米の旨みにかける金紋秋田酒造さんの熟成酒を、繊細な京料理とぴったり合わせる神々の遊び。ワイングラスはオーストリアの名品ZALTOのユニバーサルを使用しました。記憶に残る憧れのペアリング。次回はいつになることか。いまから楽しみです。
令和二年十月八日(金)御献立
先付一 汲み上げ湯葉とローストした松の実の組合せ
椎茸の香り付けをした出汁のジュレ、椎茸ソテー、松の実、キャビア
先付二 煮鰻と揚げ蓮餅(岩手県産松茸鋳込み)、煮詰め、粉山椒
八寸 魳の炙り寿司(干し菊、切り胡麻)、牛たんの煮込み辛子添え、紫ずきん、
衣被、カボス釜(マスカット、柿、林檎の白和え落花生の香りを添えて)
御椀 渡り蟹の真蒸、岩手県産松茸、松葉柚子 清汁仕立て
造り ① 北海道産本まぐろの炙り 辛子醤油
② 徳島県産のどぐろの炙り 山葵醤油
③ 淡路島産鱧の焼き霜 玉葱ポン酢
焼物 子持ち鮎塩焼き頭と背骨の粉添え、渋皮栗、塩煎り銀杏
焼いた檜葉の香りと共に
炊合 キンキと小蕪 針葱、粉山椒
御飯 白甘鯛、原木舞茸、油揚げの炊き込みご飯
漬物 椎茸昆布、糠漬け胡瓜
後汁 田舎味噌仕立て なめこ茸
デザート 無花果のアイスクリーム、バルサミコ酢ゼリー掛け
京丹後梨、無花果、クイーンニーナ、ミント
菓子 安納芋の羊羹 水出し茎玉露
先付一 椎茸や松の実、キャビアなど個性的な食材が繊細に調和する先付:ブランと亜麻色。
先付二 一本残らず骨を抜いたウナギ、加賀蓮根、なかには松茸(写真中央):ブランと山吹。松茸、椎茸、鰻、蓮根といった素材は特に山吹にバッチリ合う。ブランも良い。
八寸 マスカットや柿、林檎などのフルーツは亜麻色、里芋はブラン、牛タンはゴールド、カマスのお鮨は山吹2004。X3ブランも悪くないが、山吹2004がベター。亜麻色に果物が合うのが驚き。
渡り蟹の真蒸には亜麻色。ブランだと少し重く感じる。優しいお料理は亜麻色が寄り添ってくれる。松茸の力強さは山吹ゴールド。松茸がこれほどまでに力強いことに改めて驚く。
お造り①(左)
北海道のマグロを炭で極軽く炙ったお刺身は辛子醤油にて。
ブランと山吹2004が柔らかい肉質と調和し旨味を引き立てている。亜麻色だと生臭さが、ゴールドだと酒が主張してしまう。
お造り②(中央)
ノドグロの皮の脂を炭で炙った逸品。ゴールドが正解。ブランでも良いけど肉厚の魚にはやや酒質が弱い。亜麻色と山吹2004では弱すぎる。
お造り③(右)
皮に直接炭を当てた鱧に玉ねぎのソース(玉ねぎと柚子、カボス、酢橘など柑橘が効いたポン酢)。フィノのようなタッチの亜麻色が最高で、酵母感の効いたブランは更に合う。いや、この鱧は全ての金紋秋田とよく合う。
焼物 栗、銀杏、鮎、ヒバを炙って香りづけ。予想通り亜麻色とブランが合っているが、細かく見ると鮎はゴールド、ブラン。亜麻色だと少し甘みが出てくるので好みが分かれる。山吹2004はオールマイティにいけている。鮎の苦味と塩味、香ばしさが鍵。栗の甘みにはブランがベストマッチング。
炊合 敢えて伝統的なレシピを残して再現した懐かしさが染みるキンキの煮つけに黒七味が洗練を与えている。これはブラン。煮つけの円やかさが亜麻色、山吹2004とも良く合う。
京料理 杢兵衛
京都祇園花見小路 Tel. 075-525-0115