Bodegas Ximénez -Spinola Diex Mil Botellas Brandy Criaderas
あらゆる事柄が規格外のヒメネス・スピノラでも、本当にどうかしていると思う逸品がこれ。頂点を極めたペドロ・ヒメネスを蒸留したブランデーだ。「あれだけ懸命に育て上げたペドロ・ヒメネスを、原料として蒸留する瞬間は今でも心が痛みます」とは、9代目オーナー、ホセ・アントニオの言葉である。
このブランデーは第二次世界大戦後、貧困を極めたスペインで物が全く売れないという異様な時代に誕生した。ヒメネス・スピノラのような極上品の蔵元にとってその痛手は凄まじいものだったが、それよりも精神的に辛かったのは自然が毎年素晴らしいブドウを実らせてしまうこと。そして1948年、遂に仕込み用の樽のストックが底を尽きてしまった。
追い詰められた先々代が講じた秘策がワインを蒸留して量を圧縮すること。それをブランデー専用のソレラシステム「サン・クリスティノ 1948」を設けて詰め込んだ。7代目の名を冠した小さなソレラシステムは、栗樽とアメリカンオーク樽で構成されている。
現地名はDiez Mil Botellas (ディエス・ミル・ルボテジャス)。1万本という名のとおり、年間生産量1万本。余白を含めてそれ以上抜くとソレラシステムが崩壊してしまうという限界ギリギリの数字だ。
栗樽で構成されるクリアデラス部分で12年熟成、さらに1年の瓶熟を経て出荷される唯一無二のブランデー。柔らかな口当たり、栗由来の淡い色合いと繊細な香りを纏い、デザートやチョコレートとの相性も素晴らしい。アルコール40度の蒸留酒をこんなにもたおやかに飲めてしまうことに、ただただ感動が止まらない。
“Elaborado a la vieja usanza…”
Destilar Pedro Ximénez no es fácil. Extraer los matices de sus aromas y hacerlos permanecer en tonel de Castaño, parece atípico. Sin embargo, lo más complicado es hacer que la sedosidad de los tostados y el recuerdo de las pasas se integren con el alcohol. Aquí está el resultado.
José Antonio Zarzana – Viticultor