地中海の宝石マジョルカ島の自然派がこんなにきれい

4 kilos Vinicola

Francesc Grimalt and Sergio Caballero(right)

生産者:クワトロキロス ビニコラ
生産国・産地:スペイン・マジョルカ島


一人は最優秀醸造家賞受賞の醸造家(左)、もう一人はその道では名を馳せるミュージシャンで、コンビの出会いは行きつけのワインバー。ブドウ栽培者のガレージを借りて、牛乳の冷却装置を活用しながら最初のワインを仕込んだのが2006年。島でしっかりとブドウ栽培に取り組む栽培家たちと手を組んで、(この栽培家たち一人一人がまたとても個性的だ)、今も飲んでちゃんと美味しいアートなワインを造り続けている。

クワトロキロスを初めて飲んだのは2008年のバルセロナ。ドツ・ボルツというワインで、カイエット、フォゴノウというマジョルカ島の地ブドウが主体になっている。赤ワインはフルボディでも力で押してこないタイプが好き。これはド・ス・ト・ラ・イ・ク!濃くてもスルスル飲めるって本当に良いワインだと思う。そんな体験を飲み手に期待して、フランセスクとセルヒオはドツ・ボルツ、12ボルトの衝撃を浴びてくれ、とネーミングした。地ブドウ主体のワインなのにどこか帰国子女の香りがするのは、フランス品種が少しづつブレンドされているからだろう。ナチュラルワインもギリギリのものから、ちゃんとしたものまで幅広いけど、このセンスには感心してしまう。


小さなワイナリーなのにコンパクトにまとまったラインナップの広さが面白い。亜硫酸無添加のモトール、マジョルカ島の伝説の協同組合へのオマージュである島スタイルのアイランド・シンジケイト(これが絶妙に薄旨系)、一転、モダンな醸造法で地ブドウを醸したクワトロキロス、圧巻はカイエット種の女性らしさを余すところなく引き出した樽醗酵樽熟成のトップキュヴェ、年間生産量たったの700本のグリマルト・カバジェーロだ。

#わくわくするようなストーリー

衝撃の急斜面から滴るエレガンス

Weingut Schloss Sommerhausen

Martine Steinmann

生産者:ヴァイングート・シュロス・ゾンマーハウゼン
生産国・産地:ドイツ・フランケン地方

今の所1435年設立の15代目当主ということになっているマルティン・シュタイマンだが、古文書からどんどん古い資料が見つかるのでこの先は分からない。


至宝リースリングを擁するドイツワイン界にあって、リースリング以外のワインで異彩を放つフランケン地方は実は見逃せない産地。独特の形をしたボトルに入った男性的なワインで知られるが、ここゾンマーハウゼンは淑女のワインと呼びたくなる清楚な味わいが特徴だ。


今どき珍しいシンプルなラベルを侮るなかれ。控えるのは一級畑、シュタインバッハの名品たち。まともに立っていられないほどの傾斜角を持つこの畑は、眼下を流れるマイン川の反射熱を蓄熱し、冷涼地にもかかわらず毎年みごとなブドウを育てている。
対岸に見える集落はヴィンターハウゼン。冬の家という意味だ。そう、ゾンマーハウゼンは夏の家。寒冷なフランケンの地にあって、ひとびとは夏の温かさを持つこの小さな村を選んで畑を作り、ドイツ最高峰のワイン造りを行ってきた。


歴史を感じる鉄製の大きな鍵でお城の重い木の扉を開けると、すり減った石造りの階段が地下のセラーへと続いている。無数のボトルが眠る先、一番奥にあるのはトラディショナル方式のゼクトの名品の数々。この泡は一転、繊細さのなかに男性的な骨格があり、はっきりとしたミネラルに痺れる!
蝋燭を灯して暗闇のセラーを歩くと、反響する靴の音に乗せてなんだか歴史が向こうから語りかけてくるような錯覚を抱く。

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三流品種をガレージで造っても美味

Bodegas y Vinedos Ponce

Juan-Antonio Ponce

生産者:ボデガス・イ・ビニェードス・ポンセ
生産国・産地:スペイン・マンチュエラD.O.

「ボバルという品種はスペインのど真ん中、ラマンチャ地方のマンチュエラやウティエル・レケナを故郷とする三流品種らしい」。なんて言われ方をされて気の毒だけど、品種の個性が顧みられることなく、量産ワインのかさましや色付けに使われていたと聞くとなるほど言い得て妙。

2006年、フアン・アントニオ・ポンセのワインを試飲したときの衝撃は忘れられない。聞けばボバルというこの品種、フランス舌のわたしには新鮮で、荒削りだけどまとまりがあって確かなフィネスを感じる。
一年に一度しかできない農作物のワイン界にもトレンドはあり、ミレニアムの激変がスペインの新潮流と言われた若い醸造家たちの原点回帰のワイン造りだ。その筆頭がポンセ。ヨーロッパのテイスターの間では噂になっていた。

代々続く栽培家の出だから地ブドウの良さは知り尽くしている。若い人が嫌う野良仕事を厭わず、醸造では品種に向き合うタイプの造り手だ。丹念に手入れされたポンセのボバルは古木が多く、だからこそ若木にはない品を湛えている。名うてのテースターをして「これがボバルなのか・・・!」と驚かせたポンセのワインは、品種のポテンシャルを見抜く目と手を抜かない仕事の賜物だ。なのに驚くほど安い。
ポンセにはボバルのほかに、幻の品種で造るワインもある。良いワインになるブドウは手間のわりに量産できないから忘れ去られていく。こんな畑をドライブ中に見つけては一軒一軒周っていくんだから、もう地ブドウの守護神と呼びたい!どんな品種でもポンセが造るというだけで信じるに値する。そんなフアン・アントニオは26歳の宣言通り、独立10年目で立派なワイナリーを建設した。

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地中海のブドウ栽培家たちが話したら

4 kilos番外編

最優秀醸造家と世界的アーティストという異色のコンビが織りなすマジョルカ島の自然派ワイナリー「クワトロキロス」が、ブドウ畑の主役である栽培家たちの声を映像にまとめました。日本から遠く離れたスペインの美しい島で、どんなことを考えてどんな風にブドウを栽培しているのでしょう?

動画のタイトルは『Vinas, Ovejas y Ovnis ~ブドウ畑、羊と未確認飛行物体』。島の栽培家たちが話す言葉はマジョルキン(マジョルカ語)、かつすごい訛り。

それではどうぞ!★動画:Vinas, Ovejas y Ovnis(制作:4 kilos)

LUNA (月) シモ・アブリル/ブドウ栽培家 (0:00)

ブドウ樹、剪定、植樹、その他すべての畑仕事に月が影響しているのは明らかだ。なぜだって?月の運行に従って剪定をしたら樹液が良く出て、よく成長し、よく根付いたことを実際に確認したからそう断言できる。例えば畑で月の動きや兆候を見ながら植樹した 9000 本のうち、駄目になったのはたった一本だけだった。果実、根、そのほか全てにおいて適切な日を見極めると 9000 本のうち失敗はわずか一本だったんだ。それが何だって? ただのミスだったのか、もともと植樹した時から状態が悪かったのか?9000 本だぞ?少なくないだろう。普通なら失敗率は 2%だ(※約 180 本)。


満月にかけてブドウの樹はより多くの房をつけ、月が欠けていくときはブドウの樹が成長するときだ。だから弱い樹に手はかけない。まずしっかりとした幹を作り、新月に剪定することを心掛けている。別の言い方をすれば、ブドウの樹は新月の時に最も生命力 が弱まる。満月にかけてはよく涙を流す(※樹液がよく滲み出ることの比喩)。だから剪定はできれば月齢が 高くなるとき(※つまり新月に向かうとき)にしたいんだ。新月に向かうときに樹液が下がってくるからだ。月の 影響は、満月に向かうとき樹液は上がりよく涙を流し、新月にかけては樹液が下がりあまり涙を流さない。

天気に変われとお願いはできないが、月の運行に従うことは天気にお願いごとを聞いてもらことと同じだ。そうでなければ天気と闘うことになる。そう、単純なことなのさ。

TERRENO(土壌) トニ・ベルトゥラ/ブドウ栽培家 (2:55)

「Son Roig/ソン・ロイグ」は 25ha の畑で主な土壌はカルベルメル。そこに石と砂利が混ざっている。カルベルメル土壌はより多く石を含んだものとより粘土を多く含んだもの(粘土質土壌の色は黄色から灰色)の2種類に分けられる。ここから下の方はカルベルメルだけの土壌で、石は全く無い。だから畑の性質は全く異なる。石は畑に太陽の熱を通さないからブドウの樹は常にフレッシュで、それがカルベルメル土壌と合わさることで土の中は常に冷んやりしている。「石とこの土壌は日光を通さない」というのがこの畑の特徴だ。


畑では昔のように働くことを心掛けている。今では以前より畑の状態が良くなってきたと実感しているよ。われわれで4代目で、祖父と父親と一緒にこの方法に戻したのさ。前は石灰と硫酸銅を混ぜなければならなかったが(※ボルドー液のこと)、今では畑仕事が楽になり、ワイン造りも楽になった。


もう一度強調させて欲しい。私にとって一番大切なのは土だ。70%は土で決まる。ここ「Son Roig」はブドウ栽培とワイン造りに特権を持つ区画なんだ。

OVEJAS(羊) シャウメ・ソン・ロセジョ/羊飼い(5:07)

わたしたち家族はずっと羊と一緒に暮らしてきた。私は今年で47歳になるが、その間ずっと羊と共にいる。羊たちはカルベルメル土壌(ティエラ・ロハ/赤土)にいるとよく草をはむ。ティエラ・ロハの草はティエラ・ブランカ(白土)より美味しいからだ。それにティエラ・ブランカで草を食べるより、カルベルメルの石を舐めるのが好きだ。カルベルメルの石の方が草より美味しいからだし、もっと広い野原に放っても気が付けばカルベルメル土壌がある場所に集まってくる。

むかし、老人に言われたことがあるよ。「カルベルメルで羊を放牧したらミルクはあまりとれない。とれたとしてもその場でチーズになってしまうぞ」と。ティエラ・ブランカだとミルクはよく採れるがチーズはできない。凄い違いだろう?うちは3ヘクタールの放牧地のうち半分がカルベルメル、残り半分がティエラ・ブランカだ。この辺りでは本当に大きな違いを生むんだ!例えばあっちがティエラ・ブランカ、その小道一つ向こうがティエラ・ロハ(カルベルメル)だ。こんな狭い所でも違いがあるだろう?さあ、一緒に見に行こう。

COBERTURA VEGETAL(植物の覆い) ビエル・ナダル/ブドウ栽培家 (6:40)

冬場のハーブは畑を温めながらもくもくと耕作を続けるものだ。人間が畑を耕す必要はなく、土中の虫たちもまた仕事をしてくれる。春に向かって畑が成長期に入ると雑草は枯れ、天然の肥料になる。夏の畑では競争がない。なぜかというと虫たちが夏眠につくから競争が起きない。夏、ハーブは畑から何も吸収せずに枯れてしまう。こうして畑では何も問題が起こらず健やかでいるんだ。

ある日、藁を敷いた他の人の畑を歩くことがあった。藁で畑の中を涼しくしているんだなと思ったが、ハーブがあればそもそも藁を敷く必要がない。こうした畑仕事をしなくなってもう3年になるが、何も変わったことは起きていない。これが一農民である私が畑で見つけたとても“不可思議”なことだ。私にはこの汚い畑よりもっと整っていて美しい畑を持っている知り合いがたくさんいるが、彼らが私の畑を見ても普通のことが何も見つからないようだ。92歳になる父はこう言う。「この何もしていない畑。まるで昔の畑のようだ」と。

今、私はとても幸せだ。畑に散歩に行き、「ああ!なんて素晴らしいブドウだ!」と思うことができるからだ。素晴らしいブドウがそこにある、これこそが答えだ。以前は「ああ、ベド病だ。畝にベド病が出た」と騒ぎ、「うろたえるな。耐え凌ぐんだ」と自分に言い聞かせていたものだ。こうなるとブドウの葉は検査され、有機栽培で禁止されている物質を使っていないかも検査された。使ってなんかいないのに。

もはや私たちに検査は必要ない。今年に入って、他にも何人か畑仕事をしないことにした栽培家がいる。私の畑がとても健全なのを見て、辞めたのだ。ある日彼らが私にこう言った。「もうシラーはやめたよ。枝が長くなり過ぎるし、成長し過ぎるからね」と。これから少しずつでも、皆がそうするようになるよ。

OVNI(未確認飛行物体) ジョアン・デ・ソン・スアウ/農家(9:12) 

俺は畑で宇宙人を見た~。本当に本当だぜ~って延々と語っています!笑

オリーブオイル探しの旅、これで終わる

Pago de Valdecuevas

生産者:パゴ・デ・バルデクエバス
生産国・産地 : スペイン・カスティーリャ・イ・レオン

オリーブにも品種があり、産地でも味わいはずいぶん違う。パゴ・ デ ・ バルデクエバスはアルベキーナ種100%、圧倒的な凝縮感、ボディがあるのに、全体的にフェミニンなエクストラ ヴァージンオリーブオイル。これがあれば料理の質はぐっと上がるし、使っているだけでそもそも気分が上がりっぱなし。


造るのは何世代も地域の産業に貢献してきた地元の名士、マルティン家。「最高級のオリーブオイルを造る」と、調査から実に8年の歳月をかけて設立した140ヘクタールの自家オリーブ農園は、そのど真ん中に圧搾所があり、収穫してからたったの30分以内に圧搾できる。それだけでも本気度が伝わってくるが、それがカスティーリャ・イ・レオンと聞けばなおさらだ。


スペインのオリーブオイルといえばメッカは南部アンダルシア地方。ところが、なんとこの農園は北西部カスティーリャ・イ・レオン地方の標高約800メートルの高地にある。 冬に厳しく冷え込む気候から 一見オリーブ栽培には向かないように思われるが、 実はこれが味わいのバランスを決める鍵。 あくまでも最高級品にこだわり、 土壌や気候条件、 オリーブの樹の遺伝的特徴までも研究し、 遂にスペインを代表するアルベキーナ種がこの地に適合することを見出した。

Albequina


“わたしたちがお届けするオリーブオイルは、 プレミアムエクストラヴァージンオリーブオイルのみ。 常に完璧なオイルを造るために、 自家農園、 最新設備、収穫後 30 分以内の圧搾、 限定生産、受注ごとの瓶詰めにこだわっています。”

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“新しき良き”イングランド。その泡、パーフェクト!

Hattingley Valley

生産者:ハッティングレイ・ヴァレー
生産国・産地:イギリス・セントラルサウス(ハンプシャー)

シャンパーニュを10年も買い付けてきたから心底思う。イギリスの泡には可能性しか感じない。こんな風に言うとイギリス人は嫌がるに違いないけれど、本当にシャンパーニュの”弟分(younger brother)”だと思っている。泡のキレと美しさ、それでいてシャンパーニュのブリォッシュ香とは趣きの異なる繊細さがイギリスらしい。もっとも地図を見れば一目瞭然で、太古の昔は大陸と繋がっていたから、南部にはシャンパーニュと同じ白亜質ベルトが広がっている。だから、というほどワイン造りは単純ではないけど、これってロマンのある繋がりだ。


一昔前のさほど取り柄のないスティルワインの国から(失礼!)、一部の造り手が本気で設備投資をしてスパークリングワインに向き合ったことが功を奏したのは言うまでもなく、冷涼すぎたこの産地では地球温暖化も味方している。今後十年もすればレゼルヴワインのストックも十分に達し、よりふくよかな味わいも期待できるだろう。品質の向上が著しいイングリッシュスパークリングも、土地柄、酸のシャープさはときに過剰なものもある。ところが、ハッティングレイでは一部にマロラクティック醗酵を施していて、ほんのり、でも取れすぎない絶妙なバランスで角が取れているところが秀逸だ。


イギリスではアフタヌーンティーの最後にシャンパーニュを飲む習慣があるのをご存じだろうか?こんな風に優れたスパークリングワインが自国でできるようになったのを、一番喜んでいるのは紅茶党のイギリス人かも知れない。何といっても、アフタヌーンティーを最初から最後までイギリス産で楽しめるようになったのだから!

WE CAN’T GUARANTEE THE WEATHER, BUT WE CAN GUARANTEE THE WINE.
「天気は保証できないけど、ワインは任せてくれ」。元イギリス在住者としては、このブラックユーモアがツボ。現地では有料でワイナリーツアーも楽しめる。念願叶って2015年に買い付けた初めてのイギリスワインの一つ。

Butterfly is the symbol of the vineyards

#わくわくするようなストーリー

凄いからつい天才と言ってしまう

Weingut Tesch

Martin Tesch, a genius kind of winemaker

生産者:ヴァイングート・テッシュ
生産国・産地:ドイツ・ナーエ地方

テッシュの辛口リースリングはどれもこれもズバ抜けた品質で異常に安い!それが全て特級畑に相当する単一畑ものだと知ったらなおさら目を疑ってしまう。ドイツリースリング最大の魅力である骨太の酸と透明感。ジューシーな果実味。これが区画ごとにみごとに表現されている。品種、醸造方法は同じで見せるのは純粋に土壌の違いだけという点で、産地は違えどサンセールのフアシェと同じ着想。シンプルなのが良い。


二つの村に分かれる6つの区画。ナーエ川に面して日当たりや斜面、風向き、そして土壌を見極めて区分けされた畑のひとつひとつが持つ特徴が自然の摂理に叶っていて、改めてワインが農作物だと実感させられる。

5 Gran Crus are packed in the two tiny villegaes


現当主マルティンといえばこんな感じだろう。三百年の歴史を持つ老舗ワイナリーにある日突然十代目の“バカ息子”が帰って来た。伝統を捨て、40種類以上もあった商品をリースリング、それも辛口だけにしてしまう。ワインには英語名をつけ、ラベルはカラフルに、なんてしだしたら?当然、長年の顧客の四割以上を失ってしまった。スクリューキャップに誰もが懐疑的だったときに、グラン・クリュワインをスクリューにしたのもマルティンだ。


凡人には見えていないものが見えるのが天才。凡人が天才の考えていることを理解するには十年かかる。そんな苦境の時、真っ先に新しいテッシュを理解したのがロックンローラーやファンの若者たちだった。偏見のない所にクオリティは発見される。そぎ落とされた美を放つテッシュのリースリングは、従来の“愛好家”ではなく研ぎ澄まされた音に敏感な次世代の心をつかんだ。

未来ある若者のために敢えて価格を安くしてくれていることを補足しておこう。

Weingut Tesch 僭越ながらこちらのオフィシャルサイトでわたくしのマスタークラスが視聴できます。

Single vinyeards’

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ケルトの村の手作りの暮らし

La Setera Quseeria Artisanal y Bodega

Everything is artisan

生産者:ラ・セテラ
生産国・産地:スペイン、カスティーリャ・イ・レオンで アリベスD.O.

ラ・セタラにはもう憧れしかない。手づくりの暮らしが見えるのだ。カスティーリャ・イ・レオン州の西の端、フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村に入ると、「Queso y Vino Artesano Degustacion y Venta -手づくりチーズとワイン 試食・試飲販売」と記された手書きの道案内のすぐ先に、機械化とは無縁のどこかくたびれた小さなボデガが家族の住まいと一体になっている。表の目立たない看板が唯一、ここがワイナリーであることを伝える目印だ。この村は独特のケルトの石積みでできていて、ボデガの外壁も石の壁が印象的。スペインというよりイギリスの田園風景を思い起こさせる。ここでは何もかもがひっそりと慎ましい。

Here we are! ーボデガに着いた

小さくても仕事は丁寧。ワイン造りやヤギのミルクを使ったチーズ作りの工程では、細部に目を配らせ、地域のビオダイバーシティを豊かに育みながら日々の暮らしを営んでいる。ラ・セテラという名前は、ワイナリーがある渓谷から頂いた。この小さな谷は、圧倒的な景観を織りなすあの全能なるドゥエロ川に続いている。ボデガのストーリーは1994年、サラとフランシスコの若いカップルがこの地に一目惚れしたことに始まる。生物学者だった二人は、いつか人生の早い段階でサステイナブルな生き方がしたいと思っていた。だからまず、セテラの谷でヤギのチーズを作り始め、2003年には自分たちでワインも造るようになった。二人がはじめたこの小さな活動によってコミュニティがうまれ、知らず知らずのうちに地域の自然文化遺産を守り、人口の流出を防ぐという重要な役割を担っていた。

Children must have grown up by now
Bodega and stonewall

ワイナリーはアリベス・デル・ドゥエロ自然公園のなかにあり、豊かな生態系の恵みを受けている。秘境ゆえに手つかずの土地は状態がよく、生産性を求める農業生産で土が疲弊しているということもない。サラとフランシスコは一方的に搾取するのが嫌いなので、ワインも無理のない範囲で造るから、どうがんばっても年産わずか一万本程度。その分クオリティが高く、もちろんワインに化学的な処置や人工的な対策を施すことは一切ない。畑の古木もみごとだ。

Beautiful old vines
Tasting, tasting and tasting to select the ones

WINE

La Setera Tinto Joven, Juan Garcia 100%
La Setera Tinto Roble Seleccion Especial, Turiga National 100%

La Setera Tinto Crianza, 100% Juan Garcia
La Setera Tinto Crianza Seleccion Especial, 100% Touriga Nacional

パワーのなかにフィネスを感じる赤ワインは、良い意味で野趣溢れ濃厚でいて、きめが細かい。
どちらも忘れられないハイクオリティ。ラベルの図柄にお気づきたろうか?そう、石積みがモチーフになっている。

CHEESE

ラ・セテラのチーズも、ワインと同じように製造工程はいたってナチュラルだ。ヤギのミルクは近隣の農家から毎日新鮮なものを調達している。つまりヤギたちは100%アリベスの土地のなかで草を食んでいて、こんな環境で育ったヤギだから、チーズが美味しくないわけがない。

Cualquier alimento es más sano, cuanto menos procesos haya tenido para su obtención. Sara y Francisco ー食べものは加工しないほどより健康的。

Cheese shop
Sara’s queseria

<行き方>
フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村へはフェルモセリェから車で20分。

<アリベスに泊まる>
La Casa de los Arribes lascasadelosarribes@hotmail.com (Tel. 34 629 74 95 52)
アリベス・デル・ドゥエロ自然公園の案内も充実しているし、アニマルセラピーなども体験できる。