例えば生産者と話がしたくてスペイン語を覚えたほど大好きなスペイン各地のワイン、例えば愛して止まないドイツの至宝リースリング。はたまた食事に合うといえばこれ、ただし好みが分かれるかも知れないミステリアスなシェリー・・・などなど。
ちょっと尖ることもあるテーマおまかせのセレクトですが、ちゃんと美味しいワインを選びます。オーダーは「私の好きそうなワイン選んでおいて」という感じで大丈夫。
Wine & Spirits – Spatial Design – Consulting
例えば生産者と話がしたくてスペイン語を覚えたほど大好きなスペイン各地のワイン、例えば愛して止まないドイツの至宝リースリング。はたまた食事に合うといえばこれ、ただし好みが分かれるかも知れないミステリアスなシェリー・・・などなど。
ちょっと尖ることもあるテーマおまかせのセレクトですが、ちゃんと美味しいワインを選びます。オーダーは「私の好きそうなワイン選んでおいて」という感じで大丈夫。
4 kilos Vinicola
生産者:クワトロキロス ビニコラ
生産国・産地:スペイン・マジョルカ島
一人は最優秀醸造家賞受賞の醸造家(左)、もう一人はその道では名を馳せるミュージシャンで、コンビの出会いは行きつけのワインバー。ブドウ栽培者のガレージを借りて、牛乳の冷却装置を活用しながら最初のワインを仕込んだのが2006年。島でしっかりとブドウ栽培に取り組む栽培家たちと手を組んで、(この栽培家たち一人一人がまたとても個性的だ)、今も飲んでちゃんと美味しいアートなワインを造り続けている。
クワトロキロスを初めて飲んだのは2008年のバルセロナ。ドツ・ボルツというワインで、カイエット、フォゴノウというマジョルカ島の地ブドウが主体になっている。赤ワインはフルボディでも力で押してこないタイプが好き。これはド・ス・ト・ラ・イ・ク!濃くてもスルスル飲めるって本当に良いワインだと思う。そんな体験を飲み手に期待して、フランセスクとセルヒオはドツ・ボルツ、12ボルトの衝撃を浴びてくれ、とネーミングした。地ブドウ主体のワインなのにどこか帰国子女の香りがするのは、フランス品種が少しづつブレンドされているからだろう。ナチュラルワインもギリギリのものから、ちゃんとしたものまで幅広いけど、このセンスには感心してしまう。
小さなワイナリーなのにコンパクトにまとまったラインナップの広さが面白い。亜硫酸無添加のモトール、マジョルカ島の伝説の協同組合へのオマージュである島スタイルのアイランド・シンジケイト(これが絶妙に薄旨系)、一転、モダンな醸造法で地ブドウを醸したクワトロキロス、圧巻はカイエット種の女性らしさを余すところなく引き出した樽醗酵樽熟成のトップキュヴェ、年間生産量たったの700本のグリマルト・カバジェーロだ。
La Setera Quseeria Artisanal y Bodega
生産者:ラ・セテラ
生産国・産地:スペイン、カスティーリャ・イ・レオンで アリベスD.O.
ラ・セタラにはもう憧れしかない。手づくりの暮らしが見えるのだ。カスティーリャ・イ・レオン州の西の端、フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村に入ると、「Queso y Vino Artesano Degustacion y Venta -手づくりチーズとワイン 試食・試飲販売」と記された手書きの道案内のすぐ先に、機械化とは無縁のどこかくたびれた小さなボデガが家族の住まいと一体になっている。表の目立たない看板が唯一、ここがワイナリーであることを伝える目印だ。この村は独特のケルトの石積みでできていて、ボデガの外壁も石の壁が印象的。スペインというよりイギリスの田園風景を思い起こさせる。ここでは何もかもがひっそりと慎ましい。
小さくても仕事は丁寧。ワイン造りやヤギのミルクを使ったチーズ作りの工程では、細部に目を配らせ、地域のビオダイバーシティを豊かに育みながら日々の暮らしを営んでいる。ラ・セテラという名前は、ワイナリーがある渓谷から頂いた。この小さな谷は、圧倒的な景観を織りなすあの全能なるドゥエロ川に続いている。ボデガのストーリーは1994年、サラとフランシスコの若いカップルがこの地に一目惚れしたことに始まる。生物学者だった二人は、いつか人生の早い段階でサステイナブルな生き方がしたいと思っていた。だからまず、セテラの谷でヤギのチーズを作り始め、2003年には自分たちでワインも造るようになった。二人がはじめたこの小さな活動によってコミュニティがうまれ、知らず知らずのうちに地域の自然文化遺産を守り、人口の流出を防ぐという重要な役割を担っていた。
ワイナリーはアリベス・デル・ドゥエロ自然公園のなかにあり、豊かな生態系の恵みを受けている。秘境ゆえに手つかずの土地は状態がよく、生産性を求める農業生産で土が疲弊しているということもない。サラとフランシスコは一方的に搾取するのが嫌いなので、ワインも無理のない範囲で造るから、どうがんばっても年産わずか一万本程度。その分クオリティが高く、もちろんワインに化学的な処置や人工的な対策を施すことは一切ない。畑の古木もみごとだ。
WINE
La Setera Tinto Crianza, 100% Juan Garcia
La Setera Tinto Crianza Seleccion Especial, 100% Touriga Nacional
パワーのなかにフィネスを感じる赤ワインは、良い意味で野趣溢れ濃厚でいて、きめが細かい。
どちらも忘れられないハイクオリティ。ラベルの図柄にお気づきたろうか?そう、石積みがモチーフになっている。
CHEESE
ラ・セテラのチーズも、ワインと同じように製造工程はいたってナチュラルだ。ヤギのミルクは近隣の農家から毎日新鮮なものを調達している。つまりヤギたちは100%アリベスの土地のなかで草を食んでいて、こんな環境で育ったヤギだから、チーズが美味しくないわけがない。
Cualquier alimento es más sano, cuanto menos procesos haya tenido para su obtención. Sara y Francisco ー食べものは加工しないほどより健康的。
<行き方>
フォルニージョス・デ・フェルモセリェ村へはフェルモセリェから車で20分。
<アリベスに泊まる>
La Casa de los Arribes lascasadelosarribes@hotmail.com (Tel. 34 629 74 95 52)
アリベス・デル・ドゥエロ自然公園の案内も充実しているし、アニマルセラピーなども体験できる。
スペインきっての白ワインの産地からうまれる魚介類と相性抜群の白ワイン、ボデガス・ナイロア。派手な評価やストーリーはないけれど、実直に造るワインが素直に美味しくて驚くほどリーズナブル。単に欠点がない良品というだけでなく、地元リベイロの伝統品種を使って産地の個性をしっかりと表現しているところに心意気を感じます。青みがかった明るいイエロー、白い花を思わせる芳醇な香り。口中では柔らかく滑らかで酸のバランスがよく、ストラクチャーもしっかりとしているので、魚介類や白いお肉、野菜とよく合います。たとえば日本なら、あさりの酒蒸しやカルパッチョ、魚の塩焼き、シーフードサラダ、根菜の煮物、冬は鍋料理などに合わせて楽しめます。そう、毎日の食事に合うオールラウンダー。家族みたいにいつも一緒にいるワインです。
ボデガス・ナイロアは、山間部のワイン産地、リベイロの南部アルノイアにあります。ワイナリー名の「ナイロア」は地名であり、ボデガ(ワイナリー)の近くを流れるアルノイア川のスペルを並べかえた言葉遊びから生まれた造語でもあります。響きがよく覚えやすい良い名前です。
ワイナリーの歴史は、第二次世界大戦の混乱もまだ冷めやらぬ1950年、一人の農民の手によって始まりました。スペイン中で伝統品種が引き抜かれ、量産に向いた品種に植え替えが進んだこの時代、二千年の伝統を誇るリベイロのワイン造りを継承しようとしたこの小さな一歩は、1999年、彼が亡くなると、その志を受け継いだ地域のひとびとの手によってボデガス・ナイロアとして第二章を歩むことになりました。「受け継がれてきた叡智とノウハウを未来に残したい」と強く願った人々が出資者となり、醸造には最新の設備も導入して地産のワインに磨きをかけています。クオリティや産地の個性を追求するのは当たり前。それに加えて、環境に配慮したワイン造りをポリシーに据えているところにも誠実さを感じます。
ナイロア/NAIROA
千円ちょっとで買えるエントリークラスのワインなのに、収穫はすべて手摘みで行い、畑でブドウの選別をします。収穫したブドウが潰れないように、収穫用のカゴには15キロと小さいものを使い、ワイナリーに持ち込むと、醸造する前にもう一度選別をしてよいものだけを使うという徹底ぶり。地元では魚介類がふんだんに積み上げられたバルのカウンターで、食べるのに専念しつつリベイロを流し込む。わずかに塩味を感じる、魚介類によく合う白ワインです。早飲みで、リリースから24か月くらいの間、このフレッシュさと香りが楽しめます。
ワインに現れるガリシアのアイデンティティ
緑のグラデーションが目にも眩しい、標高200メートルのブドウ畑。良好な陽当たりを選んで山々に飲み込まれるように切り開かれた斜面の段々畑には、花崗岩質土壌の区画で伝統品種が大切に栽培されています。採算が合わないから大手の影響もなく、ひっそりとした佇まいが残されています。
<伝統品種>
こういった様々なニュアンスをもつ伝統品種のブレンドが、あのナイロアの味わいなのだと思うと、また違った側面からワインをとらえることができるような気がします。ワイナリーの歴史こそ長くはありませんが、ワイン産地としての歴史があるので、畑には樹齢の古いブドウの樹がたくさん残っています。木も歳をとると樹勢が落ち着いて安定してくるので(ちょうど若い頃もて余していたエネルギーが落ち着いて賢くなった人のよう)、ワインに品質をもたらす財産であり、飲みやすさのなかに芯のある凝縮した味わいのワインにしあがります。
リベイロのブドウ畑は総面積2500ヘクタール。全部で115軒のワイナリーがあり、約6000人のブドウ栽培家が畑の手入れをしています。単純計算すると、一軒あたりのワイナリーの畑はたったの21ヘクタールしかありません。商業化に成功して国際市場にも出ているワイナリーに限るとその10パーセントにも満たないという小さな産地です。こんな閉ざされたところにも凄いワインが眠っている。ワインは決してブランドではありません。
写真の左上にうっすらと蛇行した川が、右手にはボデガス・ナイロアが見えます。川と斜面の間に拓かれたわずかな土地に営まれる、ひとびとワインの生活。これが二千年以上前からずっと続いているということに、想いを馳せてしまいます。Life continues so dose Wine!