みんな大好き、じゃがいもたっぷりスペインのオムレツ

トルティージャ・デ・パタタス/Tortilla de Patatas

お味噌汁のように作る人によってレシピも味もまったく違うスペイン料理の定番。それがトルティージャ・デ・パタタスです。冷めても美味しいので食べきれなくても安心。材料はたった4つとシンプルなので、ぜひ挑戦してみて下さい。オイルはエキストラバージンオリーブオイルを使うと、ワンランクもツーランクも上の味に仕上がりますよ。

材料(3~4人分):
 じゃがいも(あれば男爵)・・・3個
 たまねぎ・・・1/2個
 塩・・・少々
 エキストラバージンオリーブオイル

1 じゃがいもはスライス*に、玉ねぎは大きめのみじん切りにする。
2 フライパンに多めのオリーブオイル、塩、じゃがいもを入れて弱火にかける。
3 玉ねぎを加え、じゃがいもが柔らかくなったらザルに上げて油をきっておく。
4 ボウルに卵を割り入れ、塩を加えてて溶きほぐし、じゃがいもと玉ねぎを加える。
5 フライパンをよく熱し、じゃがいもを流しいれたらざっくりとかき混ぜる。
6 弱火~中火でふちが固まってきたら、フライパンにお皿をかぶせてひっくり返し反対側も焼く。
7 この作業を何度か繰り返したら完成。

【Tips】*私はガリシア地方のワイナリーで、「じゃがいもは単にスライスするんじゃなくて包丁の角でガリっ、ガリっとするのよ!」と教わりました。じゃがいもを炒めてから軽く潰すというレシピもあるので、じゃがいもの角を取るような何らかの下処理をすることが、ふんわり感としつつ弾力もあるトルティージャに焼き上げるコツなのかも知れません。

ワイン街道のレストラン 砂漠のオアシス「チャピチュリ」

バスク地方からナバーラにかけてワイナリー巡りをするなら、オアシスは「チャピチュリ」。ピレネー山脈に向かって緑のスペインを北上するならいざ知らず、南下する風景はどんどん乾いてくるから、とりわけ美味しい食事と小ぎれいな部屋を用意してくれる宿が必要です。

チャピチュリは、ヨーロッパ最大の半砂漠地帯、ラス・バルデナス・レアレス自然公園の入り口に、ポツンとたたずむ古民家をリノベーションしたレストラン&ホテル。近くには両極端な個性際立つ2つのワイナリーがあります。一つは12世紀以来今でも修道士たちが神への奉仕の一環としてワイン造りをしいるシトー派修道院、モナステリオ・デ・サンタ・マリア・ラ・レアル・デ・ラ・オリバ。もう一つは、根っからの自由人たちの自然派ワイナリー、ボデガス・アスル・イ・ガランサ

この辺りはメジャーなガイドブックで紹介されることはありませんが、剝き出しの大自然や人間の叡智が築いた歴史的大建造物、そして美味しいワインと食事が楽しめる、まさにスペインの醍醐味が体験できる場所。私は初めて訪れた時から、この圧倒的なスケールの風景にずっと魅せられています。

さて、チャピチュリというレストランの名前。不思議な響きですね。“TXAPI-TXURI”という綴りを見れば、バスク料理のお店だと分かります。バスクのように海こそ近くにはありませんが、野菜の名産地であるナバーラの新鮮な野菜をふんだんに使った料理や(これが日本人にはうれしい)、アラゴン川のマス料理、羊飼いから買った新鮮なラム肉や、噛むほどに旨味の染み出る赤身の牛肉、余分な脂が炭火ですっかり落ちた絶品の豚肉といったお肉料理を地元の赤ワインで流し込むのが最高です。外には緑豊かなテラス席があるので季節の良いときはここで食事すると気持ちがよさそう。ワインの買い付けはだいたい冬なので、私はそんな良い季節には行ったことがありませんけど!

Hostal Txapi Txuri
 Tel. +34 948 715 808
 Email: reservas@txapitxuri.com
 住所 : Santa Ursula 63 31313 – Murillo El Fruto (Navarra)

ホテルのウェブサイトを開いて下に少しスクロールした所に、1分32秒のとても美しい動画があるのでぜひご覧ください。きっといつか行ってみたくなりますよ。

カバとお洒落にスペインのフライドポテト!

パタタス・ブラバス/Patatas Bravas

カリカリポテトが辛味の効いた旨味たっぷりのトマトソースと出会ったら?ーーーみんな大好きな定番タパスになりました。このレシピの始まりはバルセロナやマドリッドなど諸説ありますが、その名を直訳すると「辛いポテト」。といっても、日本人にとってはさほど辛さを感じません。ヨーロッパの人が言う“スパイシー”は、「あれ?」と思うほど穏やかです。

じゃがいもは小口に切って軽く茹でてから揚げるのがコツ。さらに余裕があれば、5分ほど置いてから二度揚げもおすすめです。こうすと中は粉ふきいものようにしっとりと、外はカリッと仕上がります。

ブラバスソースは簡単なので、手作りで自分好みに味を調整してみましょう。アリオリソースをかけると完成です。ビールも良いですが、スペインのカバに合わせるとオシャレですね!

ブラバスソース – Salsa Bravaの材料:
 ・玉ねぎ みじん切り
 ・にんにく みじん切り
 ・トマト缶
 ・パプリカパウダー(辛口)
 ・チリパウダー
 ・パセリ みじん切り
 ・砂糖、塩 少々

オリーブオイルで玉ねぎとにんにくのみじん切りを炒めたら(絶対に焦がさないこと!)、パプリカパウダーとチリパウダーを加えて軽く炒めます。そこにトマト缶を投入し、塩と砂糖を少々加えて煮詰めていきます。トマトの水分が無くなるほど旨味が凝縮するので、お好みで調整してください。滑らかな口当たりがおきなら、最後にブレンダーにかけて仕上げましょう。

アリオリソース – Salsa Alioriの材料:
 ・卵黄
 ・オリーブオイル
 ・塩
 ・レモン果汁(またはシェリービネガー)
 ・すりおろしにんにく

すべての材料をブレンダーにかけるだけ。シンプルなのでぜひ手づくりしてみて下さい。これだけでご飯が何杯も食べられるほど美味しいですよ。

【TIPS】オリーブオイルは必ずエクストラ・バージン・オリーブオイル(EVOO)を使いましょう。EVOOは酸化に強く上質なものだと9回は使えるので、少々高くても案外コスパが良いのです。何より油切れもよく素材がカラッと仕上がるうえにヘルシー。フライドポテトの油もEVOOにすると最高です。もしかしたらこれがパタタス・ブラバスの本当のコツかもしれません。

★おすすめEVOO:パゴ・デ・バルデクエバス エクストラ・バージン・オリーブオイル
カスティーリャ・イ・レオンで見つけたオリーブオイル。「揚げ物に使う勇気がない・・・」という方も、できればブラバソースにはたっぷり使ってみてください。上質のエクストラ・バージン・オリーブオイルは調味料と同じなので、いつものトマトソースの味が格段に変わりますよ!本場では日本人が炒め物に使う5倍くらいの量をドバっと入れるので最初は驚きましたが、今では私もそうしています。

★赤ワインならこちらもCheck!パゴ・カサ・グラン エレガント

ワイン街道のレストラン「エル・パパ」

カタルーニャ地方でワイナリー巡りをするなら立ち寄って欲しいレストラン「エル・パパ」。初めて来たのにどこか懐かしさを感じるこの佇まい。扉を開いて一歩足を踏み入れれば、使い込まれた家具や食器から長く地元の人々に愛されてきたことが分かります。

エル・パパ(お父さん)が誰かというと、1970年代に魚介料理店としてこの店をオープンしたフアンのことだそう。やがて子供や孫たちに受け継がれて、旬の食材を活かした季節ごとの郷土料理と定番のお米料理(カタルーニャ風魚介のパエリア)、スープ、ジビエを提供しています。「お客さんが友だちになる」と彼らが口を揃えて言うように、家に帰ったみたいにほっこりと気取らない絶品料理が楽しめる空間(その上安い!)。ただし・・・、うっかりすると最後に出てくるパエリアに辿り着くまでに、次から次へと魚介料理が出てくるので、大食漢でない限り十分に注意しましょう。

いや、そんなことは織り込み済みでここに宿泊するというのもありです。エル・パパではカタルーニャ風の美しく広々としたお部屋が訪問者を待っています。ワイン産地らしくスイートルームには、シャルドネ、シャレロ*、メルロー、モナストレル、ガルナッチャ、マカベオ*、ムスカ、パレリャダ*とブドウ品種の名前がついるのがまたうれしいところ。ワインラバーとしてはやっぱりカバ品種*のお部屋に泊まりたい。他にもラベンダー(espigol)やローゼル(Rosella)といった、この地方でよく見られる地中海の植物の名前が付いた部屋もあり、中はもちろんそれにちなんだ素敵な配色になっています。

RESTAURANTE EL PAPÀ Y HOTEL RURAL EL MOLÍ DE PONTONS
 Tel: +34 93 898 70 53 (携帯 +34 676 480 077)
 Email: molirural@hotmail.es
 住所: Carretera de Santes Creus 4 08738, Pontons

このバレンシア、とにかくタンニンが素晴らしい。

生産者:パゴ・カサ・グラン
ワイン名:カサ・ベナサル エレガント
味のタイプ:赤・ミディアムボディ
ブドウ品種:モナストレル、ガルナッチャ・ティントレラ、シラー
生産国・産地:バレンシアD.O.

初めて出会ったとき、実は白ワインのクオリティに衝撃を受けたワイナリー。スペイン南東部にあるバレンシア地方は、いわずと知れたオレンジの名産地で、ほかにはウサギや鶏、モロッコいんげんやガジョータ豆の入った本場のバレンシアパエリアと巨大な張り子の人形が登場する火祭りも有名です。こんな血気盛んな風土だから濃厚な赤ワインを想像していたのに。

白ワイン造りにはハンデのある南でこんなに上手に仕上げるなら、赤ワインはさぞ素晴らしいだろう!という期待を裏切らない赤ワイン。飲みごたえがあるのに豊かな果実味と柔らかいタンニンのお陰でスルリと飲めるところが大好きで、名前の通りエレガント。3品種のブレンドも絶妙です。

食卓で大活躍するのは決まってこんなワイン。地元ではランチにパエリアと流し込むこともあるでしょう。ブドウ畑は祖父から(祖父がドイツ人の友人からから白品種を譲り受けた)、ワイン造りは母から受け継いだという現在のオーナー、カルロス・ラソ。バレンシアでも恵まれた気候の南部クラリアノにあるで、有機栽培だけでなく、環境保全にも熱心で敷地内で自然との共生を目指して様々な取り組みをしています。

パゴ・カサ・グランのワインは、我々人間がみな個性を持っているのと同じように、非常にユニークです。

ブドウ畑の畝は花畑

★オフィシャルウェブサイトの翻訳をしました!→Pago Casa Gran

Kinmon Akita Sake Brewery 米の旨みを磨き抜く

Producer: Kinmon Akita Shuzo|金紋秋田酒造
Country/Region: Japan/Akita|日本/秋田県

A NEW CONCEPT: CHALLENGING THE NORMS
Brewed by a modest, local sake brewery whose maxim is “good sake ages well”, X3 AMAIRO was conceived from the principle of “sake food pairing”.
In addition to the adoption of several approaches from the wine industry, such as blending or modern brewing methods, this procedure allows the brewery to create a vast range of unique sake products, totally new both in style and technique. Selective older vintage blends, for instance, provide good examples that validate this doctrine.

RICH IN AMINO ACID
What is unique in “x3 AMAIRO” is the use of Kouji – a rice-malt which is a nationally specially designated fungus in Japan. The proportion of Kouji within “x3 AMAIRO” is three times more than normal – a consequence of which is the production of more amino acid, giving the beverage a value of 2.3.

MIRIN, COOKING SAKE, BY THE WAY
The “fish dish” is as much emblematic of Japanese gastronomy as are Sushi and Sashimi.
The fifth key taste profile, known as Umami (sweet, sour, salt and bitter being the first four) holds an important place in Japanese gastronomy.
The Umami taste is experienced in the variety of Japanese fermented foods such as soy sauce or the fish broth named dashi. This subtle flavour is additionally enhanced by Mirin, itself an essential condiment and very common in many dishes, which is succinctly described as a type of sweet “cooking sake”
A small amount of Mirin is used to either add a bright touch to grilled or boiled fish, to reduce the smell of fish or to help ingredients more readily absorb the Umami flavour.
Due to its high alcohol content and abundance of amylose – which comes from glutinous rice – the savoury balance is rather unsuitable for contemporary drinking although Mirin once had a place akin to Port wine during the Edo period (17th-18th centuries).

KINMON AKITA SAKE BREWERY, “x3 AMAIRO” (photo left)
“x3 AMAIRO” was created to occupy the same role as Mirin yet it is pleasantly smooth on the palate – much like an authentic Junmai-shu – a pure-rice sake made from only rice and water without any distilled alcohol.

When paired with certain foods, that are otherwise usually incompatible with wine – sea urchin or oyster, for instance, the discerning taster will be impressed by “x3 AMAIRO”, especially in how well it brings out the sublime creamy Umami flavour from the sea-urchin and enhancing the taste experience of both the food and the beverage.

A real “food friendly” sake indeed. Whether with a sharp-flavoured blue cheese or to accompany fatty Chinese foods such as braised pork, compatibility is assured.

There is nothing quite like “x3 AMAIRO” but if one had to pick a wine to replace it, Sherry Amontillado from Jerez or the sweet Sauternes are the only candidates.

  • BRAND: x3 AMAIRO
  • BREWERY: Kinmon Akita Sake Brewery
  • RICE: Akita Prefecture Origin MENKOINA
  • AlLCOHOL: 15%
  • RICE POLISHING RATE: 65%
  • SAKE METER VALUE: -24
  • ACIDITY: 2.5
  • AMINO ACIDO: 2.3
  • YEAST: Sake yeast kyokai No.7
  • DRINKING TEMPERATURE: 10-25 degree

この日本酒は、「ワインの様に新しい造り方やブレンドを積極的に実践しないのか?」という独自の考えを持ち、「ペアリング」としての日本酒をコンセプトに酒造りを行う蔵元が醸すお酒です。その為、現代では珍しく積極的に新しい技法での製造や古酒ブレンド商品を開発しています。今回ご紹介するこの商品は、酒の仕込み段階での麹の使用を通常の酒の3倍にしたことで、アミノ酸の生成が活発になり、お酒のアミノ酸値が2.3と非常に高いお酒です。

日本食といえば寿司やお造りに代表される「魚」を食べる文化。
そして、醤油などの発酵食品や出汁に代表される「旨み」を大切にする文化があります。その料理の旨みの引き立て役として、日本で重宝されているのが「みりん」です。みりんには、魚の生臭さを抑えて味(旨み)を浸透させる効果があり、煮魚や魚の「たれ」に調理用として使用されています。

みりんはもち米由来の糖度(アミロース)が高い為、そして、アルコール添加をするため、そのまま飲用するには香味のバランスが悪く、基本的に現代では飲用しません。
※江戸時代にはみりんに焼酎を足しアルコール添加した酒を「柳影」といい、高級な食中酒として食通の間で重宝されていました

そこで、「みりん」のような役割を果たしながらも、醸造アルコールの添加がない純米酒のやわらかな飲み心地、そして酒としても楽しめる新しい可能性を見出したのがこちらの商品。特に旨みが強く、ワインとの相性が難しい「ウニ」や「牡蠣」などのクリーミーな旨味を引き上げる非常に素晴らしいフードフレンドリーなお酒。その他、和食以外でも旨みの強いチーズ、特に「ブルーチーズ」や脂質の多い中華、特に「豚の角煮」など、食事の旨みをとても引き立てる興味深いアイテムでもあります。日本酒界のソーテルヌやアモンティリャードのような立ち位置といえるでしょう。