生産者:キリ・ヤーニ
生産国:ギリシャ/ナウサ、アミンディオン
紺碧に輝くエーゲ海、目も眩む太陽というギリシャのイメージを払拭するのがこのワインの産地、北ギリシャだ。標高が高く雪も降る冷涼な地。ここにはギリシャ最高峰の造り手、キリ・ヤーニがいる。古代コーカサス地方から発生したワイン文化がエジプトを経由し、ローマ帝国の侵略によってギリシャにもたらされた長いワイン造りの伝統は、オスマン帝国の支配下にあった15世紀から19世紀の間に(アルコールが禁止されたことにより)途絶えてしまい、すっかり時代遅れになっていた。キリ・ヤーニが現れなかったら、ギリシャの美味しいワインが飲めるようになるのはもっと遅かったかも知れない。
ワイナリーの歴史は1997年、「ギリシャの多彩なテロワールを映した本格的なワインを造りたい」と願ったヤーニス・ブタリス氏により始まった。北マケドニアと国境を接し標高が高く雪も降る冷涼なこの地のブドウが、ギリシャ随一といわれる高級品種クシノマヴロだ。銘醸地として知られるナウサとアミンデオンに土地を購入し、丹念な畑仕事からエレガントでタンニンのしっかりとした赤ワインやロゼを得意としている。名だたるワインのプロをして「ギリシャ最高峰の造り手」といわれる必見のワイナリーだが、オーナーやスタッフの屈託のない素直な明るさが心に残る。
クシノマヴロというブドウ品種
北ギリシャを代表する地ブドウ、クシノマヴロ。ギリシャで最も超熟が可能で高級ワインにもなり得るというスペックの高さからギリシャ随一の高貴な黒ブドウと言われている。名前を訳すと「酸と黒」。このブドウが持つ酸っぱさと豊富なタンニンが鍵であり、「王のワインにしてワインの王」と称されるイタリアのバローロに使われるネッビオーロにも例えられるほど。