows the brewery to create a vast range of unique sake products, totally new both in style and technique. Selective older vintage blends, for instance, provide good examples that validate this doctrine.

RICH IN AMINO ACID
What is unique in “x3 AMAIRO” is the use of Kouji – a rice-malt which is a nationally specially designated fungus in Japan. The proportion of Kouji within “x3 AMAIRO” is three times more than normal – a consequence of which is the production of more amino acid, giving the beverage a value of 2.3.

MIRIN, COOKING SAKE, BY THE WAY
The “fish dish” is as much emblematic of Japanese gastronomy as are Sushi and Sashimi.
The fifth key taste profile, known as Umami (sweet, sour, salt and bitter being the first four) holds an important place in Japanese gastronomy.
The Umami taste is experienced in the variety of Japanese fermented foods such as soy sauce or the fish broth named dashi. This subtle flavour is additionally enhanced by Mirin, itself an essential condiment and very common in many dishes, which is succinctly described as a type of sweet “cooking sake”
A small amount of Mirin is used to either add a bright touch to grilled or boiled fish, to reduce the smell of fish or to help ingredients more readily absorb the Umami flavour.
Due to its high alcohol content and abundance of amylose – which comes from glutinous rice – the savoury balance is rather unsuitable for contemporary drinking although Mirin once had a place akin to Port wine during the Edo period (17th-18th centuries).

KINMON AKITA SAKE BREWERY, “x3 AMAIRO” (photo left)
“x3 AMAIRO” was created to occupy the same role as Mirin yet it is pleasantly smooth on the palate – much like an authentic Junmai-shu – a pure-rice sake made from only rice and water without any distilled alcohol.

When paired with certain foods, that are otherwise usually incompatible with wine – sea urchin or oyster, for instance, the discerning taster will be impressed by “x3 AMAIRO”, especially in how well it brings out the sublime creamy Umami flavour from the sea-urchin and enhancing the taste experience of both the food and the beverage.

A real “food friendly” sake indeed. Whether with a sharp-flavoured blue cheese or to accompany fatty Chinese foods such as braised pork, compatibility is assured.

There is nothing quite like “x3 AMAIRO” but if one had to pick a wine to replace it, Sherry Amontillado from Jerez or the sweet Sauternes are the only candidates.

  • BRAND: x3 AMAIRO
  • BREWERY: Kinmon Akita Sake Brewery
  • RICE: Akita Prefecture Origin MENKOINA
  • AlLCOHOL: 15%
  • RICE POLISHING RATE: 65%
  • SAKE METER VALUE: -24
  • ACIDITY: 2.5
  • AMINO ACIDO: 2.3
  • YEAST: Sake yeast kyokai No.7
  • DRINKING TEMPERATURE: 10-25 degree

この日本酒は、「ワインの様に新しい造り方やブレンドを積極的に実践しないのか?」という独自の考えを持ち、「ペアリング」としての日本酒をコンセプトに酒造りを行う蔵元が醸すお酒です。その為、現代では珍しく積極的に新しい技法での製造や古酒ブレンド商品を開発しています。今回ご紹介するこの商品は、酒の仕込み段階での麹の使用を通常の酒の3倍にしたことで、アミノ酸の生成が活発になり、お酒のアミノ酸値が2.3と非常に高いお酒です。

日本食といえば寿司やお造りに代表される「魚」を食べる文化。
そして、醤油などの発酵食品や出汁に代表される「旨み」を大切にする文化があります。その料理の旨みの引き立て役として、日本で重宝されているのが「みりん」です。みりんには、魚の生臭さを抑えて味(旨み)を浸透させる効果があり、煮魚や魚の「たれ」に調理用として使用されています。

みりんはもち米由来の糖度(アミロース)が高い為、そして、アルコール添加をするため、そのまま飲用するには香味のバランスが悪く、基本的に現代では飲用しません。
※江戸時代にはみりんに焼酎を足しアルコール添加した酒を「柳影」といい、高級な食中酒として食通の間で重宝されていました

そこで、「みりん」のような役割を果たしながらも、醸造アルコールの添加がない純米酒のやわらかな飲み心地、そして酒としても楽しめる新しい可能性を見出したのがこちらの商品。特に旨みが強く、ワインとの相性が難しい「ウニ」や「牡蠣」などのクリーミーな旨味を引き上げる非常に素晴らしいフードフレンドリーなお酒。その他、和食以外でも旨みの強いチーズ、特に「ブルーチーズ」や脂質の多い中華、特に「豚の角煮」など、食事の旨みをとても引き立てる興味深いアイテムでもあります。日本酒界のソーテルヌやアモンティリャードのような立ち位置といえるでしょう。

カタルーニャの職人が造る自然派カバ

Orio Rosal

生産者:オリオ・ロサル
生産国・産地:スペインカタルーニャ地方

17世紀の瀟洒なエステイトをぐるりと囲むように広がる自社畑では、完全有機栽培が実践されていて周囲に農薬をまき散らす隣人もいない。朝日が昇る前の涼しい時間に収穫されたブドウは、そのまま目の前のセラーに持ち込まれてすぐに圧搾されてワインになり、ワインができたら瓶詰めして酵母とショ糖を添加したらあとは瓶内二次発酵できれいな泡ができるまで地下深くのセラーで時を過ごす。ワインにはモストフロール(モストの花)と呼ばれる第一搾汁だけを使い、ルミュアージュ(動瓶*)の工程は今でもすべて専門の職人により手作業で行われている。それなのに・・・安い。

ワイン名:ダミア カバ ブルット
味のタイプ:白・辛口
ブドウ品種:シャレロ、マカベオ、パレリャダ

ワイン名:ダミア カバ ブルット ロゼ
味のタイプ:ロゼ・辛口
ブドウ品種:ガルナッチャ、ピノ・ノワール

Damia Cava Brut
Damia Cava Brut Rose

★動画:ルミアージュ(動瓶)の様子

ピカピカ

写真はワイナリーでいただいたピカピカ。ちょっと小腹を満たすときの軽食をカタルーニャではこう呼びます。軽食とはいえ豪華ですね!カタルーニャの朝ごはんもほとんどこんな感じで週末のブランチにはカバも楽しみます。ダミアのカバは(特にロゼ)食後のデザートにもよく合いますよ。こちらでスイーツとの楽しみ方もご紹介しています。Check it out !ジプシーの腕はいろんな味

地下12メートルで泡に専念しているならもう安心

La Maison Louis de Grenelle

生産者:ルイ・ド・グルネル
生産国・産地:フランス・ロワール地方ソミュール

スパークリングワイン造りは高度なテクニックが要求されるから、泡専門と聞けば最初のハードルはまずクリア。北フランス・ロワール地方ソミュールのルイ・ド・グルネルは、1859年に設立された今なお続く数少ない家族経営のワイナリーで、設立以来、ずっと真摯にクレマン(シャンパーニュと同じ伝統製法によるスパークリングワイン)に向き合っている。

圧巻は設立当時にトゥファ(石灰華)層を削り出して造られたクレマン専用のセラーと、15世紀の採石場跡を利用した地下12メートルにあるカーヴ。冷たい空気と静けさに満ちた空間で人の手により丁寧に育まれ、そして眠りについた極上の泡。そんなシーンを思い浮かべて飲むと美味しさもひとしお。

Louis de Grenelle Saumur Grande Cuvée Brut NV
祝祭の始まりを告げる美しいゴールドラベルのグラン・キュヴェは、5つあるクレマンコレクションのなかでも、「Collection Raffinement(洗練)」にカテゴライズされる上級品。24か月と規定より長い熟成を経てまとうカラメル漬けした桃やマルメロのような果実感や、ヘーゼルナッツやアーモンドの風味にアカシア蜂蜜のニュアンスにブリオッシュ香の漂う豊かな味わい。前菜だけでなく、フォアグラやバターを効かせた魚のグリルなどメインデッシュにも合わせて楽しみたい。シャンパーニュでは大げさで、でもクラス感のある泡が欲しいシーンに最適。

この爽やかさ、まるで大西洋の風!

グラスから溢れるハーブや柑橘の香り、カランカランとグラスに触れる涼やかな氷の音。今や世界的に人気が過熱するアルバリーニョだが、そのアルバリーニョ(それも極上の)をベースワインにしたベルムットが“食事に合うテロワール系ベルムット”、エントロイドだ。

「世の中に品質を追求したベルムットがほとんどない。それなら自分たちで作ってしまおう!」。ベルムットが大好きなアデガス・バルミニョールが、そう考えて4年の歳月をかけて地元ガリシア産のハーブを厳選し、ベースワインにこだわって本気も本気で取り組んだ。だから美味しい。週末にのんびりと一杯。ランチやディナーの前に仲間とわいわい話しながらまた一杯。リフレッシュのマストアイテムとして傍においてはどうだろう?

【ベルモット/ベルムット】白ワインに香草やスパイスを漬け込み酒精強化したフレーバードワイン、ベルモット。スペインではベルムットやベルムーという名前で親しまれてします。ニガヨモギを使うことが必須で、この名称はドイツ語のwermut(ニガヨモギ)に由来していると言われています。ハーブ系のお酒は食欲をたまらなく刺激する独特の心地よい苦みがあり、そのため本来は食前酒として楽しまれてきました。一時は下火になりましたが、スペインでは2015年頃から若者の間でベルムット人気が再燃しています。

エントロイド ブランコ/Entroido Blanco: Albarino 100% plus fresh herbs from Galicia

エントロイド ブランコ(白):厳選した22種類のハーブが漬け込まれたブランコには、アカキナなどガリシア地方に生育しないもの以外はすべて地元産を使用。意外に控えめなトップノーズにはシトラスやフェンネル、月桂樹の香りが隠れ、のど越しにぎゅっと凝縮した美味しさが流れ込む。これがベルムット?と思うだろう。そう、それが造り手のコンセプトだ。

★良く合う食材:ドライフルーツ、ムール貝、ツナ、サーモン、ナチュラルチーズなど。

凝縮感のあるブランコなら高品質の白ワインさながらに、前菜からメインディッシュまで食事を通して楽しめます。メインは魚、鶏など白身のお肉、またはお肉や野菜のパイなど。野菜の素揚げや天婦羅などもよく合います。

★22種類のハーブたち:赤キナ樹皮抽出物、ホップ、ローズマリー、ニガヨモギ、ジュニパー、ショウガ、ペパーミント、ノコギリソウ、セイヨウトウキの根、バニラ、カルダモン、レモン、フェンネル、月桂樹、バラ、シナモン、ユーカリ、ルバーブ、コリアンダー、オレンジ、カモミール

エントロイド ロホ/Entroido Rojo: Albarino 100% plus fresh herbs from Galicia

エントロイド ロホ(赤):ブランコと同じ製法で造られてるロホ。違いは色合いとハーブの種類。ベースの白ワイン(アルバリーニョ)に色素で着色しているのだが心配ご無用。すべて本物にこだわるから自社畑の黒ブドウの果皮から色素を抽出するという手間暇をかけている。ハーブは12種類*とブランコより少ないが、香りは圧倒的。トップノーズに開く柑橘系の香りは苦味を伴いまるでグレープフルーツのような爽やかさを感じながら、バニラを想わせるふくよかなニュアンスがじわじわと広がっていく。ああ、もう虜!

★良く合う食材:アンチョビ、イカの墨、タコ、甘いデザートなど。

ロホは少しカジュアルダウンして気さくなおつまみもお勧め。生ハム、チーズ、トルティージャ(卵とジャガイモのスペインのオムレツ)、コロッケ、ボケロネス(小魚の酢漬け)などのタパスや、日本の居酒屋メニューみたいなものが簡単でお勧め。焼き鳥とエントロイドなんて想像しただけで至福です。

12種類のハーブたち:赤キナ樹皮抽出物、ホップ、ローズマリー、ニガヨモギ、ジュニパー、ショウガ、ペパーミント、ノコギリソウ、セイヨウトウキの根、バニラ、カルダモン、レモン

★動画:生産者さんの解説が視聴できます→エントロイド ブランコエントロイド ロホ

龍伝説の村の至宝のリースリング

Forster Ungeheuer Riesling GG, Pfaltz, Grosses Gewachs, Germany

生産者:ヴァイングート・フォン・ウィンイング
ワイン名:フォルスター ウンゲホイヤー リースリング GG
味のタイプ:白・辛口
ブドウ品種:リースリング
生産国・産地:ドイツ・ファルツ

かくも美しいドイツの至宝リースリング。その極みの一端がフォルスト村にあるわずか3ヘクタールのグローセス・ゲヴェックス(グラン・クリュ)、ウンゲホイヤーだ。18世紀から20世紀初頭にかけて世界に君臨したこのワインも第二次世界大戦とその後の動乱を経て忘れ去られ、ドイツワインといえば安物という苦難の時代を迎える。しかし、ジャンシス・ロビンソンが著書『ジャンシス・ロビンソンの世界一ブリリアントなワイン講座』でそう述べるように、そこには品質を磨き続けた人々がいた。

“その間も高品質を志向する少数派の頑固なワイナリーは、ドイツの畑でなし得る偉業の証しともいうべきワインを造り続けた” -本文より抜粋-

フォルスター ウンゲホイヤー(フォルスト村のウンゲホイヤー)。ドイツの精神そのものである驚異のクオリティワインは、21世紀の今、再び表舞台に登場した。とてつもなく複雑、計り知れないほどの香り、常識を軽やかに超える長期熟成が約束されている。言うまでもないが、およそリースリングに用いられる月並みな表現はこのワインには当てはまらない。

Tremendously complex, immensely aromatic, enormously age-worthy. No words you would probably use to describe Riesling would not match this wine. That is… Von Winning Forster Ungeheuer Riesling GG!

柔らかくも濃厚。砂漠の花の超絶バランス

生産者:ボデガス・アスル・イ・ガランサ
ワイン名:デシエルト
味のタイプ:赤・フルボディ
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン
生産国・産地:スペイン・ナバーラD.O.

デシエルト/Desierto: Canernet Sauvignon 100%

普通、ワイナリーの最上級ワインといえば玄人受けはすれど、初心者を喜ばせることは滅多にない。味わうには飲み手にもそれなりのレベルが求められるからだ。ところがこの「デシエルト」という赤ワインは不思議とどんな人もギュっと包み込み、虜にしてしまう大らかさがある。その一端は、しっかりと完熟して円やかになったタンニンにあるだろう。赤ワインの渋味が苦手という難関は、すでに解決されているのだ。あとはこの類まれなる凝縮感を味わうのみ。

このワインの造り手「アスル・イ・ガランサ」は、自然への敬意で結ばれた3人の若者が20代の頃に理想のワイン造りを求めて立ち上げたワイナリーだ。そこは量産には向かない常識外れの不毛地帯、スペイン北東部ナバーラにあるヨーロッパ最大の砂漠、ラス・バルデナレス・レアレス近郊。

砂漠から1キロしか離れていないわずか2ヘクタールの単一畑「デシエルト(砂漠)」は、カベルネ・ソーヴィニョンが栽培されている。何を栽培しても凝縮感が圧倒的だったというこの区画に、最も適合したブドウがカベルネだったのだ。厳しい気候の下で、ブドウの房は指でつまむほど小くなり、年間生産量は3000本足らずととても限定的。

ガトーショコラとも至福のペアリング

イカ墨のリゾットやガトーショコラなど、ワインが難しい食べものにもマッチする。いや、ここはシンプルに、大ぶりのグラスに入れて1時間後、3時間後、5時間後と開いていく味わいの変化を楽しむのもよし。

★かもめの本棚『ワインと旅するスペイン』:連載第1回目ナバーラの砂漠がわたしにくれたもの

金紋秋田酒造が磨く熟成酒の世界

京都・祇園「杢兵衛」様にて

生産者:金紋秋田酒造
生産国・産地:日本・秋田県大仙市

こんな残念なことがあるだろうか。香り高い酒が主流の日本ではあまり理解されないという、金紋秋田酒造の熟成酒。ところが日本酒に対する固定観念のない海外では、食中酒としてトップソムリエや美食家たちから高い支持を集めているという。

「米を主食にするアジア人が米を食べるとき、必ずおかずと一緒に食べるのはなぜか」。そんな素朴な問いからスタートした三代目当主、佐々木孝。大手を筆頭に37軒の酒蔵が割拠する秋田県という土地で、佐々木が蔵を継いだとき、そこに新参者が入り込む余地はほとんどなかった。秋田の酒蔵の中で下から数えた方が早かったという小さな蔵元は、結果として固定概念から自由になったのだ。
 
やっぱり米。熟成で得られる深い香りと凝縮した旨味漂う長い余韻は食事の楽しみを増幅し、ペアリングにおけるすべてのマイナスをカバーする。 熟成に対する感度はワインの文化がある欧米の方が高い。これが舌の肥えた欧米市場で認められたのが理由である。

日本酒の本質である旨味を鍛えあげながら、この土地にしかできない酒造りに精進してきた果実が彼らの熟成酒。その深い旨味は多彩な食材の味覚をいっそう豊かに広げ、これまでになかった食文化を見せてくれる。発酵文明のひとしずく。ワインラバーなら間違いなくこの魅力を味わい尽くすことができるはずだ。

★金紋秋田酒造 / Kinmon Akita Sake Brewery→ Short tour

熟成酒の世界

お酒の究極の楽しみ。それは熟成。
手間暇かけて丁寧に造られたお酒には人を感動させる力がある。そんなお酒が、さらに“時間”という得難い味方を得たとしたら?

ワイン、ウィスキー、ブランデー、熟成の魅力。
長い眠りから目を覚ました酒は、ある時ふいに私たちの前に現れる。

もしかしたら造り手本人ですら、
生きている間には味わうことができないかも知れないという浪漫を漂わせながら。

「こんな日本酒があっても良いじゃないか」
この蔵を想うとき、三代目当主、佐々木孝の声が聞こえてくるようだ。

舟(絞り前)

地中海の宝石マジョルカ島の自然派がこんなにきれい

4 kilos Vinicola

Francesc Grimalt and Sergio Caballero(right)

生産者:クワトロキロス ビニコラ
生産国・産地:スペイン・マジョルカ島


一人は最優秀醸造家賞受賞の醸造家(左)、もう一人はその道では名を馳せるミュージシャンで、コンビの出会いは行きつけのワインバー。ブドウ栽培者のガレージを借りて、牛乳の冷却装置を活用しながら最初のワインを仕込んだのが2006年。島でしっかりとブドウ栽培に取り組む栽培家たちと手を組んで、(この栽培家たち一人一人がまたとても個性的だ)、今も飲んでちゃんと美味しいアートなワインを造り続けている。

クワトロキロスを初めて飲んだのは2008年のバルセロナ。ドツ・ボルツというワインで、カイエット、フォゴノウというマジョルカ島の地ブドウが主体になっている。赤ワインはフルボディでも力で押してこないタイプが好き。これはド・ス・ト・ラ・イ・ク!濃くてもスルスル飲めるって本当に良いワインだと思う。そんな体験を飲み手に期待して、フランセスクとセルヒオはドツ・ボルツ、12ボルトの衝撃を浴びてくれ、とネーミングした。地ブドウ主体のワインなのにどこか帰国子女の香りがするのは、フランス品種が少しづつブレンドされているからだろう。ナチュラルワインもギリギリのものから、ちゃんとしたものまで幅広いけど、このセンスには感心してしまう。


小さなワイナリーなのにコンパクトにまとまったラインナップの広さが面白い。亜硫酸無添加のモトール、マジョルカ島の伝説の協同組合へのオマージュである島スタイルのアイランド・シンジケイト(これが絶妙に薄旨系)、一転、モダンな醸造法で地ブドウを醸したクワトロキロス、圧巻はカイエット種の女性らしさを余すところなく引き出した樽醗酵樽熟成のトップキュヴェ、年間生産量たったの700本のグリマルト・カバジェーロだ。

ケルトの村の手作りの暮らし

La Setera Quseeria Artisanal y Bodega

Everything is artisan

生産者:ラ・セテラ
生産国・産地:スペイン、カスティーリャ・イ・レオンで アリベスD.O.

ラ・セタラにはもう憧れしかない。手づくりの暮らしが見えるのだ。カスティーリャ・イ・レオン州の西の端、フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村に入ると、「Queso y Vino Artesano Degustacion y Venta -手づくりチーズとワイン 試食・試飲販売」と記された手書きの道案内のすぐ先に、機械化とは無縁のどこかくたびれた小さなボデガが家族の住まいと一体になっている。表の目立たない看板が唯一、ここがワイナリーであることを伝える目印だ。この村は独特のケルトの石積みでできていて、ボデガの外壁も石の壁が印象的。スペインというよりイギリスの田園風景を思い起こさせる。ここでは何もかもがひっそりと慎ましい。

Here we are! ーボデガに着いた

小さくても仕事は丁寧。ワイン造りやヤギのミルクを使ったチーズ作りの工程では、細部に目を配らせ、地域のビオダイバーシティを豊かに育みながら日々の暮らしを営んでいる。ラ・セテラという名前は、ワイナリーがある渓谷から頂いた。この小さな谷は、圧倒的な景観を織りなすあの全能なるドゥエロ川に続いている。ボデガのストーリーは1994年、サラとフランシスコの若いカップルがこの地に一目惚れしたことに始まる。生物学者だった二人は、いつか人生の早い段階でサステイナブルな生き方がしたいと思っていた。だからまず、セテラの谷でヤギのチーズを作り始め、2003年には自分たちでワインも造るようになった。二人がはじめたこの小さな活動によってコミュニティがうまれ、知らず知らずのうちに地域の自然文化遺産を守り、人口の流出を防ぐという重要な役割を担っていた。

Children must have grown up by now
Bodega and stonewall

ワイナリーはアリベス・デル・ドゥエロ自然公園のなかにあり、豊かな生態系の恵みを受けている。秘境ゆえに手つかずの土地は状態がよく、生産性を求める農業生産で土が疲弊しているということもない。サラとフランシスコは一方的に搾取するのが嫌いなので、ワインも無理のない範囲で造るから、どうがんばっても年産わずか一万本程度。その分クオリティが高く、もちろんワインに化学的な処置や人工的な対策を施すことは一切ない。畑の古木もみごとだ。

Beautiful old vines
Tasting, tasting and tasting to select the ones

WINE

La Setera Tinto Joven, Juan Garcia 100%
La Setera Tinto Roble Seleccion Especial, Turiga National 100%

La Setera Tinto Crianza, 100% Juan Garcia
La Setera Tinto Crianza Seleccion Especial, 100% Touriga Nacional

パワーのなかにフィネスを感じる赤ワインは、良い意味で野趣溢れ濃厚でいて、きめが細かい。
どちらも忘れられないハイクオリティ。ラベルの図柄にお気づきたろうか?そう、石積みがモチーフになっている。

CHEESE

ラ・セテラのチーズも、ワインと同じように製造工程はいたってナチュラルだ。ヤギのミルクは近隣の農家から毎日新鮮なものを調達している。つまりヤギたちは100%アリベスの土地のなかで草を食んでいて、こんな環境で育ったヤギだから、チーズが美味しくないわけがない。

Cualquier alimento es más sano, cuanto menos procesos haya tenido para su obtención. Sara y Francisco ー食べものは加工しないほどより健康的。

Cheese shop
Sara’s queseria

<行き方>
フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村へはフェルモセリェから車で20分。

<アリベスに泊まる>
La Casa de los Arribes lascasadelosarribes@hotmail.com (Tel. 34 629 74 95 52)
アリベス・デル・ドゥエロ自然公園の案内も充実しているし、アニマルセラピーなども体験できる。

山間部から世界へ。小さな産地の心意気

Bodegas Nairoa

Winery

スペインきっての白ワインの産地からうまれる魚介類と相性抜群の白ワイン、ボデガス・ナイロア。派手な評価やストーリーはないけれど、実直に造るワインが素直に美味しくて驚くほどリーズナブル。単に欠点がない良品というだけでなく、地元リベイロの伝統品種を使って産地の個性をしっかりと表現しているところに心意気を感じます。青みがかった明るいイエロー、白い花を思わせる芳醇な香り。口中では柔らかく滑らかで酸のバランスがよく、ストラクチャーもしっかりとしているので、魚介類や白いお肉、野菜とよく合います。たとえば日本なら、あさりの酒蒸しやカルパッチョ、魚の塩焼き、シーフードサラダ、根菜の煮物、冬は鍋料理などに合わせて楽しめます。そう、毎日の食事に合うオールラウンダー。家族みたいにいつも一緒にいるワインです。

ボデガス・ナイロアは、山間部のワイン産地、リベイロの南部アルノイアにあります。ワイナリー名の「ナイロア」は地名であり、ボデガ(ワイナリー)の近くを流れるアルノイア川のスペルを並べかえた言葉遊びから生まれた造語でもあります。響きがよく覚えやすい良い名前です。

ワイナリーの歴史は、第二次世界大戦の混乱もまだ冷めやらぬ1950年、一人の農民の手によって始まりました。スペイン中で伝統品種が引き抜かれ、量産に向いた品種に植え替えが進んだこの時代、二千年の伝統を誇るリベイロのワイン造りを継承しようとしたこの小さな一歩は、1999年、彼が亡くなると、その志を受け継いだ地域のひとびとの手によってボデガス・ナイロアとして第二章を歩むことになりました。「受け継がれてきた叡智とノウハウを未来に残したい」と強く願った人々が出資者となり、醸造には最新の設備も導入して地産のワインに磨きをかけています。クオリティや産地の個性を追求するのは当たり前。それに加えて、環境に配慮したワイン造りをポリシーに据えているところにも誠実さを感じます。

Nairoa -Treixadula 40%, Trontes 30% and Palomino 30%

ナイロア/NAIROA

千円ちょっとで買えるエントリークラスのワインなのに、収穫はすべて手摘みで行い、畑でブドウの選別をします。収穫したブドウが潰れないように、収穫用のカゴには15キロと小さいものを使い、ワイナリーに持ち込むと、醸造する前にもう一度選別をしてよいものだけを使うという徹底ぶり。地元では魚介類がふんだんに積み上げられたバルのカウンターで、食べるのに専念しつつリベイロを流し込む。わずかに塩味を感じる、魚介類によく合う白ワインです。早飲みで、リリースから24か月くらいの間、このフレッシュさと香りが楽しめます。

Greenish vineyards -Bodegas Nairoa

ワインに現れるガリシアのアイデンティティ

緑のグラデーションが目にも眩しい、標高200メートルのブドウ畑。良好な陽当たりを選んで山々に飲み込まれるように切り開かれた斜面の段々畑には、花崗岩質土壌の区画で伝統品種が大切に栽培されています。採算が合わないから大手の影響もなく、ひっそりとした佇まいが残されています。

<伝統品種>

  • トレイシャドゥーラ:ストラクチャー、熟成のポテンシャル、エレガンス
  • トロンテス:苦味、強さ、
  • パロミノ:フレッシュさ、軽やかさ

こういった様々なニュアンスをもつ伝統品種のブレンドが、あのナイロアの味わいなのだと思うと、また違った側面からワインをとらえることができるような気がします。ワイナリーの歴史こそ長くはありませんが、ワイン産地としての歴史があるので、畑には樹齢の古いブドウの樹がたくさん残っています。木も歳をとると樹勢が落ち着いて安定してくるので(ちょうど若い頃もて余していたエネルギーが落ち着いて賢くなった人のよう)、ワインに品質をもたらす財産であり、飲みやすさのなかに芯のある凝縮した味わいのワインにしあがります。

Sepa vieja en suelo granitico -花崗岩土壌に生きる古木
Mountainous wine region

リベイロのブドウ畑は総面積2500ヘクタール。全部で115軒のワイナリーがあり、約6000人のブドウ栽培家が畑の手入れをしています。単純計算すると、一軒あたりのワイナリーの畑はたったの21ヘクタールしかありません。商業化に成功して国際市場にも出ているワイナリーに限るとその10パーセントにも満たないという小さな産地です。こんな閉ざされたところにも凄いワインが眠っている。ワインは決してブランドではありません。

写真の左上にうっすらと蛇行した川が、右手にはボデガス・ナイロアが見えます。川と斜面の間に拓かれたわずかな土地に営まれる、ひとびとワインの生活。これが二千年以上前からずっと続いているということに、想いを馳せてしまいます。Life continues so dose Wine!