ワイン街道のレストラン「エル・パパ」

カタルーニャ地方でワイナリー巡りをするなら立ち寄って欲しいレストラン「エル・パパ」。初めて来たのにどこか懐かしさを感じるこの佇まい。扉を開いて一歩足を踏み入れれば、使い込まれた家具や食器から長く地元の人々に愛されてきたことが分かります。

エル・パパ(お父さん)が誰かというと、1970年代に魚介料理店としてこの店をオープンしたフアンのことだそう。やがて子供や孫たちに受け継がれて、旬の食材を活かした季節ごとの郷土料理と定番のお米料理(カタルーニャ風魚介のパエリア)、スープ、ジビエを提供しています。「お客さんが友だちになる」と彼らが口を揃えて言うように、家に帰ったみたいにほっこりと気取らない絶品料理が楽しめる空間(その上安い!)。ただし・・・、うっかりすると最後に出てくるパエリアに辿り着くまでに、次から次へと魚介料理が出てくるので、大食漢でない限り十分に注意しましょう。

いや、そんなことは織り込み済みでここに宿泊するというのもありです。エル・パパではカタルーニャ風の美しく広々としたお部屋が訪問者を待っています。ワイン産地らしくスイートルームには、シャルドネ、シャレロ*、メルロー、モナストレル、ガルナッチャ、マカベオ*、ムスカ、パレリャダ*とブドウ品種の名前がついるのがまたうれしいところ。ワインラバーとしてはやっぱりカバ品種*のお部屋に泊まりたい。他にもラベンダー(espigol)やローゼル(Rosella)といった、この地方でよく見られる地中海の植物の名前が付いた部屋もあり、中はもちろんそれにちなんだ素敵な配色になっています。

RESTAURANTE EL PAPÀ Y HOTEL RURAL EL MOLÍ DE PONTONS
 Tel: +34 93 898 70 53 (携帯 +34 676 480 077)
 Email: molirural@hotmail.es
 住所: Carretera de Santes Creus 4 08738, Pontons

カタルーニャの職人が造る自然派カバ

Orio Rosal

生産者:オリオ・ロサル
生産国・産地:スペインカタルーニャ地方

17世紀の瀟洒なエステイトをぐるりと囲むように広がる自社畑では、完全有機栽培が実践されていて周囲に農薬をまき散らす隣人もいない。朝日が昇る前の涼しい時間に収穫されたブドウは、そのまま目の前のセラーに持ち込まれてすぐに圧搾されてワインになり、ワインができたら瓶詰めして酵母とショ糖を添加したらあとは瓶内二次発酵できれいな泡ができるまで地下深くのセラーで時を過ごす。ワインにはモストフロール(モストの花)と呼ばれる第一搾汁だけを使い、ルミュアージュ(動瓶*)の工程は今でもすべて専門の職人により手作業で行われている。それなのに・・・安い。

ワイン名:ダミア カバ ブルット
味のタイプ:白・辛口
ブドウ品種:シャレロ、マカベオ、パレリャダ

ワイン名:ダミア カバ ブルット ロゼ
味のタイプ:ロゼ・辛口
ブドウ品種:ガルナッチャ、ピノ・ノワール

Damia Cava Brut
Damia Cava Brut Rose

★動画:ルミアージュ(動瓶)の様子

ピカピカ

写真はワイナリーでいただいたピカピカ。ちょっと小腹を満たすときの軽食をカタルーニャではこう呼びます。軽食とはいえ豪華ですね!カタルーニャの朝ごはんもほとんどこんな感じで週末のブランチにはカバも楽しみます。ダミアのカバは(特にロゼ)食後のデザートにもよく合いますよ。こちらでスイーツとの楽しみ方もご紹介しています。Check it out !ジプシーの腕はいろんな味

パスタのパエリア、フィデウア

フィデウア / Fideua

お料理上手なボデアガス・アスル・イ・ガランサの醸造家、ダニーさんのレシピです。パスタで作るパエリア、「フィデウア(Fideua)」は、カタルーニャ語でパスタ料理のこと。主にカタルーニャ地方の沿岸地域で人気の料理で、バーベキューのようにアウトドアで楽しまれることもよくあります。お米を忘れた漁師が船の上で作ったのがはじまりとか。スペインにはフィデウア専用のフィデオというパスタがありますが、日本では手に入り難いので、カッペリーニで代用しても大丈夫。炊き上がったらサルサ・アリオリをかけてお楽しみください!これがあるのと無いのとでは大違いです。

材料(10人分):
 魚介のアラ・・・2kg(頭、骨、カニなど出汁を取るため)
 人参・・・3個
 玉ねぎ・・・3個
 塩
 フィデオ・・・3kg
 イカ・・・2kg
 エビ・・・1kg
 アサリ・・・500g
 にんにく
 オリーヴオイル

1  材料を切り35分間茹でてスープストックを作る。
2  大きなフライパンにオリーヴイルを熱し、海老を焼いて取り出す。
3  次に同じフライパンで小口に切ったイカを炒め、にんにくのスライスを入れる。
4  フィデオを黄金色になるまで揚げ焼きにする。
5  スープストックを足して水分がほどよくなくなるまで煮る。
6  お皿に取り分け、アリオリ・ソースを乗せて出来上がり。

サルサ・アリオリ / Salsa Alioli

すべての材料をブレンダーで攪拌してマヨネーズのようになったら完成です。

卵・・・2個
ひまわり油・・・500ml
にんにく

Brazo de Gitano ジプシーの腕はいろんな味

Creamy Brazo de gitano crema at Oriol Rosal

はじめてこのお菓子を知ったのは、社会人になりたての頃。おおつきちひろさんの『スペインの熱い食卓』というレシピ本でした。料理の名前が気になってページをめくってみると、なんのことはない。ロールケーキのことをスペインではブラソ・デ・ヒターノ、文字通り「ジプシーの腕」と呼ぶのでした。でもやっぱり美味しそう。地域や家庭によって、クリームの代わりにチョコレートソースやジャムを使うなどバリエーションが豊富なのは、日本のロールケーキも同じです。

カバと合わせるのが醍醐味

カタルーニャ地方のワイナリー、オリオ・ロサルで食べたこちらのブラソ・デ・ヒターノは、スポンジよりクリームの量が圧倒的に多くて食感はふんわりとしています。ナイフやフォークで食べる気取ったデザートではないので、カジュアルに楽しみましょう。片手で持ってちょうどよい大きさです。

はちみつのナパージュが艶々と食欲をそそり、口どけの軽いクリームはさっぱりとしています。食後のデザートなのでお茶やコーヒーもよいですが、ここはカタルーニャ。カバだっておすすめです。普通、お菓子に合わせるなら甘口ワインが理想ですが、カバなら辛口でも果実由来の甘みを感じるので、甘すぎないこんなデザートにもとてもよく合います。

Damia 1637 Cava Brut Rosado -Garnacha 60%, Pinot Noir 40%
Damia 1637 Cava Brut -Xale.lo 60%, Macabeu 20%, Parellada 20%

ダミア カバ/Damia 1637 Cava

千円ちょっとで買えるのに、完全有機栽培できっちり手摘み収穫。区間ごとに醸造してブレンドし、法定熟成期間より長いレゼルバクラスの熟成を施すダミア ブランド。良いものをできるだけ安く提供して、楽しんでもらいたいと願う生産者の気持ちが込められたワインです。

ブラソ・デ・ヒターノの作り方

<材料>スポンジ台

  • 卵・・・・・・・・・   4個(黄身と白身を分けておく)
  • 小麦粉・・・・・・・   100g
  • グラニュー糖・・・・   100g
  • ベイキングパウダー・   小さじ1

<スポンジ台の作り方>

こちらの動画が分かりやすいです→Como hacer bizcocho para brazo de gitano。焼きあがったら空のオーブン皿で上から抑えておくという小技などに主婦の知恵が詰まっています。解説はスペイン語ですが、普段からお料理をする人なら見るだけでもコツがつかめます。クリームの部分はお好みで。季節のコンフィチュールも最高です。

もとは「エジプト人の腕」だった

ロールケーキは英語でスイスロール/Swiss Rollと呼びますが、どうやらスイスとは関係がありません。スペインには、中世にエジプトを旅したイタリア人修道僧が、現地の修道院で食べたものをもたらしたのが始まりのようです。そんな訳で当初は「エジプト人の腕」と呼ばれていましたが、時とともに「ジプシーの腕」に変わっていきました。

このお菓子は、スペインの旧植民地のラテンアメリカの国々にも広まっています。チリでは「女王の腕」、メキシコでは「子供のおくるみ」、フィリピンでは「メルセデスの腕」などなど、名前のバリエーションも豊かです。今のわたしたちにとってはいたって素朴なお菓子ですが、中世の頃はきっと特別なものだったはずです。Enjoy Brazo de Gitano with your Cava!